第15話
2年でも体育祭委員長になった。
委員会の会議では、遥さんと目があった。
きっと覚えてる。だって、僕を見てた…と思う。
会議は上級生がメインだし、卒業生の近くにも行けないし、話をすることもできない。
いつ話せるかな…。女の子との予約もいっぱいだし…どうしよう。
設営のとき、なんとか探し、話すことはできた。覚えてたんだって、言われたけど…そりゃ女子は遥さんだけですから。
覚えてないみたいなこと言ったけど、嘘だ。ちょっとそっぽむいた。彼女の癖かも。
体育祭のリハーサル。本部には、記録係りの彼女が。ガサツに見えて、きっちりしてる。記録ちゃんととってるの、僕は知ってる。
他の生徒にもぬかりない指摘。さすが。
「細川くん、原稿読むから聞いてて?」
「どうぞ」
前年より、女の子が多く委員になってしまってるから、ゆっくり話することもできない。みんな話しかけてくるからね。
記録をとる遥さんの横顔はシャープだ。
やっぱり運動してるからかぁ。遥さんは、暇な時は寝てる。化粧っ気がないけど、肌は白くて綺麗だ。
「細川くん、組み体操がんばって!」
「あ、ああ、うん」
毎年これとか…他の競技は出てないようなもんだけどさ。
「細川、お前軽いんだからちゃんと落ちないようにな」
「わかってる」
早川は身長あって羨ましい。うう、こんな一番上で。恥ずかしいなぁ。1番高いところから本部を見た。
あ!遥さん起きてる。それに、笑ってる…!?
「あんた毎年一番上になりそーじゃん?チビだしー」
あとで話しかけられた。恥ずかしいけど、嬉しい…
「本番でも、頑張ります」
「怪我しないでよね」
僕だけ?こんなに声かけてもらえてる…?
「あんたシャキッとしなさいよ」
「す、すみません!」
あー、早川にも言った。羨ましい。
本番は気合い入れて取り組み、遥は記録係りを頑張っていた。さらに!中学生がこけたら、手厚く保健室まで運ぶ。素晴らしい!が、僕はその瞬間にいない。早川から聞いた話だ。僕はふらふらしてばかりだ。
帰りに、遥さんがもしかしたらここを通るかな?なんて思って校庭横にきたけど…通らなかった。
1年のときはたまたまこっちに用があっただけ?ふぅ、1人ため息。そして経済学の本を読む。遥さんにまた会いたいなぁ。
3年になって、自ら名乗り出た。派手に改革してやる。いままで納得できなかった部分を排除する。
「細川くん、今回は卒業生は例年より多く来てくれたようだよ。君が企画に加わってくれてから、評判いいみたいだ」
「ありがとうございます」
「メンバーリスト渡しとくよ」
「はい」
欠かさずチェック。黒川…あった!今年も来てくれるのか〜よかった!そして、とても嬉しいことに、会議の前後でなんの違和感なく話せる!
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