第3話イレイザーヘッド

 きしむ音、ゆがんだ魂、攻めてゆく、黄昏時の空に、紅い大群が、乗り移ったかのように、フルシアンデのギターが乗る。

 そして、痛みの中の、天使たちが、あらゆる生命を慰藉するとき、僕は静かに笑う。

 そっと、ぞっと、いらだつように、首を振るフルシアンデのギターは、天使の一人の魂を救った。孤独に打ち震え、むせびなく、その瞬間を、フルシアンデのギターは、救った。

 天使はこういう。

「戦争を終わらせよう」

 するとギターが鳴って、天使の翼を震わせた。

 そこにもう一人、ゴールドな愛が、天使のハートを打ち抜く、凄まじく、清らかな、一撃を放った。ビリー、あの子はやっぱりすげえ、速い。高速で打ち抜く過激な弾丸。天使も、フルシアンデも、しびれちまうぜ。だから、泣くしかねえ。そして、角に福はねえから、自分たちで創るしかねえ。

「平和の祈りを」

 そんなことより、天使は愛し合いたい、あらゆる国境を越えて、すべての人間、すべての生命と、根源まで、つながりたい。

 そう、愛、黄金に光り輝く、その双眸。天使は、平和の祈りなんていらねえんだ。

 ただ、ビート。激烈なビートが欲しい。そして、燃焼していく心の傷が、語る静かに、カタルシス。天使は、うらびれた街を歩きまわって、光り輝く黄金の世界でシンデレラと踊る夢を見た。そして、ギターが折れる。でも弾き続ける。ビリーなキッズはこういうぜ

「最高に、クレイジーだぜ!」

 そしたら天使もみんなも呼応する。

「平和よりも、今日はクソして寝てえな!」と。


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