第7話「レドルの逆襲」

惑星ポッカポルカで出会ったガンマン、クルドに連れられアベル達がやって来たのは町外れの森。

「おい、飯奢ってくれるんじゃなかったのか?」

アベルがクルドに尋ねると……。

「ん?奢るよ?約束は守る」

「でも、町から離れちゃったわよ?こんな方にお店なんてあるの?」

「いや……この森はまだ人の手が加わってないから木の実や薬草が大量に採れるんだ」

「え?まさか……御馳走してくれるのってそういう事?」

「ああ、腕によりをかけるぜ?」

「お前が作るのか?」

「ああ、これでも一人で旅してきたからな……料理は得意なんだ」

そう言ってクルドはこの森で集めた木の実や薬草。

更に動物の肉も使い料理を始めた。

「へぇ〜手際良いわね」

「だろ?この肉は臭みがあるからシラク星で買った白ワインを入れて煮込めば臭みが消えて美味くなるんだ」

「へぇ〜凄い!」

「ほい、特製森のシチューの完成だ」

「おおー!美味そー!!」

アベルとミッカは早速食べ始める。

「うん!美味い!メッチャクチャ美味いぞ!」

「だろ?」

「本当……クルドさんって料理得意なのね!!」

「まぁな。どうだい剣士君、シチューの味は?」

「ああ、美味いよ。良い味してる」

「なら良かった」

「さっきは……悪かったな」

「え?」

「お前が苦労して見つけた獲物を横取りする気は無かったんだ。ただ、アイツらのしてる事が許せなかっただけなんだ。なのに、つまんねー意地張って喧嘩に、なっちまった」

「いいよもう。同じ釜……いや、同じ鍋の飯を食った仲じゃないか」

「フッ……お前、料理の腕は認めるが、ガンマンなんだろ?賞金稼ぎをしてるって事はそっちも腕が立つんだろ?」

「まっ、銃に関しては自信があるね」

「なぁ、おかわりいいか?」

アベルが空になった皿を差し出す。

「勿論!」

クルドが皿を受け取ってシチューを新たに注ぐ。

「ん!」

その時、ジークは異変に気付いた。

「おい、火を消せ」

「え?何で?まだシチューあるのに……」

「良いから消せ!」

ジークは急いで水を掛け焚き火の火を消して木の影に皆を隠れさせる。


そこにレドルと二人の手下が現れた。

「ん?焚き火の後?」

「ボス、まだ火を消したばかりですよ。近くに居ます」

「フンッ、見ろ。皿の数は4枚……アイツらの人数と合致する。間違いなく奴らだ」


木の影に隠れ様子を見ているアベル達……。

「レドル一味……もう嗅ぎつけて来やがったか……」

「しかし、流石だな……剣士の勘ってか?」

「勘じゃねぇ……気配だよ……」

クルドは銃のエネルギー残量を確認。

「よし、3人なら倒せる」

「おい、戦う気か?」

「獲物が向こうから来たんだ。こんなチャンス逃す訳には行かねぇ」

レドルがシチューの入った鍋を蹴り倒す。

「出てこい!クソ野郎共!このレドル様直々にぶちのめしてやるぜ!!」

「アイツ……食べ物を粗末にするなー!!」

アベルが怒って出て行く。

「あっ、バカ!」

「うぉぉぉぉ!!」

「出たな」

アベルはレドルに殴り掛かる。

だが、その攻撃はレドルの手下の一人の男が受け止めた。

「チッ……」

「格闘家なら私が相手になろう」

「お前も拳法使いって訳か」

「ああ、銀河邪道拳の使い手バルゴだ」

「銀河邪道拳?悪名高い極悪拳法だな……」

「ほぉ、知っているのか……なら説明は不要だな」

バルゴはアベルに襲い掛かる。

「負けるかよ!!」

アベルも応戦。

「チッ、やるしかねぇか!!」

ジークも飛び出して行く。

「おい、獲物は取るなよ!」

クルドも飛び出す。

「フンッ、狙われてる分際で自ら出てくるとはな……グエム、あの剣士の相手をしてやれ」

「了解!」

レドルの手下の一人グエムは腰の剣を抜く。

「なるほど、剣士か……なら相手として丁度いいぜ!!」

ジークはグエムと戦い出す。


「レドル、お前の2400万エールのクビ俺が頂くぜ?」

「フンッ、こっちもテメェをぶち殺したくてうずうずしてんだ……相手になってやる」

クルドは愛銃マグナムXを手にレドルに戦いを挑む。

マグナムXからレーザーが撃たれる。

クルドはそれを連発し全弾命中。

しかし……。

レドルに全く効いて居ない。

「何っ!?」

「ハハハッ……残念だったなぁ……俺の首を狙う賞金稼ぎなんかいくらでも居るぜぇ?だが、何故そいつらが俺の首を取れないと思う?誰も傷付けられないからさ……このレドル様をなぁ!」

レドルは全身合金で出来た鎧を身に纏っていた。

「コイツはただの合金じゃねぇ……この宇宙で最も硬いとされる超合金メタルニウムを使ってるからなぁ。どんな攻撃でもビクともしねぇぜ……」

「なるほどな……全身硬い装甲で覆われてるって訳か」

「それだけじゃねぇ……このメタルニウムを武器として使えばどんな物でも貫ける強力な弾丸が出来るんだぜ?」

そう言ってレドルはメタルニウムで出来た弾丸を装填した銃をクルドに向かって撃った。

「くはっ……!?」

メタルニウムの弾丸に腹を貫かれたクルドは吐血し、その場に倒れ込む。

「チッ、急所は外したか……まぁ、いい……まだまだいたぶる楽しみがあるって訳だ……」

そう言ってレドルはクルドを蹴り仰向けにすると傷口を踏み付ける。

「ぐあぁぁぁぁっ!?」

レドルはそれを何度も、何度も繰り返すは

「酷い……アベル!ジーク!」

木の影から見ていたミッカはアベルとジークに声を掛けるが……。

「わりぃ、今手が離せないんだ……」

アベルもジークも戦い続けていた。

「よそ見してる場合じゃないですよ!」

バルゴがアベルの両目を狙って突いて来る。

「危ねっ!?」

ギリギリでかわすアベル。

「ったく、その名の通り邪道だな……」

「これが銀河邪道拳の戦い方でね。相手をねじ伏せる為ならどんな手だって使うのが教えさ」

「ならこっちも獣王拳の戦い方ってやつを見せてやるか」

アベルは獣王拳の本来の戦い方をする為にいつもと違う構えを取った。

それは体勢を低くし、獣が獲物を狙う時の様なポーズ。

「これが俺の持つ獣王拳の真骨頂……獅子の構えだ!」

アベルはその低い体勢のままバルゴに突撃。

足に力を込め一気に地面を蹴り込む事で瞬時に相手の間合いに入れる。

それが獣王拳の戦い方だ。

アベルはバルゴに近づき素早く技を連続で繰り出す。

それは獅子が獲物を鋭い爪で捕えるかの様に素早い動きだった。

「チッ……」

バルゴもアベルの攻撃に防御するのが精一杯の様だ。

「凄い……これが……アベルの本気……」

ミッカも感心する。

そして、ジークは素早い剣さばきでグエムと激しい戦いを繰り広げていた。

「ほぉ……やるねぇ……さすが銀河聖剣使い手だ」

「ありがとよ……あんたも中々やるぜ……だが、そろそろ終わりだ……」

ジークは愛刀『黒竜』を横向きに構える。

『銀河聖剣流奥義·燕』

ジークは黒竜で横一文字にグエムを斬り裂く。

だが、それより一瞬早くグエムの攻撃がジークの右肩を斬り裂いた。

「ぐあっ!?」

よく見るとグエムの剣はさっきより明らかに伸びていた。

「ば……馬鹿な……何だ……その剣は……」

「フフフッ……この剣は伸縮自在の蛇神剣、コブラ……蛇の神と書いて蛇神だ。コイツは便利でなぁ……離れた場所から獲物を狙うのに最適なんだが……ただ、それだけじゃない……コイツの刀身には毒が塗ってあってな……斬った相手の傷口から毒を注入出来るのさ……」

「て……テメェ……」

ジークが倒れ込む。

「ジーク!?」

ミッカが叫ぶ。

ジークが……そしてクルドが倒れる中アベルは必死に戦い続ける。

「クソッ……銀河邪道拳厄介だな……」

「フフフッ……ハーハッハッハッ!見たか!これがレドル一味の力だ!お前らごときガキの集団が勝てる相手じゃねぇんだよ!!」

レドルは勝利を確信し、高笑いをする。


続く……。









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