第23話

「女の子が続いたし、男の子も欲しいねー」


秋人は相変わらず呑気。


「そんなうまくいくわけないじゃん」


「遥は?どっちがいいかな?」


「私は子供が好きなの。どっちでもいい」


「ふふふ。僕も」


そんなこと話してたけど、ほんとに男の子が産まれた。嬉しい。


「ねぇ、将希まさきはお医者さんになりたいって」


「え、なんで?」


瑠々るるのね、病気に寄り添いたいんだって」


「わぁ、なんていい子なんだ」


「でも、そんなんじゃだめでしょ。継がせたいんじゃないの?」


「いや、別にいいんだよ」


秋人は何考えてんだか。

男の子が産まれたし、もう子供はいらないのかな?って思ってたけど、


「まだ子供欲しいの?野球チームでも作りたいの?」


「だってー、賑やかなの好きだもん」


私も好きだから、別にいいけど。育児も苦じゃない。


上の子が大きくなってきたとき、エレナから連絡があった。


「うちの子、遥みたいに強くてかっこいい子にしたいの。ボクシング教えてほしいわ」


「え?私が?」


「勇人がね、忙しくってね、あんまり帰ってこられないから子供たち寂しいみたい。秋人とそっくりだし、日本に行っていい?」


「エレナも来るの?」


「ううん。子供たちだけよ。お願い、遥のおうちで少しいさせてあげて」


「可哀想じゃない?」


「うちにいるほうが可哀想だわ。私も仕事ばかりだから」


「わかった。双子預かるから」


そんなわけで、ボクシングまたやりたくなった。


「ジム開くから、お金貸して」


「うん、投資する。マネジメントは任せて」


頼れる若社長。

ジムのスタッフにはボクシングジムの後輩を呼んだ。私のために働いてくれる。

うちの子みんな入れて、スタートした。本格的ジムで、大会にも出る。

私の目指すジム。そんなとこ。


「できちゃった…」


なかなかできないからもう無理かな…なんて言ってたら子供ができた。

ジムは後輩に任せるけど、大丈夫なのかな…


「やったー!女の子が多いから、男の子かな?」


秋人は、いつも喜んでくれる。


「ジム、潰れたらどうしよう」


「大丈夫。遥が基盤を作っているんだから、きっと大丈夫」


事業拡大する秋人は、もう無敵かなんかのかな。

昔、社長のポジションに悩んでたのが嘘みたい。


「生意気」


「そう?あ、そうそう、早川にようやく子供できたんだってー」


「へー、うちの子と同い年ってことになるね」


「いじめたいな」


「やめてよ」


「遥さーん」


私を呼ぶこの声は、私のかわいいいとこの双子の女の子エリ。


「なに?エリ?」


「私も兄弟欲しいなー!」


「そ、それはママに言ってよね」


「えー、ママ忙しいもん」


「じゃあ僕がパパに言ってあげる」


「ほんと?おじさんありがとう!」


エリは大喜びで去っていったけど…勝手なこと言うんだから。

そして早速電話する秋人。仕事早い。そしてスピーカーフォン。


「エリがねー兄弟欲しいってさー」


「ええっ!そ、んなこと言われても家帰る暇ないし、いや、無理だって!」


「パパ、頑張ってー」


意地悪な秋人である。


「えー兄さん難しいよ…」


「そーなのかぁ」


「兄さんひどいよー」


秋人ったら。すぐ電話切っちゃった。

勇人はすごい社長さんなのよ?

変なの。

こんな変なことになったのは秋人のせい。

秋人はすごい人だなって思ってる。

遠くに行くかと思ったけど、私の側にいながら遠くに行って帰ってきて。

秋人は器用なんだから。

私の自慢の夫。


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