第13話「強襲」

アベル達の次の目的地は惑星ペルガと決まった。

しかし、目的地は決まったがクルドが治療中の為、直ぐに動く事は出来ない。

レイジがミーティングルームを出ていき食後、アベル達は話し合う。

「なんか……大変な事頼まれちゃったね……」

「ああ。だが、ディザスター帝国の情報は俺達にも必要だ。行く価値はある」

「そうだね……とりあえずクルドの回復を待たないと」

ミッカとジークがそう話すがアベルはずっと考え事をしている。

「どうした?アベル。お前がずっと考え事してるなんて珍しいじゃねぇか」

「え?うん……ちょっとな……」

そう言うとアベルは立ち上がった。

「ちょっとクルドの様子を見てくるよ」

「そう……あっ!私もマルツーの様子見て来ようかな」

「なら俺はスペースドラゴンの様子を……」

「じゃあ、また後でここに集合な」

「おう!」

「分かった」

3人はそれぞれ様子を見にミーティングルームを出て行く。


その頃レイジは指令室で仲間達と話して居た。

「皆、我々に心強い仲間が出来た。既に会ったメンバーも居るが今夜の集会で改めて紹介する。だから、今夜の集会にはなるべく参加して欲しい。それから、食料班は彼らを歓迎する為の料理を頼む」


アベルはメディカルルームの場所を聞き、クルドの様子を見に行った。

クルドは点滴を打ち大分容態が安定していた。

「クルド……良かった。もう大丈夫そうだな……」

そして、ミッカはマルツーの元へ。

「マルツー、どう?調子は」

《あっ、ミッカ。快適です》

「そう、良かったね」

「あなたがミッカちゃんね」

現れたのはピースオブジャスティスの技術班チーフの女性、ルルだ。

ルルは長い黒髪を後ろで束ねた眼鏡を掛け、白衣を纏った知的な美女だ。

「綺麗な人……」

「あら、ありがとう」

「えっ!?あっ!?こ、声に出してました!?すみません!?」

「いいのよ。嬉しいから。それよりこの子から聞いたわよ。マルツーを修理したのあなたなんですってね」

「はっ、はい」

「凄い技術力ね。ウチに欲しい位だわ」

「あっ、ありがとうございます……」

「良かったら少しウチのラボを見学して行かない?」

「良いんですか!?すっごく興味あります!!」

「ええ、いいわよ。じゃあ、こっちよ」

ルルに案内され、ミッカはラボに行く。


ジークはスペースドラゴン号が格納されているドックに来た。

「まだメンテナンスしてくれてたのか……」

ジークがハクトに話しかける。

「やぁ、この船中々興味深いよ。夢中になってついつい長くなってしまった」

「そんなに凄い船なのか?」

「ああ、この宇宙を旅するならこの位の大きさの船は必要だろうが、この船は特に推進力にマキシムターボエンジンを使ってるから最大出力を出せばミルキーウェイを突破するのも楽だっただろ?」

「マキシムターボエンジン?何だそれ?」

「ええっ!?まさか知らなかったのか!?じゃあ、どうやってミルキーウェイを超えて来たんだ?」

「いや……ミルキーウェイに入る直前にダージリスって馬鹿でかい昆虫に襲われてそいつらを吹っ飛ばす勢いでそのままって感じだな……」

「なるほど……この船にはあの凶暴なダージリスをも蹴散らせる程の攻撃力もあるのか……それにしても君、この船の持ち主ならもう少しこの船の機能を理解してた方が良いな」

「おっ、おう……」


その頃、ペンデ星に向かって来る戦艦団が居た。

ディザスター帝国第2戦闘部隊の戦艦団が迫っていた。

その内の一隻には第2戦闘部隊隊長バドスが乗っていた。

「やれやれ……ベルーモの奴がやられやがったから面倒な仕事が俺に回って来やがった……何でこんな遠くの星まで出向かなきゃいけねぇんだよ……」

ブツブツと文句を言うバドス。

「バドス隊長!間もなくペンデ星に到着します。ステルス機能を使用しますか?」

「ああ、そうか。ステルス機能は面倒だからいいよ。あんな星ぐらい正面から殴り込んでもすぐ潰せるだろ」

バドスは中々面倒くさがりの性格の様だ。

「はっ、はぁ……ではこのまま直進します」

「ああ、そうしちゃって……後いちいち俺に聞くな。自分で考えて行動しろ」

「いや、隊長の許可を得るのは規則なんですけど……」


その頃、ペンデ支部基地でもディザスターの戦艦団の進行を確認。

「レイジさん!ディザスター帝国の戦艦団がこちらに向かって来ます!」

「いよいよ来たか……よし、各員戦闘体勢に入れ!奴らを全力で迎え撃つぞ!」

基地内に警報が鳴り響く。

それを聞いたピースオブジャスティスのメンバー達は慌ただしく動き始める。

スペースドラゴン号のドックでもハクト達が動き出す。

「何だ?どうしたんだ?」

「敵襲だ!俺達非戦闘員は直ぐにシェルターに避難するんだ」

「ディザスターか?」

「ああ、そうだよ」

「そっか、なら俺は戦いに行くぜ」

「え?何言って……」

「悪いな。俺は剣士なんでな。戦いに背波向けねぇ」

そう言ってジークは走り出した。

そして、ラボに居たルルとミッカも避難を始める。

「ミッカちゃんこっちよ!」

「ルルさん、どこに?」

「私達はシェルターへ……」

そして、アベルは……。

メディカルルームから出てレイジに会う。

「あっ!アベル!」

「レイジ、どうしたんだ?」

「ディザスターの奴らが攻めて来た。俺達は戦いに向かうが、お前はどうする?」

「なら俺も戦う!」

「そう言ってくれると思ったぜ。よし、こっちだ!」

レイジはアベルを戦いに連れ出す。

基地の防衛システムが作動し、迎撃体勢を整える。

無人の防衛システムが戦艦団に向かって攻撃を開始する。

「フンッ、来たか……よし、お前ら一気に突っ込むぜ!」

バドスの戦艦団は構わず正面から仕掛けて来る。

そして、戦艦からのレーザー攻撃で防衛システムを破壊する。

「クソッ、やはり無人の防衛システムじゃコレが限界か……皆!戦闘体勢は整ったか?奴らが攻めて来るぞ!!反撃だー!!」

「おおー!!」

レイジの号令に合わせピースオブジャスティスの戦士達が士気を高める。


バドスの部隊がペンデ基地に攻め込んで来た。

レイジ達はそれを全力で迎え撃つ。

「俺も行くぜー!!」

ジークが『黒竜』を手にディザスターの兵士達に挑む。

そして、他の戦士達もディザスターの兵士と戦い始める。

その中でバドスは他の戦士達をなぎ倒し侵攻を進める。

「待ちやがれ!!」

バドスの前にレイジとアベルが立ち塞がる。

「テメェ、ウチの基地で随分好き勝手に暴れてくれるじゃねぇか」

「面倒くさいんでね、さっさと終わらせようと思って」

「面倒くさいだと?舐めてんのかテメェ!!」

レイジは構える。

『獣王拳・虎連撃』

レイジは獣王拳、虎の型が得意でアベルとはまた違った戦闘スタイルだった。

レイジの獣王拳を用いた連続パンチがバドスに叩き込まれる。

だが、バドスは微動だにしない。

「何だと!?」

「フンッ……俺はなぁ、面倒くさいのが嫌いだかは技は全て受け止める事にしてんだ」

「テメェ、俺の技を食らってまともに立ってられんのか……」

「俺は戦いにおいても自分が動くのは面倒くさいからな。敵の攻撃を全て吸収出来る様にしてんだよ……そして、攻撃は全て一撃必殺だ!!」

バドスはレイジの腹に超強力な一撃のパンチを食らわした。

「ぐぅっ!?」

そのたったの一撃でレイジは壁に叩き付けられて大ダメージを受けてしまった。

なっ……何だ?

たったの一撃で……内臓をえぐられる様な感覚が……。

レイジは今まで味わった事の無い強力な一撃を喰らい一気に戦意が薄れて行く。

「テメェ!!」

アベルがバドスに殴り掛かる。

しかし、アベルの怒涛の攻撃もバドスには効いていない。

や……やめろ……アベル……ソイツは……本気でやべぇ……。

レイジは何とかアベルに戦いを止めさせようとするが、先程のダメージで声が出ない。


『獣王拳・獅子の鉤爪』

アベルの大技が炸裂するが、バドスはやはり微動だにしない。

「クソッ!」

「おい小僧……いい加減……面倒くせぇんだよ!!」

バドスはアベルに強烈なアッパーを喰らわせる。

「ぐはっ!?」

その攻撃はアベルの顎を砕き大ダメージを与えた……。


続く……。









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