第6話 甘酒とおしるこ
同僚の伽奈ちゃんは、寒くなると時々、会社の自販機で買った甘酒をくれる。
甘酒は疲れた脳を癒すのに、ちょうど良い甘さだ。
だからありがたくもらっていた。
でも伽奈ちゃんはいつも缶のおしるこを飲んでいる。
どうして同じものにしないのだろう。
私は甘酒もおしるこも飲めるので、おしるこでも全然構わない。
でもいつも、私の方だけ甘酒なのだ。
ある日、その全貌が発覚した。
私が会社の自販機が置かれてる場所を通りかかったら、
「あっ、また間違えた!」
と伽奈ちゃんの声がした。
嘆きの響きだ。
そっと物陰から見ていると、
手には甘酒の缶が握られている。
伽奈ちゃんは自販機にスマホをかざして、もう一本買おうとした。
出てきたのは、おしるこの缶だった。
おしること甘酒の缶はたいてい隣り合わせている。
だから間違えるのだろう。
伽奈ちゃんは時々、取り返しのつかないことをしていたのだ。
伽奈ちゃんはたしかにボーッとしてることが多い。
主任にそれを指摘されることもある。
が、だからって自販機の並び順は変わらないはずだし、そんなに間違えなくても!
私はそそくさとオフィスの自分の席に戻った。
すると伽奈ちゃんが私のとこに来て、
「みさきちゃん、甘酒飲む?」
来た、来た。
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