第12話「平和の戦士達」

ミルキーウェイを超え遂に外宇宙に進出したアベル達。

しかし、クルドはダージリスの幼虫の毒を受けて倒れてしまった。

「ふぅ……何とか容態は落ち着いたけど……この船の医療施設じゃ限界があるわ……早く文明のある星に行ってお医者さんに見て貰った方がいいわ」

「そうだな……よし、まず医者を探そう」

「一難去ってまた一難だな……」

その時、船内に警報が鳴り響いた。

「何だ!?」

《緊急事態です。ディザスター帝国のロボット部隊が迫って来ます》

操縦しているマルツーからのアナウンス。

「クッソ……こんな時にディザスターかよ……」

「外宇宙に入った途端手荒い歓迎だな……」

アベル、ジーク、ミッカは急いで操縦室に戻る。

「マルツー、状況は?」

《現在、ディザスター帝国のディザゴーレムが数体こちらに向かって来ます》

「クソッ、スタースピーダーで撃ち落としてやる!」

アベルが出て行こうとする。

「待ってアベル!スタースピーダーはダージリスとの戦いでかなりダメージ受けてるでしょ!危険よ!」

「そっか……ならハイパーブラスターキャノンで一気に……」

《それもエネルギーの残量を考えると難しいです。下手にエネルギーを消費すれば墜落の可能性もあります》

「そんな!?」

「無理もねぇ……ボノアでチャージしたとは言えその後エネルギー補給も無しにずっと飛ばしてる上にミルキーウェイを突破する為にハイパーブラスターキャノンを使ってるからな……」

スペースドラゴン号に為す術は無かった。

その間にもディザスターの鉄人兵団ディザゴーレムがスペースドラゴン号に接近する。

そして、遂に囲まれるスペースドラゴン号。

「チッ……囲まれたか……」

そして、ディザゴーレムの後ろには一隻の戦艦が居た。

その戦艦からスペースドラゴン号に通信が入る。

「ハハハッ!遂に追い詰めたぞ貴様ら!」

それはガルモだった。

「あっ!お前は、ボノアで会った!」

「そう、ディザスター帝国鉄人兵団総督のガルモだ。貴様らボノアでは良くもやって来れたな。だが、今度こそ貴様らを叩き潰しディザスターの処刑台に立たせてやる!」

「クソッ〜……」

「万事休すか……」

そして、ガルモの指示でディザゴーレムが一斉にスペースドラゴン号に向かって砲撃用意。

「撃て!!」

だが、次の瞬間外側からの攻撃でディザゴーレムの1体が破壊される。

「な、何だ!?何が起きた!?」

そして、次々に攻撃を受け破壊されて行くディザゴーレム。

「ガルモ総督、ピースオブジャスティスの奴らです!」

「なんだと!?くっ……邪魔を……」

「このままでは奴らの格好の的です!」

「仕方ない……撤退だ!」

ガルモは撤退を指示。

ガルモの乗る戦艦と残ったディザゴーレムは撤退して行った。


「助かった……」

「どこの誰か知らねぇが礼を言うぜ」

そして、ピースオブジャスティスの宇宙船からスペースドラゴン号に通信が。

「君達、大丈夫か?」

「あっ!」

それはアベルの知ってる人物だった。

「レイジ!!」

「ん?アベル?アベルか!?」

「え?知り合い?」

スペースドラゴン号を助けた人物の名はレイジ。

アベルとの関係は?

「懐かしいが話は後だ。とりあえず、我々と一緒に来て欲しい」

「あの!病人が居るんですけど……」

「!そうか、ならこっちも医療機関に連絡して着いたら直ぐに受け入れて貰える様にしておく」

「ありがとうございます」

「悪い奴らじゃ無さそうだな……」

「当たり前だ」

アベルはジークの方を見てニコっと笑った。

レイジ達の宇宙船に案内され近くの星に向かうアベル達。

その間アベルはレイジについてジークとミッカに話していた。

「えーっ!?兄弟子!?」

「そっ!レイジは俺の兄弟子で子どもの頃一緒に獣王拳の修行をしてたんだ。俺の兄ちゃんみたいな人だ」

なんとレイジはアベルの兄弟子だった。

子どもの頃、共に獣王拳の修行をし、一緒に暮らしていた為、アベルはレイジを本当の兄の様に慕っていた。

そして、アベル達が案内されたのはピースオブジャスティスの支部基地の1つ、ペンデ星にあるペンデ支部だ。


到着すると既に医療班が待機しており、クルドは直ぐに病院に運ばれた。

「ありがとうございます。助かりました」

「いやいや、大した事じゃない。それよりアベルがこんなに多くの仲間達と旅をしていたなんて」

「まぁ、一緒に旅をし始めたのはまだ最近だけどな」

「それにしてもピースオブジャスティスって……」

「ああ、ディザスター帝国の脅威からこの宇宙を守る為に組織された平和を願う戦士達の集まりだ。俺達はもっと仲間を増やしてディザスター帝国と戦う準備をしているんだ」

「新聞で読みましたけど……支部が破壊されたって……」

「ああ……ディザスターの奴らも俺達の存在に気付き始めてな……このままじゃいつまた支部が襲われるか……でも、だからこそ仲間が必要なんだ」

「俺達もディザスター帝国を潰す為に戦ってる。それから協力しようぜ!」

アベルがレイジに手を差し出す。

「そうか……ああ!」

レイジもアベルの手を握り固い握手を交わす。

「あれ?所でマルツーは?」

「ああ、君達の宇宙船を操縦してたロボットかい?それならあっちで充電してるけど……」

そう言ってレイジが指差す先で、マルツーはコードを繋がれ充電していた。

《あ〜極楽です〜》

「あ……あはっ……すみません何から何まで」

「気にしないで。俺達もう仲間なんだから」

そこに更に二人の男が現れる。

「おいレイジ。客人ってのはソイツらか?」

「ああ、ゴウラ、ハクト」

一人は大柄で筋肉質のゴウラ。

もう一人は細身でメガネを掛けたハクト。

「紹介するよ。彼らもピースオブジャスティスのメンバーだ。こっちのデカいのがゴウラ、ひょろいのがハクトだ」

「おいおいそんな紹介ねぇだろ」

「ゴウラはともかく俺のひょろいは止めろよ」

「悪い悪い。二人に頼みがあってさ。ゴウラは彼らの宇宙船から下ろした荷物を運んでくれ」

「おうよ!任せろ!」

「ハクトは彼らの宇宙船のメンテナンスを頼むよ」

「了解」

「じゃあ、荷物はゴウラに任せて、皆はミーティングルームに案内するよ」

そう言ってレイジはアベル、ミッカ、ジークの3人をミーティングルームに案内した。

後ろからゴウラが3人の荷物を持って着いてくる。

「すみません、荷物持ちなんて……」

「なーに気にすんな。丁度いい筋トレだよ」

「ゴウラは筋肉馬鹿だから力仕事はだいたい引き受けてくれるよ」

「ってレイジ!筋肉馬鹿って言うな!!」

「なかなか個性的なメンバーだな……」

そして、ミーティングルームに入ると……。

テーブルには沢山の料理が並べられていた。

「え?ご飯?」

「ああ、お腹空いてるんじゃないかと思って用意させたんだ」

「うわぁ!ありがとうございます!」

「それじゃあ遠慮なく頂くか!」

アベル、ミッカ、ジークはレイジの行為に甘え食事を始めた。

「皆、食べながらで良いから聞いて欲しい」

レイジがそう言うとアベル達はレイジの話に耳を傾けた。

「今、我々はディザスター帝国の本拠地の惑星を探しているんだ。あれだけの兵力を持ってる訳だからかなり大きな惑星だと思うんだけど、その実態は全く掴めてない。実は先日破壊された惑星ペルガの支部はディザスター帝国の本拠地を探す任務を行っていた。だが、ディザスター帝国に気付かれ攻撃を受けた」

「そうだったんだ……」

「ペルガ支部はきっと何かを掴んだんだ。だから奴らに消された……だが、ペルガに行けば何か手掛かりが掴めるかも知れない。そこで、君達に協力して欲しいんだ。君達に惑星ペルガに向かって欲しい」

「俺達にペルガが調査して来いって事か?」

「ああ、我々は既に存在を気付かれ下手に動けない。今、戦力が整ってない状態で戦いになれば我々は圧倒的に不利だ。だから君達の頼みたい。勿論危険な事は間違いない。だが、宇宙の平和の為……どうか頼めないだろうか?」

「レイジ……」

アベルはフォークを置いた。

「俺達もディザスター帝国を潰す為に旅してんだ。いずれは必要な情報だ……分かった。行くぜ」

「アベル……そうね」

「ああ、じゃあまずは目的地は惑星ペルガに決まったわけだな」

「皆……ありがとう……それと……アベルを宜しく頼む」

レイジは深く頭を下げた。


次の目的地も決まり、アベル達の旅は新たな一歩を踏み出す。


続く……。






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