秋人サイド

第14話

「細川くん、明日の昼休みは予約ある?」


「ごめんね、15分なら可能だけど」


「じゃ、そこで!場所は廊下で」


「じゃあ時間は13時からね」


「…あいっかわらず大人気。お前の休憩時間ほぼねーじゃん」


「ふう、…ん?何か言った?」


女の子との話しが終わったところ、早川に話しかけられた。


「モテモテだよなー!お前って!」


「羨ましい?」


「うるせーよ!」


早川は中学のときから仲良くしてくれる。この口調はお兄さんが組系の人かなんかで、うつってしまってそのままらしい。このことは、おそらく他の人には話してない。


「早川ならもてるのに。身長もあるし、頭もいいじゃないか」


「ふん、お前のような紳士さはなーい」


「紳士?そうなりたいの?」


「別になりたいとは言ってねー」


早川は数学大好きですごくまじめで…まじめすぎるんだよなぁ。


「細川くん、明日の昼休みの予約できる?」


そんな会話をぬって、隣のクラスの女の子が話しかけてきた。早川と話してるのにね。


「ごめんね、15分なら可能だよ」


「じゃあ廊下で」


「時間は13時15分からで」


「てか…お前」


「早川とも話してみたら?」


「え…それは結構です」


丁重に断られた。


「お前!さっきの子も15分だったじゃん」


「えー、だって疲れるから」


「お前…ひどい。好きな子じゃないとだめってか!」


「うーん、好きな子かぁ…」


「いないのかよ!」


「いないことはないけど」


「あーそーですか!」


「早川はものすごく彼女欲しいんだね」


「別に大学行けばもてるからいい!」


「へー、大学デビュー」


「なんだよデビューって」


「イメチェンするんでしょ?いろいろ」


「しなくともいける!たぶん」


そうかな…。早川、女の子と話すことすら苦手なのに。すぐ照れちゃって。


好きな子かぁ…


遥さん、また来年も来てくれるかな?


そもそも学生には興味持ってもらえる?

うーん。


「細川くん、悩み事?」


放課後、女の子と話す。


「そう、なんだ。憧れてる先輩がいたとしたら、手が届かなくとも話しかけるべきか…って他の子が聞いてきたから」


「難しいね…。でも当たって砕けるのもいいんじゃないかな?」


「そうアドバイスしとくよ」


僕のことだけどね。


学生生活で1番嫌なのは体育。僕は運動神経がない。皆無。


「体育だりぃ!全然しなくていいのに!」


「体力をつけるのは大切だけど…ね」


わかっていても走るのは辛い。


「くっそー、走るの苦手だぞ俺!疲れた!」


早川も運動神経がない。


「女子と距離が違うのって辛いよね。体力ない人には過酷だよ」


「お、女子が抜いて行くぞ」


「みんな早川見てる」


「お前だろ」


女の子たちは無邪気に手を振る…走るの苦じゃないのかな?


「やっぱ高校だと女子の発育いいから、やべーよなぁ」


早川は女の子に見とれている。夢を見ている。


「…早川それ、あんまり大声で言わないほうがいいよ」


「お前はどんな体型がいーわけ?」


「体型かぁ、まあないよりある方がいいかな」


「俺はないとか無理だな」


「女子に聞いたらありすぎても重くて苦痛らしいよ」


「てめ、なにセクハラ発言してんだよ」


「あっちが言ったし」


「おめぇ、まさか触っ!いや」


「普通に触ったよ?」


「はぁ?なんでそ…ええ!?」


「早川ごめん。僕は結構女の子と遊んでるよ」


「裏切り者ーー!羨ましすぎるぞー!」


「早川は大学でもてるから一緒だって」


「か、感想は…ど、どんな」


「プライバシー侵害」


「おのれー!」

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