第7話

金曜。

今日は秋人と会うことになっている。連絡先交換したけど、連絡は一度もしていない。


「あれー?遥さん帰んないんですか?」


「別に…」


この間会った時間より遅いけど、まだ来ない。


「遥ー!ごめん!遅れた」


え、スーツ?

この間みたいな私服じゃないじゃん!


「ええーやだ!遥さん彼氏?」


「違う」


「いやぁ、ちょっと残業してしまって…」


「行くよ」


「え、あ」


めんどくさいから手を引っ張っていくことにした。あーあ!明日後輩に茶化される。


「遥、怒った?」


「私はもともとこんな顔よ」


「じゃあ、なんで手を繋いでくれたの?」


「うるっさい」


「どこに行く?」


「お金ないしファミレス」


「うん」


いーのかよ!

そのまま連れていった。席に着くなり、疑問をぶつける。


「なんでスーツなのよ。そうしてるとサラリーマンっぽいけど」


「ありがとう」


「てゆーか、ジムで会うのは嫌なんだけど」


「ごめんね。じゃあ次から場所を変えよう」


私なんでこいつのペースに乗せられてんのよ…!むかついたから、未成年には飲めないお酒を頼み、好きに飲むことにした。


「遥はお酒強いね。僕は未成年だから飲んだことないけど…強くなれるかな?」


「ならないとまずいでしょ?あんたさー接待のたびに飲まないといけないんじゃないの?」


「えぇ〜それはプレッシャーだな」


「飲んでたら慣れるわよ」


「うん、そうだといいな。弟の勇人は海外だから、きっと僕より飲まされるんだろうな」


「弟ってテレビに出てた?」


「うん」


「どこいんの?」


「アメリカだよ。本社がアメリカにあってさ」


「あんたは行かなくていいの?」


「うん。勇人と父でやってるからね」


「で、あんたはどこでなにやってんのよ」


「僕はまだ社長見習いみたいなもので、いろんな会社を回ってるよ」


「たらい回し?」


「え…?そ、そうなのかな?」


珍しく戸惑ってるし。うける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る