第6話「孤高の賞金稼ぎ」
大型宇宙船スペースドラゴン号を手に入れたアベル達は新たに剣士のジークを仲間に入れ惑星ブランダを出発した。
「外宇宙に行くって言っても直ぐに訳には行かないだろ?今からどうするんだ?」
ジークが尋ねる。
「そうね、外宇宙に出たらどんな星があるか分かんないし、当分の間食べられる様に食料を積んでおきたいわね」
ミッカが答える。
「よし!なら惑星ポッカポルカに向かおうぜ!」
アベルが提案。
「ポッカポルカ?」
「ああ、その星は食料の保存技術が発達してるから長持ちする食料を確保するには持って来いだ」
「じゃあ、行きましょ!」
「よーし、行くぜ!!」
アベル達一行は進路を惑星ポッカポルカに向けて宇宙を進んで行く。
その頃、アベル達が目指すポッカポルカでは……。
一人の男が一軒の飲食店に入って来た。
「いらっしゃい」
男はカウンター席に座った。
「ご注文は何にします?」
「ん〜……そうだなぁ……じゃあ、コレで」
男はメニューを指差して注文をした。
「はいよ!」
「それから……この男、見なかったか?」
そう言って男は1枚の手配書を見せた。
それは宇宙中の生物を集め生物兵器に改造して売り捌く犯罪者集団レドル一味の首領レドルの写真が載っていた。
「レドル一味か……噂には聞いてるが、見たことはねぇな……」
「そうか……」
「あんた、賞金稼ぎかい?」
「ああ、こう言う宇宙のゴミを片付けて大金が手に入るんだ。中々良い商売だぜ」
「へぇ〜そうかい……まぁ、俺らからしてみれば、悪党退治してくれんなら何でも良いけどな」
そう言いながら店主は注文された料理を作り始める。
それから5日後、アベル達を乗せたスペースドラゴン号は惑星ポッカポルカに到着した。
「見えたぜ!惑星ポッカポルカだ!」
「へぇ〜ブランダよりは小さいのかな?」
「ああ、だからブランダより重力調整装置を軽めに設定しないとな」
スペースドラゴン号はポッカポルカの大気圏内に突入。
「おおー!この船、大気圏突入時の衝撃抑制装置まで付いてんのか!」
「ああ、デカい船には大体付いてるよ。よし、着陸だ」
スペースドラゴン号はポッカポルカの大地に着陸。
ポッカポルカはブランダの様なスペースポートは無い為、適当な所に着陸させるしかない。
無事着陸したアベル達は早速外に出る。
「へぇ〜自然豊かで綺麗な星ね……」
「ああ、この惑星は自然との共存にも力を入れてる星だからな……だから野生動物なんかもその辺に……」
そう言ってアベルが目にした先には……。
レドル一味が野生動物をハントしていた。
「レドルさん!この動物中々役に立つんじゃないですか?」
「ああ、珍獣レベル3のレア物だ。コイツを改造すれば高く売れる」
「ねぇ、アイツら違法ハンティングじゃない?」
「ああ、根っからの悪党みたいだな」
「んじゃ、ちょっと絞めてやるか」
ジークがレドル一味に近付く。
「おい、テメェら!何悪い事してんだ?」
「ああ?何だテメェ?このレドル様に逆らう気か?」
すると、レドルの手下も……。
「おい、貴様!このお方がどなたか知らねぇのか?泣く子も黙るレドル一味の首領、レドル様だぞ?」
「知らねぇな……んな小者」
「小者だと!?……テメェ……死んで後悔しろー!!」
レドルがジークに銃を向ける。
「ちょっと待ったー!!」
そこにあの賞金稼ぎの男が乱入。
「あん?何だテメェ?」
「よっ、レドル……探したぜ……んで、そこのテメェ!!」
男はジークに向かって指差す。
「ああ?」
「テメェ人が探すのに5日も掛けた獲物横取りしてんじゃねぇよ!!」
「獲物だと……?」
レドルが聞き返すが……。
「はぁ?知らねぇよ。俺はまたまたコイツが悪さしてたから倒しに来ただけだ」
「あのな!俺はコイツを見つけるまで5日も掛けたの!その苦労が分かるか?ああ?」
「だから知らねぇって……」
ジークと賞金稼ぎの男の喧嘩が始まった。
「レドルさん……アイツら俺等の事完全に無視してますよ……」
「コイツら……俺を散々コケにしやがって!!纏めてぶっ殺してやる!!」
レドルがキレて二人に襲い掛かる。
「テメェは黙ってろ!!」
ジークは黒竜を抜きレドルに向ける。
男は銃をレドルに向ける。
「ぐっ……お、覚えてろよー!!」
レドルは二人の威圧に押され手下達を連れて退散。
そこにアベルとミッカが加わり二人の喧嘩を止めに入る。
「辞めろって二人共!」
「もう……二人が喧嘩してる間にアイツら行っちゃったわよ」
「何っ!?」
男はレドル達の方を見た。
しかし、レドル一味はとっくに居ない。
「あー!!テメェよくも人の獲物を!!こっちは5日間もアイツらを探してたんだぞ!!」
「知らねぇよ!!」
「はぁ……ったく、辞めだ辞めだ……面倒くせぇ……」
男は去って行く。
「ったく、何なんだアイツ……」
ジークはイラつき気味に文句を言う。
気を取り直し街で食事をする事にしたアベル、ミッカ、ジークの3人は飲食店を探す。
「おっ!こことかどうだ?」
アベルが一軒の飲食店を見つける。
「うん、値段も安いし良いんじゃない?」
「んじゃ、入ろうぜ」
3人は早速店の中へ。
しかし、入るやいなや周りの客達は3人を睨み付ける。
「えっ?何……?」
客は目付きの悪いガラの悪そうな男達ばかり……。
「おっ、お客様、申し訳ございません……」
店主と思われる男性が慌てた様子で出てきた。
「今、ウチの店は貸し切りでして……」
「は?そんなの何も書いて無かったぞ?」
「それが……今ちょっと前にこちらの団体さんがいらしたもので……まだ準備が……」
「おい……なら俺達が悪いってのか?」
ガラの悪い男の一人が声を掛けて来た。
「い、いえ!決してそのような事は……」
「フンッ、まぁ、いい。そういう訳でボウズ共、さっさと出て行け」
「ん〜?何か納得行かねぇな」
「ちょっとアベル……」
ミッカが止めに入る。
「ああ?テメェ何か文句あんのか?」
ガラの悪い男はアベルを睨み付ける。
だが、アベルも男を睨み返す。
「辞めとけよ。そいつらもレドルの一味だ。怒らせるとヤバいぜ……」
そう言って後ろから出てきたのはさっきのガンマンの男。
「あっ!お前……」
「フッ……どこにでも現れるねぇ……レドル一味、お前らのボスのレドルが居ない様だが……どこに行った?」
「ああ?何だテメェ……ボスに何の用だ?」
「ちょっと首を取りにね」
「テメェ……賞金稼ぎか……」
「ああ……雑魚のお前らに用は無い。ボスの居場所を教えろ」
「雑魚だと……吐かしやがったなこのキザ野郎がー!!」
男は襲い掛かって来る。
だが、ガンマンの男は瞬時に銃を取り出し男を撃ち抜く。
「ぐはっ!?」
男は倒れ込む。
「急所は外してやった。さっさと手当すれば死ぬことはないだろ……だが、レドルの居場所がつかめないんじゃここに用はないな……」
男は去って行く。
「あっ!テメェ!!」
他の仲間達が怒り心頭で追い掛けて来る。
「やべっ、逃げるぞ!!」
ジークがアベルとミッカに叫び3人も逃げ出す。
そしてガンマンの男に追い付く。
「おい!テメェ!!何も余計な事してくれてんだコラァ!!」
「いやいや……さっきも今も余計な事したのはそっちでしょ……」
「んだとテメェ!!」
「お前面白えな!名前は?」
「ん?俺はクルドだ」
「そっか!じゃあクルドお前、仲間になってくれ!」
「はぁ?」
「こんな時に勧誘すんな!!」
ジークとミッカに揃ってツッコまれる。
「待てコラァ!!」
レドル一味は相変わらず追い掛けて来る。
「チッ……しつけぇな……一気にぶっ飛ばした方が楽だな……」
「同感だ……」
アベルとジークは振り返って構える。
『獣王拳·獅子の鬣』
アベルは大勢の敵を一気に倒す。
そしてジークも……。
『銀河聖剣流奥義·孔雀』
ジークのこの技は孔雀の羽の様に太刀筋を広げ広範囲に斬撃を飛ばす大技だ。
二人の攻撃でレドル一味は一気に倒された。
「ふぅー……やっぱこうした方が楽だったな」
「ああ、だが、店で戦う訳にも行かねぇだろ。これで良かったんだよ」
「やれやれ……レドル以外は1エールにもならない雑魚だから何の足しにもならないのによ。まっ、俺の銃のエネルギーを無駄遣いしないで済んだ事には感謝するぜ」
「お前なぁ……」
「よし、レドルを探す前に礼を兼ねて飯奢ってやるよ」
「おおー!!本当か!サンキュー」
「まぁ、お腹空いてたからそれはありがたいけど」
「じゃあ、行こうぜ」
「おう!」
クルドに案内され、3人はこの場を離れる。
アベル達が去ってからレドルと数人の手下達が戻って来た。
「ん?お前ら何があった?」
「ボ……ボス……めちゃ強い格闘家と……剣士にやられて……」
「何っ?」
「レドルさん、もしかしてさっきの奴らじゃ?」
「可能性はあるな……アイツら……良くも部下どもを……生かしちゃおけねぇ!!」
レドルはアベル達と察し動き出す。
レドルの怒りを買ったアベル達には何が待ち受けているのか?
続く……。
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