第22話
今は11月。
「ビックニュース」
「なにが」
「弟がいつの間にか彼女を作っていた」
「ふーん」
「それと、遥に質問」
「は?なによ」
「女の子のアレはいつ来た?」
「んーきてない。でも私不順だもん。秋人のほうがわかってるくせに」
「もしかしたら…ちゃんと調べたほうがいいよ」
「えー病院?苦手なんだけどー」
「まずは検査薬で確認したほうがいいね」
検査…
「…うん」
「式の段取りは任せてね。勇人の彼女とも会えるかも」
「んー」
秋人が行ったあと、検査薬を買ってみた。
「うっそ、ほんとに」
とりあえず病院。仕事どころじゃない。ついでに秋人に電話した。
「私、今から病院行く」
留守電に入れた。あ、これじゃまだわかんないみたいじゃん。ま、いっか。
家に帰ってから、着信があることに気づいた。あ、留守電も。
「嬉しいよ、ありがとう」
わかったみたい。
式当日、お父さんと初めて会った。
「これはこれは、はじめまして」
秋人に激似なんですけど。
「ドレスは私どものブランドですよ。秋人の経営する」
「え、そうなんですか」
「兄さんの奥さんは背が高いですね」
「お前達が小さいんだろう。二人揃って自分より大きい方を連れてきたものだ」
でも、弟さんの奥さん。すっごい美人。
話をぐだぐだしたあと、花嫁の二人だけ残された。
「私、英語しかしゃべれないのですが…」
「大丈夫よ。留学してたから」
「わあ。よかった!」
「あなたは彼といつ出会ったの?」
「私、最近なんです。だからなんだか実感がなくて」
もしかして弟に彼女がって言ってたときに…まだ全然じゃない。
「よく踏み込みましたね」
「勇人が優しくて。社長さんなのにとってもかわいいの」
「ふーん、そう。私、遥よ」
「エレナ。私モデルしてるの」
「どうりでかわいいわけか。私はボクシングジムのインストラクター」
「きゃーかっこいい!私スポーツマン好きなの!」
「でも、社長さんでよかったの?」
「遥と親戚になれたから嬉しいわ!」
かわいい。素直でいい子だ。
「そろそろ行こうか?」
呼び出しに来た秋人。あんたここでも働くわけ。
式はたくさんの人の中で行われた。合同に座らせられた。
「遥、具合は大丈夫?」
「うん、弟さんは、なーんか取り囲まれてるね」
「ああ、彼女の会社の人たちみたい」
大変だー
「秋人、挨拶待ちだ」
お父さんから呼び出し。うちの親は来てるらしいけど見えない。
「あ、はい。遥は休んでてね」
忙しそう。
「遥、もう飽きちゃった」
エレナはほったらかしをくらっていた。この子、きっと秋人よりも年下。幼いもの。
「私も、暇になってきちゃった」
「ちょっと、外に出たいね?」
「警備がいるから無理でしょ」
「じゃあ遥と話す。遥は、子供欲しい?」
「え、うん。というか、もうできちゃった」
「へえ!?ほんと!すごいわ!」
「この子も跡取りで大変なのかなって思うとちょっと。でも嬉しいの」
「でも、勇人は会社のこと大切に思ってる。だからきっと大変とは思わないわ」
「ふ。エレナは二人で住んでるの?」
「いいえ。でも私お料理得意なの」
「そうなの」
「一番好きなのはホットドックよ!近所にあったの」
「お嬢様とかじゃないのね」
「ええ、そうよ。とってものどかなとこに住んでいたの」
エレナは無邪気でかわいらしい。
「遥、仲良くなったんだね。エレナ、勇人が呼んでますよ」
「はい」
綺麗な奥さんは颯爽と去っていった。
「遥、英語しゃべれたんだね」
「まあね。秋人も」
「そりゃできないとまずいもん」
偉そうにしてるー
式の後はお父さんたちとお話し。英語になってるのはエレナ向けなのね。
「秋人は、今使ってない家に住めばいいぞ」
「掃除大変そうだよ」
「いや、お前達が住むだろうと思ってちゃんと掃除はしてあるんだぞ」
「勇人は?」
「僕は建設中。まだできないから、しばらくは僕の借りてる家にいてもらうよ」
「あ、そうそう。遥は妊娠していて、今年産まれます」
「えー!?兄さんいつの間に!」
「そうかそうか。部屋も広いし住みやすいだろう。遥さん、息子のことよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
「エレナ、勇人は高校も言ってないのでよく教えてやって下さい」
「わ、私のほうこそ、よろしくお願いします」
帰国後、新しい家に行く。
家って?
「ここ」
「うそ。ここ誰かの豪邸だと思ってた!」
「僕が昔住んでたよ」
「でかすぎない?お手伝いさんとまさか住むの?」
「やだな。それじゃ落ち着かないから雇わない。使う部屋だけ掃除して、後は年末でいいよ。お、車も届いてるや」
「誰が乗るのよ」
「僕」
「免許ないくせにどうすんの」
「えーあるよ。高校3年の1月以降にとったよ」
「ありえな。段取りよすぎ」
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