第13話

秋人の部屋はきれいに整頓されていて、難しい本が本棚いっぱいに入っていた。こいつ綺麗好きなのか?


上がったはいいけど、やることがない。勝手にベットに転がる。金持ちなのに、別に普通のアパートだし普通の部屋だし、普通のベット。


「遥?」


「あ、え…寝てた!」


「起こしてごめんね。ご飯まだだった?」


「あ、うん…」


「僕が作ったものでよかったら、どうぞ」


この匂いは…


「え、カレー?」


「好き?」


「いや、意外だなって」


「え?食べる?」


「うん」


味もまずまずで、庶民的。わからない。


「遥、話しておきたい」


食べ終わってまどろんでいたところ、秋人は真剣になった。


「なに?」


「僕と、結婚してください」


「え…」


いつの間にか指輪の入った箱を差し出してる。


「ま、待って!私、社長の嫁なんて無理だって!」


「遥、僕は…遥じゃないとだめなんだ」


「待って、私よりもっと綺麗な人じゃないと!」


「遥が1番。僕のそばにいてほしい」


くっ!なにその真剣な顔。まっすぐな目線が痛い。


「遥?顔すごい赤いけど…」


「私なんて…」


「お願い」


「私…」


「遥のこと、愛してる」


くっ…真顔でよく言えるな。


「遥は?僕といるの嫌?」


「嫌…じゃない…でも結婚って…」


「まだ19だからできないよ。うちでは20で結婚がルール。ということで婚約ということになるんだけど」


「急に冷静にならないでよ」


「だめかな?」


「秋人ってわがまま。自分勝手で私を振り回して」


「ごめん。遥には甘えたくなっちゃって」


「うるさい」


「ええと、結婚の話は…おっけーなの?」


「もう、いいから!やればいいんでしょ?」


「やった!嬉しい」


秋人に抱きつかれた。

ほんとチビなんだから。

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