銀河戦記

山ピー

戦いの始まり

第1話「運命の出会い」

この広い宇宙を旅する一人の少年がいた。

その名はアベル。

彼が乗るのは一人用の小型の宇宙船スタースピーダー。

「よし……もうすぐ次の惑星に到着だ」

アベルはある惑星に向かっていた。


だが、その途中……。

目の前から小型の宇宙船団が現れた。

「チッ……こんな所にもディザスター帝国か……」

ディザスター帝国、それは全宇宙の支配を目論み侵略行為を行っている悪の大帝国だ。

奴らの非道な行いにこれまでも多くの血が流れ多くの涙が流れて来た。

そしてアベルにもディザスター帝国との因縁が……。

「行くぞ!ディザスター帝国ー!!」

アベルはスタースピーダーでディザスター帝国の宇宙船団に攻撃を仕掛ける。

スタースピーダーに搭載されている攻撃用レーザー『スターブラスター』でディザスターの宇宙船団を攻撃。

次々にディザスターの宇宙船団を撃墜して行く。

「よっしゃ!!このまま一気に行くぜ!!」

だが、ディザスターの宇宙船団の反撃を受け撃墜されるスタースピーダー……。

「うわっ!?チクショーやりやがったな!?」

コントロールが利かず操縦不能に陥ったスタースピーダーはある惑星の引力に引き付けられ墜落して行く。

「うわぁぁぁぁぁっ!?」


そのままスタースピーダーは墜落。


その光景をこの惑星の住人の少女ミッカが目撃していた。

「あれは……大変!?」

ミッカは直ぐに墜落したスタースピーダーの方に向かう。


ミッカが駆け付けるとスタースピーダーの機体はボロボロだったが、衝撃吸収装置が作動したお陰でクッションが出現し、アベルは無事だった。

「よし……まだ助けられる」

ミッカはアベルを救出し自宅に運んだ。


しばらくしてアベルが目を覚ます。

目がかすみ視界のピントが合わない。

少しすると目のピントが合うと見知らぬ少女が覗き込んでいた。

「うわぁぁぁっ!?」

「ちょっ!?何よ失礼ね!折角助けてあげたのに……」

アベルは困惑していたが……。

「お前が……助けてくれたのか?」

「そうよ!でも、良く助かったわね……何があったの?」

「えっ?ああ……ディザスター帝国の奴らに……」

「そっか……じゃあ、アイツらこの近くに……」

「あっ、助けてくれてありがとう。俺はアベル」

「ミッカよ。あなたの宇宙船だけど、修理に少し時間が掛かりそうなの……」

「そっか……」

「ところでここは?」

「ここは惑星マルクよ」

「惑星……マルク?」

「取り敢えず見に行く?」

「あっ、うん……」

アベルはミッカに案内され、スタースピーダーの元へ。

ミッカが案内したのはミッカの家の隣りにある小屋。

「ここよ」

「ここで修理を?」

ミッカが小屋の扉を開けると中央にスタースピーダー。

そして、周りには工具や機械が所狭しと置かれていた。

「適当に座って」

「え?」

適当にと言われても椅子らしき物はない。

「いや……椅子は?」

「あっ、ごめんごめん。そこの木箱に座っていいよ」

そう言ってミッカが指さした先に古びた木箱があった。

「あっ、ああ……」

言われるがまま木箱に座るアベル。

すると、ミッカはスタースピーダーの修理に取り掛かった。

「お前が修理してくれんのか?」

「ああ、うん……私、機械いじりが好きでさ……この位の宇宙船だったら直せるよ」

「へぇ〜すげぇな……」

「でも、結構損傷が酷いからやっぱ時間は掛かるわねぇ……」

そう言いながらミッカは損傷しているブースター部分を見ている。

「あ〜やっぱり……これはブースターの交換が必要ね……予備あったかなぁ?」

ミッカは小屋の奥の備品置き場を見に行った。

しばらく待っているとミッカが戻って来た。

「ごめん……交換用のパーツが無いや……買いに行くけど、一緒に来る?」

「え?ああ、暇だしちょっとこの星を探索がてら行こうかな」

ミッカとアベルは町に出かけた。

ミッカの家は町の外れにあるので、町までは車で行く。

その車もまたミッカが自作した物だった。

「この車もお前が作ったのか?」

「うん、廃材を貰って来て1からね」

「へぇ〜」

「よし、行くよ」

ミッカの運転で車が動き出す。

廃材を組み合わせて作っている為、普通の車の様にはいかないが、ある程度のスピードも出て町に行くには十分だろう。

しばらく走り町に入ると車を止め、歩いて行く。

ミッカの車では狭い道には入れず不便な為、いつも町の入口に停めて買い物等をしているらしい。


「ねぇ、お腹空いて無い?」

「ああ……そういえば……」

「私の行きつけの美味しい店があるからそこ行こっ」

「うん」

そう言ってミッカが案内したのは普段からあまり客の入って無い静かな店だった。

「こんにちはー」

「いらっしゃい!おっ、ミッカちゃん!」

出迎えてくれたのは店主のガネットさん。

「ガネットさん、いつもの2つ」

「2つ?なんだ、今日はお客さんかい?」

「うん」

「よし、ちょっと待ってな」

ガネットさんはミッカの注文した料理を二人分作り始めた。

「ん〜なんかすげぇ良い匂いだな」

「そうそう、この匂いが幸せなんだよねぇ」

「何て料理だ?」

「それは来てからのお楽しみ」

そうやってしばらく待っているとガネットさんは二人分の料理を持ってきた。

それはこの惑星の食材でしかも安く食べられるチャーハンの様な料理だった。

「おお!美味そうだな!」

「この星ではそんなに高価なものじゃないけど、この星の野菜や魚介類も入ってる自慢の1品よ。パジャナって言うの」

「パジャナ?へぇ〜頂きます!」

アベルはパジャナを一気にかきこむ。

「うんめぇ〜!!」

「でしょ?」

「おっ!ありがとよ、兄ちゃん!」

アベルはパジャナが気に入った様子。

あっと言う間に平らげてしまった。

「早っ!?」

「おっちゃんお代わり!」

「ってまだ食べるの!?」

「はいよ!」

ガネットさんが急いで二杯目を作り始める。

しかし、そこに招かれざる客が入って来た。

「邪魔するぞ」

「らっしゃい!あっ……」

「よぉ、ガネット……また食料貰いに来たぜ」

現れたのはディザスター帝国の兵士達だった。

「ディザスター……」

「くっ……わ、悪いがあんた達大人数の食料を用意す程の余裕はねぇよ……」

ガネットが断ろうとすると……。

「ほぉ……一般の客には料理を出せて……我々誇り高きディザスター帝国の兵士には出せねぇってか?」

「そ、そりゃ、ウチは飲食店だ……金さえ払って貰えば出すけどよ……」

「なるほどな……貴様はディザスター帝国に金を払えと?」

男はガネットにゆっくりと歩み寄る。

「俺はディザスター帝国第一戦闘部隊隊長のベルーモ様だぞ?そんな俺に金を払えと?」

ベルーモはガネットに銃を向ける。

「くっ……」

「止めろ!!」

アベルがベルーモとガネットの間に割って入る。

「ちょっ、ちょっと……アベル……」


「何だ貴様は?」

アベルは鋭い眼光でベルーモを睨む。

「俺はアベル……」

「気に入らんな……貴様の様な弱者のクセに楯突く負け犬の目は……本当の力と言う物を見せてやろう」

ベルーモは銃の引き金に指を掛ける。

「一度だけチャンスをやる……今、この場で膝をついて謝れば見逃してやる……」

「ふざけんな……誰がお前なんかに……」

「おい、貴様!」

後ろに居た一人の兵士が口を出す。

だが、ベルーモはその兵士を制止する。

「え?ベルーモ隊長……何で?」

「今、俺がコイツと喋ってるんだ……口を出すな」

ベルーモの威圧感に部下の兵士を恐怖を覚える。

「しっ……失礼しました!!」

兵士は敬礼をしてベルーモに謝罪する。

「さて……アベルとか言ったか……もう一度聞く……謝る気はあるか?」

「フンッ……誰がお前なんかに……」

「そうか……では死ね」

ベルーモが引き金を引く。

だが、それよりも早くアベルが動く。

「おりゃあああっ!!」

アベルがベルーモを殴り飛ばす。

「あっ……やっちゃった……」

ミッカが頭を抱える。

「がはっ!?こ……こいつ……」

「俺……お前みたいな奴大嫌いなんだよね……」

「くっ……覚えてろよ……貴様は必ず……ディザスターの処刑台に立たせてやるからな!!行くぞ……」

ベルーモは部下達を引き連れ撤退して行く。

「ケッ、ざまぁみやがれ!!」


だが、この騒ぎを聞きつけた周りの人々は……。

「あっ……アイツ……とんでもない事やったぞ……」

「や……やべぇ……」

そんな声ばかりだった。

このアベルの行為は後にとんでもない事を引き起こす……。


続く……。







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