第21話
「早川、のろけていい?」
「はぁ?他の女子はどうした」
「付き合ってないよ」
「うわ、その気にさせといてそれかよ。で、あの怖いおねーちゃんとなんでお前付き合ってんの?」
あんにゃろ。悪口言いやがって!
「うーん、そうだなぁ。高校のときから好きだったからなぁー」
「嘘つけ!お前女子と話してばっかだったじゃねーか?」
「それは、仕方なくだよ。遥としゃべる時間が惜しかったなぁ…」
「うわー、お前嘘ばっかじゃーん。あーあれだな?あの人結構胸でかかったもんなー」
なんだよ、こいつも一緒かよ!
「それもあるけど、かわいいじゃん」
「お前のタイプだったわけ?」
「うん、そう。じゃ、仕事だから」
切った。というか…
「いつから?私のこと…」
「ん?好きになったとき?」
「うん」
「遥も言ってよ?」
「は?なんで私…」
「僕は…テント張りの仕事を教えてくれたとき。遥って僕のこと金持ちって知りながらも罵ったよね」
「は、なんでそれで好きになんのよ」
「んー、心配してもらえたから?遥は?…最近?」
「悪いけど高校生の秋人とか、別になんとも思ってなかったからね」
「今は?」
「別に好きだけど」
「え!す、好き?僕?」
「そうだけど…な、なによ」
「嬉しいな。僕だけ一方的かと思ってたよ…」
「なんでよ。私、男なんかと食事とか行ったことなかったのに。秋人が無理やり連れてったのよ?もう!」
やだ、顔が熱い。
「遥、かわいい」
「うるさい!仕事はどうすんのよ」
「今から。今日は新作ドレスの発表会なのさー。あ、このまま仕事に行くね」
「うん」
ちょこまかと。よく動くわ…。
帰りは夜の9時頃。よく働いてる。
ご飯は秋人が朝作ってた残りを食べる。
「遥本当にここに住んでくれるの?」
「荷物は明日届くから」
「やったー!」
秋人はすぐ抱きつく。ベットに座る私が悪いけど。座ってたら身長差はそんなになく感じるからかな?
「もー。…あ!胸に顔やるな」
「遥の胸が大きいせいだよ」
「あー、あんた高校生のときそんな目で見てたわけ」
「や、違う!あれは早川に合わせただけだよ!僕はそんなやましい目で見ては…」
一生懸命説明する秋人。変なの。
「ほんとに?」
「い、いや。高校のときはほんと!でも、ジムを初めて覗いた時、遥…すごい露出してたからびっくりした。し、そのやましい目で見たかも」
「ったく!男ってほんとわかんない」
「遥のこと、やましい目で見ちゃだめ?」
「うるさい。もー触んな」
「えー、僕思ったんだけど、そう思うなら殴ればいいじゃん」
「なんでそうなるのよ。あんた大怪我するし」
「嫌がってないってこと?いいってこと?でいいの?」
きゅっと胸が締め付けられる。こいつ!
「さ、触んないでよ!」
「あ、ごめん電話。はい、細川」
この切り替え。なんなのか…
「いやぁ、遥ごめ…」
「お返し…」
「うわ、なんでいきなり脱がす!?」
「うるさい」
「あ、また電話だ…もう、遥の変態」
「どっちが!」
言い合いながら、騒いだ。
「めっちゃ汗かきましたよねー」
「つーかシャワールームまでの道のり遠いしーめんどくせー」
「こら、更衣室で脱げ」
「黒川さん、いたんすか。男らしいからうっかりしてたっすー」
「うるさい」
私はふと全裸の彼らを眺める。うーん、確かに秋人は大きいのかも。
「やっと休憩」
「遥さんお疲れ様」
後輩は汗を拭きつつ休憩室にきた。
「ねぇ、あのさぁ、男のアレはデカいのがいいの?」
「へ…あー、それは男はデカいのが憧れらしいですよー?え、子犬くんは小さいんですか?」
「子犬くんって、なによそれ」
「遥さんの彼氏ですー」
「…みんなに言わないでよ?」
「え?なんですか?」
「私、あの人と結婚することになった」
「ひゃー!いつ?いつです?」
「来年」
「驚き!…子犬くんは遥さんの後輩でしたよね?」
「うん、そうなんだけど。あっちが私を振り回してたんだけど、なんか…あーわかんない」
「いい子そうでよかったです」
「いい子って…社会人なんだけど」
「いやぁ、年下だから」
「ま、そうだけど」
「遥さんのこと、めっちゃ好きそう。だって後つけまくりでしたもん」
「やだな」
「あぁー遥さんが彼女とか羨ましい!私男なら遥さんを恋人にしたいですもーん」
「そ、ありがとう」
「かっこいー!」
かわいい後輩だ。
仕事は後輩と一緒に終わらせて、戸締まりまで完了。
「遥、ごめん。仕事早く終わったから…」
「わぁ!子犬くん!」
「ちょっと来ないでって言ったじゃん」
「どうも、こんばんわ」
「あ、どうも!かわいい顔ですね〜遥さん!ベビーフェイス!」
「ありがとうございます」
「律儀に答えないでよ」
「ごめんね、先帰る」
「はーい!」
秋人は堂々としてる。ムカつくー!
「もぅ!なんで来るのよ」
「2人で帰りたかったし!手を繋いでー帰ろ?」
「秋人のわがまま」
「ふふー。ご飯作ろうかな。僕がやるね」
…子犬?うーーん。
「遥、どーぞ」
「ありがとう」
私の荷物も増えて、狭くなった感はある。
別にいいけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。