第15話「新たな旅立ち」

ペンデ星のピースオブジャスティスの基地からギリギリの所で脱出したスペースドラゴン号。

しかし、アベルは重傷を負い倒れ、クルドもまだ完全には回復していない。

そして唯一動けていたジークにも限界が来て遂に倒れてしまった。

3人の看病をたった1人でするミッカ。

アベルの顎に包帯を巻き、ジークの傷口を止血する。

「悪いなミッカ……お前1人に全部やらせちまって……」

そう言ってミッカを気遣うクルド。

「ううん、いいの。私は皆と違って戦う事は出来ないし、これぐらいはさせて……。でも、私は医学の知識は無いし、応急処置ぐらいしか出来ない。早く文明のある星を見つけなきゃね」

そう言ってミッカは立ち上がった。

「操縦室に居るから何かあったら呼んで」

ミッカは操縦室に戻った。


さっきまでの大騒ぎとは裏腹にスペースドラゴン号の中では静かな時間が流れていた。


操縦室に戻ったミッカはマルツーに声を掛ける。

「どう?マルツー、文明のある星は見つかった?」

《はい。ここから一番近い星は惑星トリケスです》

「惑星トリケス?どんな星なの?」

《文明はある程度発達していますが、自然との共存を大切にしている自然豊かな星の様です》

「本当!良さそうな星ね!」

《ただし、自然のエリアには恐竜が生息しており注意が必要です》

「恐竜!?それ大丈夫なの?」

《それはなんとも……》

「まぁ、でも仕方ないか……文明が発達してるなら医者も居るだろうし……そこに行こう。どの位掛かる?」

《この船の通常運転で行けば3日で到着します。ワープ機能を使えば今日中に着けるでしょう》

「ワープかぁ、燃料の消費は激しいけど、早く着いた方が良いわね。ワープで行きましょう」

《了解、ワープシステムを機動させます》

スペースドラゴン号のワープ機能を使い惑星トリケスまで猛スピードで向かう事に。


その頃、ディザスター帝国の本拠地に戻ったバドス率いる第2戦闘部隊は……。

バドスが前に出てディザスター帝国四天王のジャルガに報告する。

「ジャルガ様、我が第2戦闘部隊、ペンデ星のピースオブジャスティスの基地の破壊に成功しました」

「良くやったバドス」

「はっ!ありがたきお言葉。更にペンデ基地のリーダー格、レイジを捕えて来ましたが処分はどのように?」

「見せしめに公開処刑が良いかもな。まぁそれは皇帝陛下の判断に委ねられる事になるだろうが……あいにく陛下は留守……地下牢にでも放り込んでおけ」

「はっ!」

レイジはディザスター帝国に捕まっていた。


スペースドラゴン号はワープ航法に入り猛スピードで惑星トリケスに向かっていた。

その間もミッカはアベル達の看病を続けていた。

「アベル、包帯変えるね、痛いだろうけど我慢して」

そう声を掛けてからアベルの包帯を変えようとする。

「いででででっ!?」

「ごめん……でも我慢してよ……」

「ミッカ、手伝おうか?」

クルドが起きて来る。

「クルド、大丈夫なの?」

「ああ、大分楽になったし、全部ミッカに押し付けてもられないからな」

クルドもミッカを手伝う。

クルドがアベルを抑えその間にミッカはアベルの包帯を取り換える。

「いでででっ!?」

「アベル……少し我慢しろ……暴れるな!」

「ごめんね……もうすぐ医者の居る星に着くからね」

激痛で暴れるアベルを何とか取り押さえながら包帯を交換するミッカとクルド。

その時、マルツーからのアナウンスが船内に流れる。

《間もなく、惑星トリケスに到着します。ワープ航法を終了し、通常操縦に切り替わります》

「おっ!着くか……」

「良かった……クルドももう少し診てもらわないとね」

「あっ、ああ……」


それから数分で惑星トリケスが見えて来た。

ミッカは操縦室に戻る。

「どう?マルツー」

《順調です》

惑星トリケスは確かに緑豊かな美しい星だった。

《間もなく大気圏に突入します。衝撃に備えて下さい》

「りょーかい」

ミッカは座席に座りシートベルトをする。


スペースドラゴン号は惑星トリケスの大気圏に突入。

しかし、その衝撃はアベルとジークには激痛だった。

《無事、大気圏に突入しました。これよりこの星のスペースポートに連絡を取ります》

「うん、宜しく。何かあったら連絡して、ちょっとアベル達の様子見てくるから」

そう言ってミッカは再び寝室に向かう。

「どう?皆大丈夫?」

だが、アベルとジークは激痛に苦しんでいた。

「……じゃ、無さそうね……」

「着いたのか?」

クルドが起き上がって尋ねる。

「うん、トリケスにはね。今、マルツーがスペースポートに連絡してる」

「そうか……」

再びマルツーが船内アナウンスを流す。

《スペースポートと連絡が取れました。第5ゲートからの入港許可が降りました》

「ん?じゃあ、操縦室に戻って来るわ」

「ああ」

ミッカは再び操縦室に戻る。

「ねぇ、マルツー、怪我人が居る事伝えたいんだけど、連絡出来る?」

《大丈夫です。そちらの手配も済んでおります》

「えっ!本当!凄い……マルツー何でも出来るわねぇ」

《恐縮です》

そして、スペースドラゴン号はスペースポートの第5ゲートから入港し、無事惑星トリケスに到着。

アベル達は早速スペースポートの職員達によって病院へ搬送される。

1人の職員がミッカに確認を取る。

「怪我をされた3名はトリケス中央病院に搬送します。そこはあらゆる星の医療技術が集まってますので、3名共的確に治療を受けられるのでご安心下さい」

「ありがとうございます」

「それから注意点を1つ。この星の自然エリアには恐竜が生息地していますので、無闇に近付かない様にして下さい。また、恐竜を見物されたいのであればこちらがご案内しますので、申請して下さいね」

「はい!」

「それから恐竜保護の為、自然エリアに武器の持ち込みは禁止されていますのでご注意を、もし違反が発見された場合にはそれなりの処罰もありますので」

「分かりました」

この星では恐竜との共存の為のルールが厳格に定められている様だ。

一通り説明を受けたミッカは宿泊施設に案内される。

「へぇ〜中々良い部屋じゃない!」

そう言ってミッカはベッドにダイブ。

「あ〜……疲れた……」

ミッカは一休み。


その頃、恐竜が生息する自然エリアに二人組の無法者が……。

背の高い男と小柄な小太りの男。

「おい見ろ!凶暴な肉食恐竜のアルサウルスだ」

「へへっ、アイツも中々高く売れるぜ……」

この2人は恐竜ハンターだった。

「さて、次の獲物を……」

小太りの男は次の恐竜を狙う準備をする。

しかし、背の高い男が……。

「待て、警備隊が来やがった」

この星の自然エリアを守る為に作られた警備隊の隊員達がパトロールをしていた。

「最近恐竜ハンターが増えてるらしいな」

「ああ、恐竜の中には凶暴なのが多いから生物兵器として高く売れるんだと。更に他にもコレクターにウケるから恐竜ハンターが後を絶たないんだ……」

「困るよなぁ……人の星で好き勝手されちゃ……」

そんな会話をしながら警備隊員達は通り過ぎて行く。

「へへっ、何とかやり過ごせましたね」

「ああ、だが警備隊がうろつく時間帯らしい……引き上げるぞ」

「へ、へい!」

恐竜ハンター達は警備隊に見つからない内に自然エリアから抜け出す。


一休みしてミッカは街へ出て買い物に行く。

「さてと……食料や水も買っておかないとね……」


一方で病院に運ばれたアベル達は適切な治療を受ける事が出来、安静にしていた。

だが、宇宙ではまた1つ、星がディザスター帝国の手によって消されていた。

ディザスター帝国の新兵器『惑星破壊レーザー砲·ギガデルス砲』の発射実験が行われていたのだ。

「フフッ……実験は成功のようだね」

「はい!射程圏内にさえ入れば星1つ位余裕で破壊出来る威力ですよ!」

「コレで我々に歯向かうピースオブジャスティスとか言う連中も星ごと壊滅させられる……」

そう語るのはディザスター四天王の1人グワイツ。

この新兵器の開発により更に力を付けたディザスターとの戦いはより一層激しさを増す事になる。


続く……。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る