第5話ドライビング・ワールド
今日は高速の、ハンドルをきって、超高速の、国道、888線に乗って、流れる風に身を任せ、夢をゆだねる、いつかのドライブ。
背景と、背徳系の融合、そして、疾風の世界にのっていく。気の抜けたコカ・コーラ。それに、ポップなポップス。
忘れられない、余韻を残して、去っていくあの友の顔。
私の心に点る、燃焼し、圧倒的なエネルギーと詩人の自負心。
それから、ドライブの助手席には、太平洋をかっ飛ばす、青春の陰りの美しい髪をなびかせる、聖なる女性。それは、僕に、生きる意味を教えてくれる。
罵倒と、あざけりの中で、たぐりよせた友の手。
世界はキミを信じない、でも、僕は信じている。
キミが一人きりの時、僕らがどれほど苦しんでいたかを。
薄暗い部屋の片隅で、震えていた少女。
そして、僕はそっと手を差し伸べた。しかし、移り気な気まぐれなカーテンの、間から入り込んでくる、気配の緩やかなフィナーレ。または、ある逆説、恋を憎しみと呼び、友を敵と呼ぶ、そしてあざけりを友情と呼ぶイエス。
そうキミはそのままでいい。誰かが言うのを、ポップなポップスが掻き消してく。流れに身を任せて、打ち寄せる貝殻の破片を、拾い、投げ込む波に向かう。キミの横顔、傷ついた夢と希望の橋を渡るあの天使たち。
僕らは、遠くまで来てしまった。
でも、音楽。リズム&ブルース。
時がめくり上げる震えるハート。
それで、旅はどこかで終わる。きっと永遠に見つからない、寂しい煉瓦の道を行く、孤独な、孤独な、一人の道の憂い気な街角を。ただ、苦しみだけを感じて。否、微かな輝く雲間の萌し。また、いつの日か、その瞳に、光と色が点るなら、キミは、先を行く、僕のはるか先をいく聖女よ。キミは沈黙の白い薔薇を見た。僕は破裂する、海岸線で、叫ぶ。
その歌は、祝福の余韻を残しながら消えていった。
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