赤い料理~妹を添えて~
ふっふっふっ!今日の私は一味違うよ!ヤンデレには大きな特徴がある事に気が付いたんだからね!
それは!そう!料理スキル!
ヤンデレが作る料理は、真っ赤な物が多い…つまり!
トマトやニンジンを沢山使った料理を多く作る傾向がある事に気が付いたのよ!
つまり赤い料理が全体的に多い…これは真っ赤な料理をマスターすればヤンデレに近付けると言う事になるッ!
さあッ!行くぞ!いざ!ママとスーパーに!
「早く準備しなさい!置いてくよ!」
「あ!待って今行くから!」
AM5:00
さあ、準備は整った!只今より幼馴染くんのお弁当作りを開始するッ!
お弁当箱もこの為に赤いのを用意した!準備はバッチリ!
まずはお米よ!これは対策済み!
じゃじゃーん!お赤飯!レンジでチンすれば一発!いや~便利な世の中ですなぁ。
え?トマト使ってご飯は炊かないのかって?あっはっはっ、私が出来るわけ無いじゃないか。
次はニンジン!赤い食べ物と言えばやっぱこれ!とりあえずぶつ切りにして…うーん…とりあえず焼いとけば食べれるよね?
火が通るまで時間かかりそうだし、次の品に移るわよ!さあ、パプリカちゃん!出番よ!
これも焼く…のは流石に芸が無いなぁ。んー…◯ook◯adで何か作れそうなのやれば良いかな?
あ、この即席レシピ簡単そう!これでいいや!
後はウインナーと焼いたニンジンを入れて…デザートにイチゴとリンゴ!飲み物のトマトジュース…は自販機で買えば良し!完璧ね!
でもこれだと只の赤い弁当よね…私はその更に上を行きたいッ!
てことで何か赤い食べ物は無いかなー…お!何かあった!…よ、読めない…何とかの爪って書いてあるけどその前が…まあ、生食出来るって書いてあるから、これも入れちゃお!
よし!完成!名付けて『ヤンデレ弁当』よ!別名『愛妻ベントー』とも呼ぶ!
さあ!幼馴染くんの元へ!
「幼馴染くん!これ!」
「弁当がどうかしたか?」
「私が作ったの!プレゼント!」
「おお有難い…と言いたいが」
そう言うと幼馴染くんはバッグから大きめの弁当箱を取り出した。
え、ちょっと待って!聞いてないんだけど!
「残念だが今日は俺も弁当だ」
「な、なぜ…」
「何故って、俺ら週3,4回は弁当だぞ。学食地味に高いんだよ」
し、知らなかった…。なんやかんやでお昼は親友ちゃんと食べるのがほとんどだし…
「お兄ちゃん待ってー!置いてかないでー!!」
セーラー服を着たちんまい子が家から飛び出してきた。
この子は幼馴染くんの中学生の妹ちゃん!素直で大人しくて優しくて!小動物みたいでとっても可愛いの!
でもよっぽど慌ててたのか、飛び出してきたと同時に小さな段差に躓いて…あ、大事に持ってたお弁当が…
あー…ぐしゃぐしゃ…
「あ…あ…お兄ちゃんのお弁当がぁ…」
よっぽどショックだったのか、へたり込んで泣き出しちゃった。
「ほ、ほら泣くなって。俺の持ってって良いから…」
「でもお兄ちゃんのお昼…」
「学食使うから良いって」
むむむ…幼馴染くんのお弁当は大きいし、妹ちゃんには多いんじゃないかな?
よし!今回はヤンデレは少しお休み!このお弁当を妹ちゃんにあげよう!
それに何れ妹ちゃんは義理の妹?になるし、妹にはお姉ちゃんが優しくするのは当然だしね!
「妹ちゃん!私のあげる!」
「え…?で、でも…そしたら弥生さんのお昼が…」
「大丈夫大丈夫!私は普段から学食だし!」
そうッ!私は基本学食!カレーやラーメンの大盛こそ至高ッ!
でも少食アピールで今回の弁当は小盛!奇跡的に噛み合ってる!!
「そうだな…俺のだと量が多いし、今日は貰っても良いか?」
「へ!?」
「妹ちゃんどうしたの?」
「何でもない…」
妹ちゃんにお弁当を渡して私達は学校に向かった。
でも私は気が付かなかった。
妹ちゃんがほんの一瞬不満そうな表情をした事に…
******
某中学、お昼in妹ちゃん
「妹ーお昼食べよー」
「うん…」
弥生さんのが嫌って訳じゃ無いけど、やっぱりお兄ちゃんのが良いよぉ…
「あれ、今日テンション低くない?いつもは『お兄ちゃんのおべんとー!』って喜んでるのに」
「朝に落としちゃったの…これ隣に住んでるお姉さんが作ったの…」
「良いお姉さんじゃない」
本当は分かってるもん。弥生さんが善意でお弁当くれたって事も。良いお姉さんって事も。
でも、それとこれとは違うもん!
「お兄ちゃんのお弁当が食べたいんだもん…」
「アンタ相変わらずお兄さんの弁当じゃないと露骨にテンション下がるよね」
「だってその為に午前中頑張ってるのに…」
「あーはいはいごちそうさまです」
「ごちそうさま…?もうお腹いっぱいなの?」
「ちゃうわ!」
え?違うの?
******
「え…何これ…」
「どしたの…うわぁ…何この真っ赤な弁当は…」
お弁当は真っ赤、本当に真っ赤なんです。赤いお弁当は初めて見ました…
「嫌がらせ?一応食べれる様には作ってるっぽいけど…しかもあれって…」
見た目で判断しちゃ駄目だってお兄ちゃんが言ってたから、まずはこのニンジンを食べてみた。
あれ…硬い…
「このニンジン生焼け…」
「どれ1つ…うーん、生だ…」
弥生さんお料理苦手なのかな…?でもお兄ちゃんの為とは言え、頑張って作ったお弁当だもん。ちゃんと残さず食べないと!
でも食べようとしたら、お箸を持つが捕まれた。
「ちょっ!やめな!絶対お腹壊すって!」
「食べ物を粗末にしちゃ駄目だってお兄ちゃんが言ってたもん!頑張って食べるもん!」
「…待ちな、流石に1人じゃキツイだろうし応援呼ぶわ。ちょっと待ってな」
******
「聞いたよー?お弁当が中々って…おお…これは…」
「こりゃまた酷いねー…」
「お弁当ってこんな赤くなる物なんだ…」
友達ちゃんが何人か連れてきてくれた。手分けして処理しようって事みたい。
「んじゃ遠慮なく」
「これ持ってくねー」
「どれ、私も一口」
みんなで同時にぱくり。
「かった…」
「赤飯はまあ普通かな」
でも1人だけ…
「辛っ!何これ!辛!辛い!辛ぁ!」
「だ、大丈夫!?」
えっ!何!?あわわわ…ど、どうしよ…
「妹ちゃん妹ちゃん、落ち着いて」
友達ちゃん…うん、そうだよね。まずは落ち着かないと…
「これ鷹の爪って言ってね、すっごい辛い食べ物なんだよ?知らなかった?」
そんな食べ物があるんだ…私食べたら本当にお腹壊しちゃったのかな?でも弥生さん…何でこんなの入れたんだろ…
「ま、辛くて悶絶してるだけだから。心配してる様な事にはならないから安心しな」
毒じゃないんだね…よかったぁ…
「呑気に解説してないで助けてよぉ!!」
******
放課後、弥生家
「弥生さん…」
「おー!妹ちゃんおかえり!お弁当どうだった!?美味しかったでしょ!」
ごめんなさい…正直言うとあんまり美味しくなかったです…。
ニンジンとかは何人かで手分けして食べて、鷹の爪?は友達ちゃんが「あたし辛いの余裕だから貰ってくね!」って言って持ってってくれたんです。
「は、はい…個性的な味でした…あの…お弁当箱お返ししますね…」
「良かったー!初めて使った食べ物とかあったけど美味しく出来てたんだね!」
あれ…もしかして鷹の爪の事知らないの…?
「あ、あの…そうじゃなくて…鷹の…」
「よし!これから食べたくなったら何時でも言ってね!お姉ちゃん頑張るから!」
「あうう…違うのぉ…」
結局言えませんでした…
******
妹ちゃん帰宅、遅れて幼馴染くん帰宅
「おー弥生の弁当どうだった?」
「えっと、赤色しかなくて、ニンジンは生で、鷹の爪って食べ物が入ってた…」
「あいつバカだろ」
「それでね、友達と一緒に食べたんだけど…」
かくかくしかじか
「そーかそーか…激辛ねぇ…」
くぅ~
あぅ…お腹鳴っちゃった…恥ずかしいよぉ…
「そんな弁当ならお腹空いてんだろ。これ食べな」
そう言うと、カバンの中からメロンパンを出してくれた。
「良いの?でもお金…」
「良いって。妹がそんな事気にすんな」
「…うん!ありがとうお兄ちゃん!」
私が貰ったメロンパンをチマチマ食べてると、お兄ちゃんが台所でゴソゴソしていた。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「ちょっとお灸を据えに」
お灸?弥生さん腰の調子が悪いのかな…?
弥生家
「弥生ー!郵便見てきてー!」
「はーい」
ふー…全く人使いが荒いんだから。私はこれから新しいヤンデレ弁当を考えないといけないのに。
「あれ?手紙?しかもプレゼントも付いて…!?!これ幼馴染くんからだ!」
『弥生へ、今日は助かりました。細やかなお礼ですが、弁当に入ってた、たかの爪を使って一品作らせて貰いました。弥生の為に作ったので必ず一人で食べて下さい。』
も、もしかしてお弁当効果あったの!?も~手紙なんて使わないで直接言えば良いのに~♪きっとシャイなんだね!
「お弁当にも入れたけど、これたかの爪って言うんだ!よーし!一口でいっちゃえ!」
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ギェェェェェェェ!!!
「ひえっ!…今、弥生さんの家から変な声しなかった…?」
「俺のプレゼントで遊んでるんだろ」
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