第4話
翌年も体育祭の手伝いに呼ばれた。お金ももらえるし、悪い話しではない。
会議では、また細川を見つけた。まーた委員長なんじゃないの?あいつ?私と目が合うと、笑顔で会釈した。…私のこと、覚えてんの?
設営の日、私はテント作成をする1年についた。今回、一度も細川とは話していない。休憩に校舎の方へ向かうとき、
「細川くんは、年上と年下、どっちが好き?」
う、タイミング悪い。
細川は女子と渡り廊下で話していた。2年は休憩の時間なわけね…。
「どちらでも。魅力的と感じたら関係ないと思う」
「そう?私、美人だしー社長婦人になれる?」
「見た目では判断できないよ。内面も関係あるし」
「うんうん、そうかー」
「それじゃあ時間だから」
うわ、女子を置いてった…。
と、その先に立っていた女子と話す。なにあれ…?
まぁ、いいや。会議室に置いていた自分の荷物から、飲み物を取出して飲んでいたところ、細川が現れた。
「黒川さん、お久しぶりです」
「覚えてたんだ」
「会議でも僕と目が合いましたよね」
「知らない」
「今年もよろしくお願いします」
「正月みたい」
「細川ー秋人ー!どこだー」
外から声がした。
「あ、行かないと。では失礼します」
いちいち丁寧だな。
そのまた次の年も、細川は委員長。というか、高3だし体育祭で1番重要ポジション。偉くなった途端、細川はばんばん話を勧める。
協力したい体育祭委員以外の生徒、中学生までもが手伝ってくれる。そして、体育祭委員に中学生も加えた。
「黒川さんがまた来てくれて嬉しいです」
委員長だし、卒業生とも普通に話す。会議の段階で。
「別にいつものことだし」
細川は設営もぬかりない。役割と時間を的確に決めていた。私はテント作成の指導。かと思ったけど、高校生が指導。私は、石拾いとか雑用。これなら、次の日はリハだけの時間をたくさん取れる。
「あんた、毎年組み体操上じゃん」
「身長が1ミリも伸びなくて…」
「チビだもんね」
「細川くんの身長なんて関係ないじゃないですか!」
…隣に座っていた委員の女子に睨まれた。彼女なのか気取りなのか。
「いや、黒川さんの言うとおりです。組み体操では身長体重で乗る場所が決まりますから」
「卒業生だからって、細川くんに暴言とか許せない。この細川くんは、来年社長になるんですよ?知らないんですか?」
「なんで私が知ってないといけないわけ?」
「細川グループのこと知らなすぎ。信じられない」
「僕のことはいいので、放送原稿の推敲しましょう」
「細川くん!でもこの人ひどい!」
「えっと、ここの言い回しですが…」
無理やり話を打ち切る細川。なんだかちょっと焦ってる気がした。
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