第2話「宇宙へ、新たな旅立ち」

アベルはガネットの店にやって来たディザスター帝国の第一戦闘部隊隊長ベルーモを殴り飛ばした。

しかしそれは後の大事件の引き金となってしまう。


ベルーモは部下を引き連れ撤退。

だが、ガネットも騒ぎを聞きつけ見に来ていた町の人達も喜んではいなかった。

「おいお前……」

「ん?ああ、ガネットさん」

「とんでもない事をしてくれたな!!」

ガネットは物凄い剣幕でアベルを怒鳴りつけた。

「え?何で?迷惑してたんだろ?」

「ああ……迷惑してたは……アイツらは定期的に金も払わず食料を奪いに来てた……だが、それでも……生きてく為には仕方ないと思ってた……それを貴様は突然壊した!!お前にこの町の人達の気持ちなんて分からんだろう……出て行ってくれ……」

「ちょっ、ちょっとガネットさん……」

ミッカが止めに入るが……。

「出て行ってくれ!!この町から!!」

「……分かった……じゃあな……ガネットさん……パジャナ……美味かったぜ……」

アベルは少し寂しそうに肩を落として店を出て行った。

「あっ、ちょっと待って!」

ミッカはアベルを追った。

「ねぇ、アベル!ちょっと待ってよ……」

「俺はこの星に居たら迷惑なんだろ……」

「そんな事……ただこの星の人達は皆ディザスター帝国にビクビクしてるだけよ……アイツら強いし……この星の人達には逆らえる力なんてないの……」

「俺は……ここに来るまでも何度もアイツらと戦って来た……だからいつもと同じ事をやって来ただけだ」

「えっ……いつも、戦ってたの?」

「ああ……俺はアイツらを潰す為にディザスターの本拠地を探す旅をしてるんだ……でも奴らの本拠地は外宇宙だから……俺の船じゃ行けないだからデカい船を探してるんだ」

「そっか……ずっと戦って来たんだ……よし、分かった。とりあえず早くブースターのパーツ買って帰ろう」

「ああ、ありがとな」

ミッカとアベルは気を取り直しブースターのパーツを売っている店へ……。

機械部品を扱う専門店にやって来た。

店内には様々な機械の部品が売っている。

ミッカは店内を一通り見て回る。

すると、店の奥から店主と思われる初老の男性が出てきた。

「やぁ、ミッカちゃん、またパーツ探しかい?」

「あっ、アムスさん!はい、ブースターのパーツなんですけど……この部品を……」

そう言ってミッカはメモしておいたスタースピーダーのブースターの品番を見せた。

「ん〜……これ結構古い型だな……在庫あったかな〜?」

そう言って店主の男性アムスは店内を探す。

「確かこのタイプの小型宇宙船は随分前に製造中止になったから……そのパーツも徐々に無くなって……」

アムスの話ではアベルの乗ってきたスタースピーダーは小型宇宙船の中でも古いタイプで何年も前に製造中止になっているらしい。

パーツを扱ってる店も減ってきていて在庫の数もあまりない様だ。

「ダメだ、やっぱりウチにも無いね」

「そうですか……」

「ミッカちゃん、この古い宇宙船どうしたの?」

「あっ、それはこのアベルの宇宙船で、今私が修理してるんです」

「そうか……君のか……」

「ええ、これは俺を育ててくれた爺ちゃんがくれた宇宙船なんです」

「なるほどね……お爺さんから貰った宇宙船を大事に乗ってるんだね……あっ、そうだ!これのパーツは無いけど、この船に対応出来る新しいパーツならあるかも知れないな」

そう言ってアムスは調べ始めるが……。

「あの〜……新しいパーツだと私お金が……」

「ああ、そうか……困ったな……」

パーツが手に入らず困っている頃……。


ディザスターの宇宙艇に戻ったベルーモは……。

「クソッ、あのガキ……よくもやりやがったな……こうなったら何処に隠れようが容赦はせん……この星ごと宇宙の塵にしてやる……おい!ファイナルランチャーの用意をしろ!」

ベルーモは部下に命令する。

「ファイナルランチャーですか!?あのガキ一人の為に星を破壊するおつもりですか!?」

「ああ……この星は食料も豊富で惜しいが……あのガキは生かしておけん……」

「でも……一発殴られただけでそんな……」

「いや……ただの一発じゃねぇ……あのガキは宇宙拳法の使い手だ……」

「え?」

宇宙艇の船内がザワつく。


「全艦隊を惑星マルクに向けろ!!ファイナルランチャー発令だ!!」

宇宙艇内に警報がなる。

ファイナルランチャー……。

それはディザスター帝国の誇る大艦隊で星に総攻撃を仕掛け全てを焼き尽くす攻撃だ。

ベルーモの艦隊は惑星マルクに向けて出発する。


その頃、ブースターのパーツ探しに苦戦するミッカとアベルは……。

「一応、新しいブースターの在庫がある店は調べたけど……手に入るかどうかは君達次第だよ」

そう言ってアムスはいくつかのパーツショップのメモを渡してくれた。

「ありがとうアムスさん」

「悪いな……ウチの店にあったら多少は安くして上げるんだけど……」

「いえいえ、十分です。それじゃ!」

「おう、気ぃつけてな」

アムスは店を出ていくアベルとミッカを見送った。


だが、その上空には既にベルーモの艦隊がやって来ていた。


「全軍攻撃開始ー!全てを焼き払え!!」

ベルーモの指示で攻撃が開始される。

遂にファイナルランチャーが開始されたのだ。

大艦隊からの砲撃を受け無差別に破壊されるマルクの町……。

「そんな……」

「クソッ……アイツら……」


町の人々は逃げ惑う。

「うわぁぁぁっ!?やっぱりだ……ファイナルランチャーだー!!」

そしてアベルは……。

「ミッカ……アイツらは俺が止める。お前はあの車で早く逃げろ」

「え?止めるって……無茶よ。あんな大艦隊相手に……」

「いや……俺なら行ける」

そう言ってアベルは体中のエネルギーを解放し始めた。

すると、アベルの周りの大地が揺れ始めた。

「えっ?な、何っ!?」

「行くぞ……ディザスター!!」

アベルは大艦隊に向かって大ジャンプ。

ミッカは呆気に取られる。

「うっそー……」


そして艦隊の1機に攻撃。

『獣王拳・獅子の鉤爪』

アベルはその1機を殴り飛ばした。

「ウソッー!?」

ミッカはあまりの驚きに今度は大声を上げた。

アベルのパンチを食らった宇宙艇は墜落し爆発。

これにはディザスターの兵士達も驚く。

「そんな馬鹿な!?ありえん!?」

だが、ベルーモだけは冷静だった。

「やはりな……」

「隊長、やはり……と言うと……」

「奴は宇宙拳法の一つ、獣王拳の使い手だ……」

「獣王拳?」

「ああ、奴がさっき俺を殴った時の構えがまさにそれだった。獣が獲物の首を爪で裂く様な構え……獣王拳ならではの構えだ。その獣王拳は体の中のエネルギーを極限まで高め、その拳は鋼鉄を破壊する程の威力だと聞く……」

だが、ベルーモが冷静に解説してる間にも次々に艦隊の船は破壊されて行く。

「お前で……最後だ!!」

最後にベルーモの乗る宇宙艇を破壊するアベル。

「ぐわァァァっ!?」

宇宙艇は墜落。

これでベルーモの艦隊は全滅だ。


命からがらベルーモが脱出して来る。

「おい!テメェで最後だ」

「くっ……」

そしてアベルは構える。

『獣王拳奥義・獅子の咆哮』

体に集めたエネルギーを一気に放出し敵に大ダメージを与えるアベルの大技が炸裂。

ベルーモは倒れた。


「凄い……凄すぎる!!」

アベルはたった一人でこの大艦隊を壊滅させてしまった。

「あっ、そうだ!」

ミッカは何かを思い出した様にベルーモの宇宙艇の残骸の方に行く。

「ん?どうした?」

「あっ、あったあった!ディザスターの宇宙船ならきっとあると思ったんだよね。ブースターのパーツ!」

そう言ってミッカはにっこりと笑ってブースターのパーツをアベルに見せた。

「おおー!それで俺の船直るのか!?」

「任せて!」

ミッカはサムズアップのポーズをして答えた。


それから数日後、

この数日間でミッカは急ピッチでスタースピーダーを修理した。

「さっ、出来たわよ!行きましょ!」

「行くって?」

「私もアベルと一緒に行く。ディザスター帝国を倒す為に旅をしてるんでしょ?なら私も手伝う」

「いや、でも……俺のスタースピーダー一人乗り出し……」

「そこは大丈夫。私の宇宙船もあるから」

「へっ!?」

なんとミッカも自分の小型宇宙船を持っていた。

「私……今回の事で思ったの……ディザスターとの戦いは他人任せじゃダメだって。大切なこの星の人達を守る為に私も戦うって。だから連れてって」

「そっか……分かったぜ!」

こうしてアベルとミッカは共に旅に出る事に。

二人は早速それぞれの宇宙船に乗り込み惑星マルクを旅立つ。


続く……。







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