第6話
「喫茶店にしよう。個室の」
「なにそれ、勝手に決めてるし」
「おすすめなんだ。ここだよ。じゃあ中で話そう」
「ちょっと、話まだできてないんだけど!」
子綺麗な喫茶店に到着。私ジャージなんだけど…。細川は全く話を聞かずに入っていく。
「なににする?おすすめはパスタかな」
「じゃあそれでいい」
細川はさっさと注文した。早い。
「遥、さっきの社長の話って何?」
「…あんたさ、テレビ映ってないじゃん。誰よあれ」
「…あ、僕じゃないって気付いてくれたんだ」
なんか喜んでるような?
「だって、あんたあんな大人しくないじゃん」
「嬉しいな。学校の友達は間違えてた。社長就任おめでとうってね」
「…結局社長じゃないってこと?」
「いや。僕の弟の
「ふーん」
「じゃあ、僕から遥に質問してもいい?」
「…待って。私からまだ質問があるんだけど」
「いいよ?…あ、ご飯きたよ?」
いちいち教えなくてもわかるから。早速食べるけど。
「それより、あんたさ、今日忙しかったんじゃないの?なんで今日来たの?」
「昨日卒業して、今日記者会見で。卒業したら遥に会うって約束してたし」
「別に約束なんか」
「僕は約束は守るよ」
「…あっそう。で?あんたから質問ってなに?」
綺麗に食べる細川。なんか育ちがいいことを今更感じた。
「うん、遥のことなんだけど。仕事はいつもこの時間に終わるの?」
「いつもじゃないけど。今日は早く上がれた」
「僕も時間が決まってなくて。次もまた会いたいから、連絡先を教えてほしい」
「…別にいいけど。私携帯ってよくわかんないのよね」
「僕が登録するよ」
言われるがまま、渡す。いつもジムでは後輩がやってくれるみたいに。
「はい、データ勝手に見ないでよね」
「うん。一度僕の携帯にデータ送るね。遥の携帯にも入れるね」
「慣れてる。女子とそういうやりとりしてたんでしょ」
「うーん。連絡先は教えてない。仕事の人と混ざるとややこしいから」
「なにそれ、でもさっき友達が間違えたって」
「あぁ、道で会ったから」
「なにそれ、私は仕事関係ってこと?」
「ううん。遥は彼女になるからね」
「…あんたよくわかんないこと言うわね」
「はい、携帯返すよ。確認してみて?」
「…ないよ?」
「
「は?あんたそんな名前なの?」
「そうだよ」
「ふーん」
秋人の名前はちゃんと入っていた。
「僕は遥で入れた」
「あっそ。僕とか私とか、あんた俺って言わないよね」
「うん。昔から僕って言ってたからね。気持ち悪いかな?」
「別に」
「遥、早速だけど来週は会える?」
「は?いつ?」
「金曜」
「いいけど」
「じゃあジムの前まで行くから」
「わかった」
食事中、常に喋ってる気がした。こいつすごいおしゃべり。
「お金は僕が払うよ?」
「いい。自分の分は払わせてよ」
「わかった」
てゆーか!
なんで私、こいつと会ってんのよ!
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