盗聴機は高い

ヤンデレならば!思い人の全てを知ってて当然であるッ!

だがしかーし!私は幼馴染くんの事を全然知らなかった事が判明した!


距離が近い余り視野が狭くなるって、こう言う事を言うのね!


よし!今回は誰も、家族も、妹ちゃんも知らない様な幼馴染くんの秘密を調べるよ!














早速、適当に理由を付けて家に上がらせて貰い、幼馴染くんの部屋に忍び込む事に成功した!

さーて…何か秘密はあるかなー?


色々な所を物色してみたけど…本棚、机、タンス…どこも普通ね…


なら!ベッドの下や引き出しの奥はどうだ!男の子ならちょっと、え、えっちな本の1冊は持ってるはずだよ!


あ、もしかしたら私の隠し撮りとか…そ、それなら100点かな!でも隠し撮りしなくても、幼馴染くんになら、いくらでも写真はあげるのに…


さあ!ベッドの下にあるのは何だあ!!












『僅かな埃と古着の入った袋』




真っ白だ。うん、凄く真っ白だ…


不埒な事考えた私が馬鹿みたい…


い、いや!まだだよ!もしかしたら夜な夜な私を妄想して色々やってるかもしれない!


よし!ならば盗聴ね!あ!これ、いかにもヤンデレっぽくて良い!


盗聴機…なんて持ってる訳が無いからお古の携帯で代用!カメラの録画モードにすればそれっぽく出来るはず!


とりあえずベッドの下にでも仕掛けて…よし!設置完了!後は撤退して…


「弥生さん…?」


「ほわぁぁぁぁぁぁ!!??」


ゴツンッ!


「痛ぁぁぁぁぁぁ!!」


嘘!妹ちゃん!?何でここに!?


「お兄ちゃんの部屋で何してるの…?しかもベッドの下に入って…」


ヤバい…いくら私でもベッド下に潜り込むのは完全に不審者だ!

ご、誤魔化さないと…


「これは…えっと…忘れ物!前来たときに忘れ物したから取りに来たの!でも見付からなくてねー!いやー!どこに置いちゃったんだろうー!」


「だったら私も一緒に探す!2人で探せばすぐだよ!」


うぅ…優しさが眩しい…とっさの嘘にもこんな親身になってくれるとは…


でもそれはそれでマズイ。万が一携帯がバレたらドン引きも良いところだ。




******




『え…これ携帯?もしかして弥生さんのですか?』


『え、あー!ありがとう!見つかって良かったなー!』


『でも録音になってるよ…?今仕掛けたんだよね…?』


『いやーそれは…』


『盗聴とか気持ち悪い…もう出禁にしてもらうね…』




******




あかーん!!バレたら出禁食らう!いや、盗聴しようとしてる私が言えたことじゃ無いけど!とにかく変な疑い持たれる前に即時撤退!


「あ、あー!見つかったー!いやー良かった!良かった!妹ちゃんありがとね!とりあえず今日は帰るから幼馴染くんによろしくね!」


「は、はい…?」


結局適当な紙くずをポケットに入れて、その場をやり過ごした。今後は妹ちゃん対策もしないと駄目ね…


あれ?そういえば、妹ちゃんは何で幼馴染くんの部屋に来たんだろ?
















次の日


よし!今日は携帯を回収しないと!ベッドの下に早速潜り込む!


「よしよし、バレてなさそうね」


画面が真っ暗なのが気になるけど…とりあえず今は長居無用!今回は妹ちゃんに見つかる前に撤退するッ!


それに万が一見付かっても大丈夫!今日はリップクリームを持ってきた!これをダシにして逃げれば良い!


ベッドの下から抜け出して、もぞもぞ動く毛布を後にし、家から撤退し…




え、ちょっと待って…何で…毛布が動いてるの…?


動く毛布の隙間から見えるのって…


もしかして…髪の毛……?




いやいやいや!あり得ないあり得ない!…でもちょっと気になる…




好奇心で毛布を少しだけ捲ってみると…




そこには真っ白い手が……!




「ひええええええええ!!!」


無理!もう無理!おうち帰るぅぅぅ!!!


私は猛ダッシュで幼馴染くんの家を後にした。


そして弥生が居なくなったと同時に、セーラー服の少女が毛布からひょっこり顔を出した。


「あれ…もしかして誰か居た…?気のせいかな…?」






******






何だったんだろ…うん!忘れよう!オバケなんて居なかった!いいね!オバケなんて嘘さ!


さて、気を取り直して録音された音声を…あれ?3時間しか録音されてない…


古い携帯だし、どこか悪かったのかな?それでも3時間もあれば何かしら入ってるかも!


早速再生!!


『……………さ………』


『…お…………ち………も………』


んー?あんまり聞こえないなぁ…お、何か聞こえてきた!


『とり…こ……み……』


『バ………ザ……』


確かに聞こえた…けど解読は無理かなぁ…


んーあんまり成果は無いかも?


『ぁぁ…ぅぉぉ…』


『な……こ…つ……』


『ぃ…ぁ…た……けて……』


『こ……す……たち……れ……』


『お……の……せ……だ………!』


「いやぁぁぁぁ!!何これ!ホラーじゃん!!」


幼馴染くん普段なにしてるの!?!?






******








「何あれ!!何してたの!!??」


「急に電話してきて何事かと思えば…別に普段俺が何しようが勝手だろ」


「いや、それはそうだけどさ…私の古い携帯がね…」




かくかくしかじか


あ、携帯はベッド下に落としてたって言ったら納得してくれたよ。




「あーなるほどね」


「うん、昨日何してたの?」


「まあ確かにホラーって言うか◯イオ◯ザードを見てたぞ」


あぁ…そっかぁ…びっくりしたよ…


…そりゃそうだよね!オバケなんて嘘だし!聞き間違いだよね!


「もー…びっくりしたぁ…もしかして映画?3時間もやめてよね…」






























「は?俺は2時間しか見てないぞ?」


「え?」


「2時間で終わりだからそのままスマホ持って部屋から出たが…」




え?




「別にホラー要素がある音は流してないぞ?」




え?




「もしかしたら、風とかが声に聞こえたのかもな」




いや…あれは間違いなく声だったよ…?




じゃあ残りの1時間は…?




『こ……す……たち……れ……』


『お……の……せ……だ………!』






















「うーん…」


私は恐怖が突き抜けて失神した。


「弥生!しっかりしろー!弥生ぃーー!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る