大宇宙の冒険

第11話「いざ、外宇宙へ」

アベル達は準備を整えいよいよ外宇宙へ出る時が来た。

「よし、いよいよ外宇宙だぜ!」

「どうやって出るの?」

「この宇宙の縁には巨大な小惑星群ミルキーウェイを渡ったらそこはもう外宇宙だ」

「つまり、小惑星群の中を通り抜けなきゃ行けないって事?」

「ああ、巨大なスペースドラゴン号で抜けるのは至難の業だが、スペースドラゴン号の周りの小惑星群をスタースピーダーとか小型の宇宙船で破壊して行けば通れるはずだ」

「じゃあ、俺達もそれぞれ積んでおいた宇宙船を使うって訳か」

「そう。スペースドラゴン号の正面に来る小惑星はそのままスペースドラゴンで破壊するとして、左右と後方は小型宇宙船でサポートするって感じだ。ある程度小惑星を破壊したら直ぐにスペースドラゴン号に戻って後は突き抜けるだけだ」

「皆のチームワークが大事って訳か。面白ぇ、やってやろうぜ

!」

「じゃあ、その前に腹ごしらえと行くか。ちょっと待ってろ何か簡単な物作る」

そう言ってクルドはキッチンに向かう。

クルドが手早く調理をして外宇宙に出る前に皆で昼食を食べる。

しかし、皆が食事をしていると突然スペースドラゴン号に衝撃が走った。

「うわっ!?何だ!?」

アベルが窓の外を見ると……。

巨大な宇宙昆虫ダージリスの群れに囲まれていた。

「うわっ!?何だコイツら!?」

「しまった……ダージリスだ……この辺はコイツらの巣なんだ!」

「ひぃぃ……気持ち悪い……」

ダージリスはこの辺りに生息する宇宙昆虫で、雑食性この上ない。

巣に近付く宇宙船を襲撃し、中の船員を襲う事もある危険な生物だ。

「おい!何とか振り払え!」

「分かってるって!」

ダージリスはスペースドラゴン号に攻撃を仕掛ける。

「クソッ!マルツー操縦を頼む!」

《了解しました》

マルツーに操縦を任せアベルは出て行く。

「ちょっとアベル!?どこ行くの?」

「コイツらスタースピーダーで追い払ってやる!」

「待て!今無闇にハッチを開けるな!」

クルドが止めるがアベルはスタースピーダーに乗り込みスペースドラゴン号のハッチを開ける。

スタースピーダーが飛び出すが開いたハッチからダージリスが侵入を試みる。

「くっ……あの馬鹿……急いでハッチを閉めろ!」

クルドが叫びマルツーがハッチを閉める。

「クルド……どうしたの?そんな大声を上げるなんて……」

珍しく騒ぎ立てるクルドにミッカも驚く。

ハッチが閉まった事でダージリスは一度スペースドラゴン号から離れたが……。

クルドは顔色を変えていた。

クルドはダージリスについて説明を始める。

ダージリスは襲った船に卵を受け付ける習性があり、自分達がやられても卵から孵った幼虫が船員を襲い無人になった宇宙船はそのまま燃料が尽きるまで宇宙を漂い続ける。

それを利用してより遠くの宇宙まで仲間を増やして行く為だ……。

クルドはダージリスの恐ろしい習性について語った。

「なら、幼虫が船内に侵入したかも知れねぇのか……よし、俺が見てくる」

ジークはそう言って立ち上がる。

「待て!ダージリスの幼虫は外敵から襲われない様に猛毒を持ってる……迂闊に近付くな」

その頃、スタースピーダーで出撃したアベルはダージリスの群れを追い払おうと必死に攻撃をしていた。

「クソッ!スタースピーダーの武器じゃ全然通用しねぇ……」

ダージリスはスタースピーダーに襲い掛かる。

「うわっ!?」

アベルは何とか攻撃を回避。

しかし、目の前には大きめの小惑星が!

「やべっ!?」

スタースピーダーの操縦桿を一気に倒し旋回。

何とか小惑星を避けた。

だが、別のダージリスが襲い掛かる。

「うわぁぁぁっ!?」


その頃、スペースドラゴンの船内では作戦を立てていた。

ミッカが立てた作戦はこうだ。

まず、マルツーが船内カメラに接続し、船内のあらゆる場所を見回しダージリスの幼虫を探す。

そこで見つけた場合はクルドが向かい離れた場所から狙撃して駆除する。

しかし、見つからなかった場合はカメラが映せない通気口の中に入り込まれた可能性もある為、周りの機器を壊さない為にジークが駆除をする。

この作戦が上手く行けば幼虫は退治出来るが外のダージリスの群れはどうするか……。

「まぁ、アベルも今まで宇宙を旅して来たんだ。そう簡単にはやられないだろう」

「じゃあ、俺達はまず幼虫探しと行くか」

「そうね、マルツーお願い!」

《了解しました》

マルツーは船内カメラに接続し、幼虫を探す。

マルツーが見ている映像は前方のモニターにも映し出されミッカ達もそれを見る。

「どこ……?どこに居るの?」

ミッカ達にも緊張が走る。

そして、1つのカメラに小さな影が映った。

「あれか!」

《第3格納庫の映像です》

「何で俺の船の所なんだよ……」

それはジークが乗って来た小型宇宙船の格納庫だった。

「よし、んじゃあ、駆除してくる。念の為ここも警戒しとけよ」

クルドが意を決して出て行く。

しかし、カメラに映った以外にも何処かに幼虫が隠れているかも知れない。

クルドは慎重に歩みを進める。

スペースドラゴン号の船内には怪しい空気が漂っていた。

クルドにも緊張が走る。

そして、いよいよ第3格納庫の入口まで辿り着いた。

クルドは格納庫前のカメラに向かって合図を送る。

《クルド、第3格納庫に到着しました》

「よーし……クルド気を付けて」


その頃、アベルも必死にダージリスと戦っていた。

だが、次第に目の前に見えて来たのは。

ミルキーウェイの小惑星群。

「ゲッ!?もうミルキーウェイじゃねぇか!……待てよ……あの小惑星群を上手く利用すりゃあコイツら倒せるかも……」

アベルはダージリスを誘い込みミルキーウェイの小惑星群に突入する。

「アベルの奴、小惑星群に向かったぞ!」

「何をする気?」

《クルドも第3格納庫に突入します》

クルドは第3格納庫の扉を開け『マグナムX』を構える。

しかし、ダージリスの幼虫の姿はない。

「見当たらねぇ……マルツー、カメラで捉えられるか?」

《探してみます》

マルツーはカメラを操作しあらゆる角度から幼虫を探した。

その頃、アベルもミルキーウェイに突入し小惑星群を掻い潜りながらダージリスを誘き寄せていた。

ダージリス達もアベルを追い掛けミルキーウェイに入って来た。

アベルは見事な操縦で小惑星群をかわすがダージリスは小惑星に構わず突撃して来る。

「あの巨体じゃ小惑星をかわせねぇだろ……見てろよ!」

アベルは操縦桿を一気に引きスタースピーダーを急上昇させる。

ダージリス達もそれを追う。

だが、スタースピーダーの上には巨大な小惑星が!

「おりゃあ!」

アベルはスタースピーダーを急旋回させ、巨大小惑星を回避。

だが、ダージリスは勢い余って巨大小惑星に激突。

「よっしゃ!」

クルドは辺りを警戒していると真上から幼虫が襲って来た。

「うわっ!?」

クルドはギリギリかわす。

《馬鹿な!?》

マルツーも驚く。

幼虫はどうやらカメラの上に居た様だ。

「クソッ、死角から襲ってくるとは中々利口じゃねぇか……」

クルドは幼虫に向かって『マグナムX』を構える。

幼虫はクルドに襲い掛かる。

クルドは『マグナムX』で幼虫を撃つ。

だが、いつもの弾丸ではなくショック銃だった。

下手に弾丸で撃って毒を飛び散らす訳にはいかない為、殺さずに気絶させたのだ。

「ふぅ〜後はコイツをどう処理するか……う〜ん……やっぱこれしか無いか」

その頃、アベルからスペースドラゴン号に通信が入った。

「皆!ミルキーウェイに入るまでもう時間が無い!このままミルキーウェイに突入するぞ!」

「何っ!?」

「しまった、もうすぐそこじゃない……」

「でもどうすんだ?」

「目の前の小惑星群をスペースドラゴン号のハイパーブラスターキャノンで一気に破壊するんだ!ダージリス毎な……」

「なるほど、思い切ったな……」

そこにクルドから通信が!

「ちょっと待った!その作戦、ここの幼虫も便乗させてくれ」

「幼虫?」

「ああ、ここで殺したら毒が飛び散ってしまう。だから親と一緒に宇宙の藻屑にしてやるんだよ」

「なるほど、分かった」

《ではこちらでハッチを開けますクルドは直ぐに第3格納庫から出て下さい》

「あいよ。頼んだぜ」

クルドは第3格納庫の扉を開け脱出しようとする。だが、幼虫は再びクルドひ飛び掛かった。

「うわっ!?」

「クルド!?」

「クソッ!?離れろ!!」

クルドは必死に幼虫を引き剥がそうと抵抗するが、幼虫は毒を注入しクルドを弱らせる。

「ウソだろ……」

段々と力が抜けてくるクルド。

「やべぇ、俺が行く!」

ジークが助けに行こうとするが……。

「待て!……このままハッチを開けろ……そうすりゃ空気と一緒にコイツも宇宙に放り出されるはずだ……」

「でも……そんな事したらクルドまで!」

そう、宇宙空間では空気が外に一気に漏れ出しその勢いでクルドも一緒に外へ放り出されるかも知れない。

「大丈夫だ……やれ!!」

「クルド……」

「くっ……マルツー、ハッチを開けろ」

《しかし……》

「アイツの覚悟を無駄にすんな!ミッカ!お前はハイパーブラスターキャノンの用意だ!」

「でも……」

「やれ!!」

《了解》

マルツーは第3格納庫のハッチを開ける。

すると、空気が一気に外に漏れ出した。

クルドは残された力で必死にしがみつき何とか耐えている。

「くっ……」

このままでは直ぐに空気が無くなりクルドは窒息してしまう……。

幼虫も必死に抵抗するが、まだ幼い幼虫の力ではこの爆風には耐えられず船外へ放り出された。

《幼虫の追い出しに、成功》

「早くハッチを閉めて!!」

ミッカの指示でマルツーはハッチを閉める。

クルドは何とか外に投げ出されずに済んだが毒を喰らい体力が著しく消耗していた。

「ハァ……ハァ……危ねぇ……」

アベルがスペースドラゴン号の方に戻って来る。

しかし、まだダージリスの親は追ってくる。

「皆ー!!撃て!!」

「アベル!?絶対に避けろよ……」

「マルツー、ハイパーブラスターキャノン発射!」

《了解。ハイパーブラスターキャノン発射します》

スペースドラゴン号から『ハイパーブラスターキャノン』が発射される。

アベルは向かってくるキャノンをギリギリの所でかわす。

だが、後ろから追ってきたダージリス達は幼虫と共にハイパーブラスターキャノンの直撃を受け爆散。

更に周囲の小惑星群も破壊した。

「よし!一気にミルキーウェイを突っ切れ!!」

「行くわよ!!」

スペースドラゴン号は一気にスピードを上げミルキーウェイを横断する。

アベルのスタースピーダーも合流し一気に外宇宙に出た。

「よっしゃー!!外宇宙だー!!」


続く……。






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