第3話「剣豪現る」
アベルとミッカが惑星マルクを出発して次の惑星ブランダを目指す。
「あれがアベルが行こうとしてた惑星?」
「ああ、あの星なら大きな宇宙船が手に入るからな。あのブランダで宇宙船を手に入れていよいよ外宇宙を目指す」
惑星ブランダ、それは機械技術が発展し、大きな宇宙船を作っている惑星だった。
本来アベルが目指していた大きな惑星だ。
「あの惑星大きいから重力もマルクよりずっと重いんじゃない?」
「ああ、だからあの惑星に着いたら重力調整装置を使ってあの星の重力に合わせるぞ」
「うん……」
初めて行く別の惑星に少し不安げな表情を見せるミッカ。
だが、ミッカの不安とは裏腹に二人の宇宙船は惑星ブランダに突き進んで行く。
惑星ブランダの大気圏に突入。
大気圏の摩擦熱を感じながらも二人は無事ブランダに到着。
すると、目の前には大きな都市が広がっていた。
「凄い……私こんな大きな町初めて!」
「宇宙は広いぜ……この位の規模の街はいくらでもある」
そう言ってアベルはニッコリと笑った。
この惑星は他の惑星との交流も盛んな為、宇宙船を停泊させる巨大なスペースポート(宇宙船の港)が存在する。
アベル達はこのスペースポートの管理をする案内ロボットに指示され、エリアセブンと呼ばれる宇宙船の発着ステーションに向かう。
エリアセブンに到着し、宇宙船から降りるアベルとミッカ。
「よーし着いた」
「うぅっ……やっぱり……重い……」
ミッカは初めての別の惑星で重力になれてない為体が重いらしい。
「おいおい、大丈夫かよ?ほら、重力調整装置」
そう言ってアベルはミッカに重力調整装置を渡した。
重力調整装置、それはその星の重力に合わせてダイヤルを回す事で自分に掛かる重力を調整出来るアイテム。
それを体の何処かに取り付けて使う。
「お前体重何キロだ?」
「女の子にそんな事聞かないでよ!!」
ミッカはアベルにビンタを食らわせる。
「ぶっ!?な、なんだよ……」
ミッカは後ろを向いて重力調整装置のダイヤルを回して調整する。
ミッカは調整を終えるとズボンのウエスト部分に取り付けた。
「さっ、行くわよ」
「お、おう……」
殴られたアベルの頬は赤く腫れていた。
アベルとミッカは少しブランダの街をしばらく散策する。
「え〜っと……宇宙船を買うには……」
「そういえばあんたお金あるの?大きい宇宙船買うならそれなりの値段するわよ」
「無い……」
「じゃあどうすんの!?」
「気合いで何とかする。良い人が居れば安く売ってくれるかも知んねぇだろ?」
「はぁ……あんたそんな適当な感じで良くこの宇宙を生きてこれたわね……」
そんな会話していると、一軒の宇宙船ディーラーを見つけた。
「よし、ここ入ってみるか」
そしてアベルとミッカが入ると……。
「いらっしゃいませ」
出てきたのはその店の店主らしき男。
ニヤニヤと笑いながら手揉みをして来る。
「お客様宇宙船をお求めで?」
そう言いながら二人を品定めする店主。
この二人大した金持って無さそうだな。
適当に追い払おう……。
そんな事を考えながら接客をする失礼な店主。
「さてと……何か手頃な宇宙船無いかな?」
アベルは店内を見て回る。
ミッカも興味津々で宇宙船を見て回る。
「お客様、そちらの宇宙船は少々お値段がお高くなっております」
「ふ〜ん……あっ、確かに高いわね……」
そしてアベルは……。
「あっ!この宇宙船カッケェ!!」
「あ〜そちらは更にお高い品になっておりまして〜」
アベル達は様々な宇宙船を見て回る。
その頃、この店に近付くに近付いて来る数人の人影……。
店内に入ってくるガラの悪い連中。
「邪魔するぜぇ、宇宙船売ってくれや」
「あっ、はいはいいらっしゃいませ!」
店主の男は手の平を返した様にそっちの客の方に行く。
「散々こっちの接客してたのに……」
ミッカはムッとする。
「どのような宇宙船をお探しで?」
「大人数乗れる様な大型のヤツを頼む」
「ではご予算は?」
「ああ?テメェ、俺から金取る気か?」
「こ、こちらも商売でして……」
店主の男は冷や汗をかきながら手揉みをする。
「おいテメェ!お頭がどんなお方か分かってねぇ様だな!!こちらのお方は泣く子も黙る賞金首、宇宙海賊ゾアーク海賊団の船長ゾアーク様だぞ!!」
「ゾゾゾ……ゾアーク海賊団!?」
店主はその名を聞きガクガクと震えだす。
「ゾアーク海賊団?」
アベルは首を傾げる。
「え?アベル知らないの?ここいらの宇宙じゃ有名な宇宙海賊よ?何でも船長のゾアークは怒ると手が付けられない暴れ者でアイツの機嫌を損ねたら誰だろうと手に掛ける様な凶悪な奴なんだから……」
「ふ〜ん……」
「俺は懸賞金1500万エールの賞金首だぜ?俺に逆らう気か?」
エール、それはこの宇宙共通で使える通貨の単位だ。
「い、いえ……滅相もございません!?」
店主がゾアークにビビっていると……。
「ほぉ……1500万エールの賞金首か中々いい小遣い稼ぎになるな」
そこにもう一人誰かが……。
「あん?何だテメェ!?」
「なーに、ただの客さ……お前を倒せばもっと良い船買えそうだったんでな」
そこに現れたのは腰に剣を携えた一人の剣士だった。
「ただの客が、俺の首を狙うってのか?」
「こちとら武者修行の最中でね……腕試しも出来て金も手に入って一石二鳥だと思ってな」
「面白れぇ……相手してやろうじゃねぇか」
「なら表出ろ。店ん中じゃ迷惑だ」
ゾアークとその剣士は店の外に出た。
アベルとミッカも野次馬達と共に二人の周りに集まる。
「な、なんか凄い事になっちゃったね……」
「ああ……」
剣士が腰の剣を掴み構える。
「言っておくが俺は銃を使うぜ?そんな剣1本で勝てると思ってるのか?」
「ああ、勝つ」
剣士はニヤリと笑ってそう言い切った。
「早速死ねー!!」
ゾアークは銃を向け剣士を撃った。
だが、その剣士は弾道を完全に見切り弾丸を真っ二つに斬り裂いた。
「何っ!?」
「この勝負……一撃で決まりそうだな」
剣士は瞬時にゾアークの間合いに入り斬り裂いた。
「ぐわぁぁぁっ!?」
ゾアークは倒れた。
「フンッ……俺の勝ちだ」
周りの野次馬達は驚き声すら出ない。
「おい店主、宇宙船の支払いはコイツの懸賞金が入ったら払う。それでいいか?」
「は、はい!はい!喜んで」
「んじゃ、船を選び直させて貰うぜ」
店主と剣士は店の中に戻って行く。
「おい、お前強えぇな!」
アベルが剣士に話し掛けた。
「あ?ああ、あんがとよ」
「お前、俺の仲間にならねぇか?」
「はぁ!?何だいきなり!?」
「俺、強い仲間集めてるんだ。お前の実力は本物だ!」
「俺の腕を見込んでくれるのはありがてぇが、それはパスだ。俺には目的がある」
そう言って剣士は店の中に入って行った。
「ちょっとアベル……いきなり過ぎよ……大体仲間を集めてるなんて初めて聞いたわよ?」
「ん?ああ、仲間を集めてるってのはでまかせだが……ディザスター帝国と戦うにはどの道必要だろ?」
「いや、まぁ、そうなんだけど……」
「それより、私達も行こっ、この店あんまり良い感じじゃないし」
「ああ、そうだな……」
アベルとミッカはそのまま店を離れた。
「あーあ、あの剣士仲間にしたいなー」
「まだ言ってる……」
「なぁ、腹減らないか?何か食おうぜ?」
「切り替え早っ!?そうね……確かにちょっとお腹空いたし……」
アベルとミッカは近くの店に入った。
すると、その店にはあの剣士が。
「あー!お前!!」
「あ?何ださっきの奴らか」
「あなた……宇宙船選んでたんじゃないの?」
「ああ、気に入った宇宙船があったからキープして貰っといた。懸賞金が入ったら払う約束でな」
「なぁ、さっきの話だけどさ……」
「お前もしつけぇな……仲間にはならねぇよ」
「お前……目的ってなんなんだ?」
「……お前らに話す事じゃねぇ……。御馳走さん……」
「まいどー!」
その剣士はお金を置いて店を出て行った。
「だから……仲間にするのは無理だって。それより私達も何か食べよ!」
「ああ……」
店を出た剣士を追う何者かの影……。
「やっと、見つけたぜ……ジーク……」
続く……。
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