第8話「新たな仲間クルド」

レドル一味の猛攻にピンチを迎えるアベル達。

クルドは重傷を負いレドルに追い詰められ、ジークは毒を喰らい苦しむ。

アベルは銀河邪道拳を相手に苦戦しながらも反撃のチャンスを伺っていた。

「フンッ、お前のお上品拳法じゃ俺は倒せねぇよ」

バルゴがアベルを煽る。

「なんだと……テメェ……俺の獣王拳を馬鹿にする気か?」

「なんだよ?本当の事だろ?本当の拳法って言うのは相手をねじ伏せる為には手段を選ばないんだよ!!」

バルゴが再び攻撃を仕掛ける。

「お前の……邪道な拳法なんか……認める訳には行かねぇんだよ!!」

アベルの反撃。

バルゴは毒を爪に塗った鉤爪を装着して攻撃してきた。

『銀河邪道拳奥義·毒蛇拳撃』

「武器を使おうなんざ……拳法とは言わねぇ!!」

『獣王拳奥義·獅子の牙』

アベルはバルゴの毒の鉤爪を叩き折った。

「何っ!?」

「更に……」

アベルは続けて攻撃。

『獣王拳奥義·獅子狩り』

アベルは獅子が獲物を狩るかの如く素早く強力な攻撃をパンチやキックで連続で叩き込んだ。

バルゴに反撃の隙を与えずそのまま地面に叩き落とした。

「ハァ……ハァ……どうだ?」

バルゴは完全に気を失い戦闘不能状態に。


「やった!一人倒した!」

だが、あと、二人は苦戦していた。

毒の剣で右肩を斬られたジークは右腕に毒が周り右腕の感覚が徐々に無くなってきて居た。

やべぇ……右利きの俺が左手だけで使える強力な技なんてねぇしな……。

ジークは考えていた。

この状況で逆転する方法を……。

「そうだ!あの技なら左手でも行ける!」

ジークは左手だけでも敵を倒せるほどの威力がある技を思い出した。

ジークは『黒竜』を地面に擦り付け砂埃を巻き起こす。

グエムの視界を奪った。

「くっ……目眩ましか……だが、そんな小細工……」

グエムは砂埃を気にせずジークに向かってトドメを刺しに突進してくる。

だが、その先にジークの姿は無かった。

「何っ!?どこ行きやがった!?」

「こっちだ!」

声のする方を向くと、ジークは上から斬り掛かって来ていた。

『銀河聖剣流奥義·鷹』

この技は上空から急降下する勢いを利用して敵を斬り裂く必殺技。

このワザなら利き手じゃなくてもかなりの威力で敵を斬る事が出来る。

「ぐあぁぁぁっ!?」

グエムを倒した。

「くっ……やべぇ……もう右腕の感覚がほぼねぇ……」

ジークは気を失った。

「ジーク!?」

ミッカとアベルがジークに駆け寄る。

そして、クルドはレドルに腹の傷口を踏み付けられ、意識が薄らいでいっていた。

もはや、銃を持つ右手にも力が入らずレドルに反撃する事も出来なかった。

朦朧とする意識の中でクルドには走馬灯が見え始めた。

それは幼き日の記憶。

元々貧困問題を抱える惑星で生まれ育ったクルドはいつも食べ物に飢えていた。

生きる為に盗みをする事なんて珍しくなかった。

だが、ある日普段から大した物を食べていないクルドは体力がなく、食べ物を盗んだ家の大人に見つかり捕まってしまった事があった。

その大人から無慈悲な暴力を喰らい必要以上に痛めつけられた。

その時、たまたま通り掛かったキースと名乗る男に助けられた。

キースはクルドが盗んだ食べ物の代金を肩代わりしてくれ、そのお陰でクルドへの暴行も収まった。

どうやらこのキースと名乗る男は賞金稼ぎの様でターゲットがこの星いる様でたまたま立ち寄ったらしい。

クルドは助けて貰ったキースを追い掛け弟子にしてくれと頼み込んだ。

キースはクルドを助ける為にこの星に来た訳では無いため始めは煙たがられた。

しかし、数日に渡りクルドがしつこくキースに付き纏う為、キースも根負けした。

その後はキースに銃の修行を付けられながら旅をする事に。

キースが懸賞金の掛かった犯罪者や討伐する事で懸賞金が出る宇宙各地の危険生物と戦っていく為、お金に困る事はなく、クルドは立派に育つ事が出来た。

気が付けばクルドは涙を流していた。

「キース……もう一度あんたに会う為に……俺は……負ける訳には行かねぇんだよ!!」

「な、何だコイツ……まだこんな力が……」

クルドは最後の力を振り絞り自分を踏み付けるレドルの足を持ち上げる。

「おっ!?おいおい!?」

レドルはバランスを崩し後ろに倒れ込む。

「テメェのお陰で大事な事を思い出せたぜ……」

「はぁ?」

「俺はまだまだ死ぬ訳には行かないって事だ」

「ちょっ!?、ま、待て!話せば分かる!わ、悪かった……頼む……い、命だけは……」

「はぁ?……テメェが犯して来た罪はテメェの命一つで補える程軽いもんじゃねぇだろ?」

「い……いやぁ……だから……」

「こっちはテメェ見たいな悪党倒して食ってんだ。大人しく殺られろ」

クルドはマグナムXをレドルに向ける。

「消えろ」

クルドはレドルの頭を撃ち抜く。

流石のレドルも頭を撃ち抜かれれば終わりだ。

「ハァ……ハァ……ったく……血が足りねぇな……」

クルドもその場で倒れる。

「クルドさん!?どうしよう……二人共倒れちゃった……」

「とにかく、町の病院に運ぼう」

アベルとミッカはジークトクルドを町の病院まで連れて行った。

ジークの受けた毒も抽出され、徐々に回復して行った。

クルドは更に重傷の為、完治には時間が掛かるが、一命は取り留めた。

二人が入院してから2週間が経過した。

その2週間の間に外宇宙では大きな事件が起こっていた。


実はディザスター帝国に反旗を翻す為に各惑星は宇宙平和同盟"ピースオブジャスティス"を結成していた。

平和を願い集まった勇敢な戦士達の組織だ。

同盟を組む各惑星に支部が存在していた。

その1つ、惑星ペルガの支部基地が基地がある街ごとディザスター帝国に破壊された。

多くの死傷者が出たこの事件は後に宇宙全土を揺るがす大事件へと発展する。


この事件のニュースはアベルとミッカも宇宙新聞で知る事になった。

「酷い……」

「クソッ、ディザスター帝国め……歯向かう者には容赦しねぇな……」

「ねぇ、本当にこんな巨大な相手と戦うの?」

「勿論だ。ディザスター帝国を野放しになんてしておけない。それに……これで分かったじゃねぇか。外宇宙にも俺達と同じ志の奴らが居るって」

「そうね、その人達が味方になってくれたら心強いもんね」

「ああ、俺達は一刻も早く外宇宙に出ないとな」

「うん!」


「だったら、いつまでも休んでられねぇな……」

ジークとクルドがやって来る。

「ジーク!クルド!大丈夫なのか?」

「ああ、大した事ねぇよ。聞いたぜディザスター帝国の事……」

「お前らがそんなとんでもない事目指してたとはな……俺も一緒に行ってやるよ」

「えぇっ!?クルドさん仲間になってくれるの?」

「ああ、ディザスター帝国には個人的な恨みもあるし、何よりお前らと居ると稼げそうだからな」

「そうか……じゃあ行こうぜ!」

アベル達はクルドを仲間に加え再び旅立つ。

スペースドラゴン号に戻ったアベル達は早速発進の準備をする。

「へぇ〜、いい船だな」

「だろ?俺達の自慢の船だ」

「買ったのは俺だけどな」

「よーし、燃料もオッケーね。飛べるわよ!」

「んじゃ、しっかり捕まってろ。一気に大気圏突破するぜ」

スペースドラゴン号は発進。

再び宇宙に向かって飛び立った。


しかし、アベル達にはこの後、更なる試練が待ち受けていた。


続く……。









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