第7話 いろはす

私のいるオフィスは喧騒の中にある。


取引先に電話する声やPCのキーを叩く音、

先輩が後輩に仕事の説明をする声、

ただのおしゃべり、

それらが喧騒を作っている。


私は事務仕事が終わり、ペットボトルのいろはすを飲んでいた。


それを飲み終わり、このペットボトルをどうしようかと思った。


この喧騒の中なら、つぶしても音はまぎれてしまうだろう。


私はいろはすをつぶした。


バリバリ、バリバリ。


その音は私の想像したよりも、はるかに大きく、オフィスの喧騒の上をいった。


オフィス中の人が音のする方を見た。


私は取り返しのつかないことをしてしまいました。


前の席にいた後輩の南川くんが、

飛び上がるように驚いて、こっちを向いた。


「びっくりしたー。みさき先輩、いろはすを不意打ちでつぶすの、やめてもらっていいですか?」


はい、もう2度としません。



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