第4話「ディザスターの脅威」

アベル達と入れ替わりで飲食店を出て行った剣士。

しかし、そんな彼を追う何者かの影。

「やっと、見つけたぜ……ジーク」


この剣士の名はジーク。

そしてそれを追う何者かの正体は?

気配に気付き立ち止まるジーク。

「……コソコソしてないで出てきたらどうだ?」

「おっと、気付かれていたとは……流石だね」

現れたのはディザスター帝国の兵士の制服を着た男。

「ディザスターの連中が何の用だ?」

「君にはディザスター帝国の加盟国、惑星ビドルクの大臣マコー氏から抹殺の依頼が来ていてね……君に恨みは無いが死んで貰う」

「マコー……あのクソ大臣か……だが、そう易々とお前らに従う気はねぇ……抹殺って事はテメェらもそれなりの覚悟があって来てるんだよな?」

ジークは剣を抜いた。

周りの人々がザワつく。

「フンッ……私はディザスター帝国暗黒騎士団の団長、ゲルドー。主に殺しの任務を請け負う立場上、返り討ちに遭う覚悟はあるつもりだよ?まぁ、負けた事は無いけどね」

ゲルドーも腰に差した剣を抜く。

「なら、心置き無く斬れるな……」

両者が剣を構える。

「行くぞ!!」

先にジークが仕掛ける。

ジークはゲルドーに接近すると横一文字に斬り裂く。

だが、ゲルドーはその攻撃をかわし反撃。

ゲルドーの剣がジークを襲う。

「ぐっ……」

ジークは何とかその攻撃を受け止める。

「流石、宇宙名刀シリーズの一つ、黒竜ですね」

「当然……でも、あんたの剣も中々だぜ……」

ジークは押し返す。


二人が戦っていると、騒ぎを聞いたアベルとミッカも現場にやって来る。

「あっ、あの剣士また戦ってるぜ?」

「本当……って、しかも相手ディザスター帝国の兵士じゃない!」

「くっ……アイツら……」

「助ける?」

「いや、これはアイツの戦いだ……」


今度はゲルドーの方から仕掛ける。

怒涛の剣さばきでジークを追い詰める。

「そんな攻撃じゃ……俺を倒せねぇぞ!!」

ジークの反撃!

しかし、その瞬間!


後ろにいたゲルドーの部下がジークを銃で撃った。

「あっ!!」

アベルは思わず叫ぶ。

ジークはその場で倒れ込む。

「ぐはっ!?……き……汚ねぇぞ……」

「あれれ〜?一対一なんて言ったかな〜?大勢の敵が居るのに周りに気を付けない君が悪いんじゃな〜い?」

「はぁ……はぁ……」

ジークは脇腹を撃たれ傷口から血が滴り落ちる。

呼吸をするだけで激痛が走る。

「くっ……」

「さぁて……トドメ刺しちゃおうかな〜?」

ゲルドーがジークに迫る。

「テ……テメェ……」

ジークは顔を上げゲルドーを睨みつける。

しかし、その顔は段々と顔色が悪くなり青白くなって行く。

「今、楽にしてやる」

ゲルドーは剣を振り上げる。

「辞めろー!!」

アベルが咄嗟に乱入しゲルドーを殴り飛ばす。

「ぐはっ!?」

ゲルドーはそのまま建物の外壁に激突。

「団長ー!!」

ゲルドーの部下達が叫ぶ。

「お……お前……」

「テメェら!卑怯だぞ!!」

「フフフッ……何も分かっていませんね……我々の任務は暗殺……相手を殺せば何でも良いんですよ……」

ゲルドーが立ち上がって答える。

「お前……我々の任務を邪魔した事でディザスター帝国を敵に回した!これから先お前はディザスター帝国の力で地獄に落とされる事になる!!」

「上等だ……俺はお前らを潰す!!」

「貴様一人に何が出来る?こっちは100万の兵力を抱える大帝国だぞ?蟻が恐竜に挑む様な物だ!」

「それでも……潰すさ」

「なら、貴様らは纏めて始末するとしよう……一度引き上げてやる。人生最後の1日を楽しむんだな」

ゲルドーは部下達を引き連れ去って行った。

「おい、大丈夫か?」

アベルはジークに駆け寄る。

そして、ミッカも2人に駆け寄る。

「お前ら……余計な事を……」

「良いじゃねぇか。助けてやったんだから……」

「分かってんのか?お前らはディザスター帝国に目を付けられたんだぞ?」

「構わねぇよ。俺達はディザスターをぶっ潰しに行くんだからよ」

「はぁ?」

「とにかく、手当しなきゃ……病院に……」

ジークはアベルとミッカに抱えられ病院に向かう。


病院でジークは治療を受ける。

ジークの治療が終わるのを待つアベルとミッカ。

「ねぇ、あの人大丈夫かな?」

「きっと大丈夫だ……」


そして医者が出てくる。

「やぁ、君達、終わったぞ」

「本当か!?アイツは?」

「大丈夫。弾丸も摘出したし、急所を外れていたから大事には至らんよ」

「良かった」

「まだ、薬が効いてるから眠ったままだ。しばらく安静にな」

「はい!」

ミッカが返事をする。

アベルは考え事をしていた。


その頃、一度撤退したゲルドー率いる暗黒騎士団は……。

「おのれ……奴め必ずこの手で殺してやるからな!!」

ゲルドーはアベルへの復讐心に燃えていた。


それから数時間後、この星も夜を迎え辺りは真っ暗だ。

しかし、この星の夜景は美しかった。

「うわー綺麗〜こんな夜景初めて!」

ミッカははしゃぐ。

「え?そうなのか?」

「うん……マルク星はこんな大都会じゃないから夜は暗いし……」

「そっか……」

「ねぇ、アベルはこれまでどんな星を旅して来たの?」

「ん?そうだなぁ……色んな星を回ったからな〜。あっ、そうだ!惑星イワンは海が綺麗な星だったぞ!」

「海?私見た事ないなぁ」

「そうなのか……まっ、この宇宙は広い。旅してる内にそんな星にも辿り着けるかもな」

「うん!」


その時、ジークは目を覚ました。

「んー……」

「おっ、目覚めたか」

ジークは起き上がる。

「お前ら……まだ居たのか……」

「ああ、アイツらはお前を狙ってる。放っておけないだろ」

「アイツらにはお前らも狙われてるって事忘れたのか?悪い事は言わねぇ……さっさと逃げろ」

「いや、俺はアイツらを潰す為に旅をしてるんだ。だから戦う」

「そういえば……そんな事言ってたな……何でだ?何でアイツらと戦おうとしてるんだ?」

「アイツらは宇宙の沢山の人々を苦しめてる。許せねぇよ!」

「そうか……そういえばまだ名前を聞いて無かったな。俺はジークだ。お前らは?」

「俺はアベル」

「ミッカよ」

「そうか……助けて貰った事には礼を言う。だが、アイツらとのケリは俺が付ける」

「そういえば、何でアイツらに狙われてたんだ?」

「ん?ああ、つまらねぇ話さ」

ジークはディザスター帝国に狙われてる理由を話出した。

ジークは最強の剣士を目指し一人、宇宙で武者修行の旅をしていた。

ある日、ビドルクと言う星に立ち寄った。

そこは王立国家で一人の大臣がディザスター帝国と結託し国王を暗殺して国の乗っ取りを企てていた。

だが、ジークにとってもそんな事はどうでも良かった。

修行の一環としてその国の兵団長を務める男に勝負を挑む事が目的だったからだ。

その兵団長も勝負を快く引き受けてくれ、二人は戦った。

お互いに力を認め合い、勝負が終わる頃にはお互い剣士として仲良くなっていた。

だが、その頃、国の乗っ取りを企てる大臣のマコーは乗っ取りに邪魔な兵団長を味方に付ける為、兵団長のフィアンセを人質に兵団長に自分に付けと脅迫して来た。

そこで、手出しが出来ない兵団長に代わってジークがマコーの屋敷に乗り込んだ。

マコーに深手の傷を負わせ兵団長のフィアンセを救出。

だが、それが原因となり、ジークはマコーから恨まれる事になってしまっていた。


事の経緯を話したジークは再び横になる。

「酷い……逆恨みじゃない……」

「さぁ、話したぞ。これで納得しただろ。お前らは巻き込まれない内にどっか行け」

「いや、増々ディザスターを潰し動機が出来たぜ。ジーク、俺達はもう仲間だ。一緒に戦おう!」

「……フッ……物好きな奴だな……」

ジークは再び起き上がる。

「分かったよ……なら手を組んでやるよ」

ジークが拳を突き出す。

「おう!」

アベルも拳を突き出し互いの拳を合わせる。


その頃、病院にゲルドー達暗黒騎士団が迫っていた。

「奴らめ……絶対に許さん……行けー!!」

ゲルドーの指示で暗黒騎士団が病院に奇襲を仕掛ける。


続く……。










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