第9話 罠

「じゃあとりあえず宿に戻って、次は二、三日後に集まるか」


「えー、もうおんなじ宿に泊まれば良くない? もう私達一緒に寝ーー」


「まぁまぁ! 俺はこれから依頼達成の報告をしてくるから皆は先に休んでてよ!」


隣に立つアイリーンがきょとんとした目でこちらを見ている。


「報告とか明日でも良いよっ、カイトも私達の」


「カムリさん、カイトさんがこう言ってるんですから」


「でもさー」


「ほらほら、行きましょ」


さすがパーティー内で最も大人なコモリだ、あいつが一番俺の意図を汲んでくれる。


その艷やかな紫髪の隙間からちらりと流し目を送ってくるコモリ。


仕方ない明日相手してやるか。


カムリの背中を押しながらコモリは彼女らの宿がある方へと去っていく。


「あ、あの改めてありがとうございました。カイトさんがいなければ私も今頃あのモンスターの腹の中です」


「良いんだよ、むしろアイリーンだけしか助け出せなかった僕の力不足だ」


「あ、謝らないでください! 冒険者ですもの、パーティーが壊滅したのは私達の力が足らなかっただけ。カイトさんが気負う必要なんてどこにもないです!」


「……そう言われると少し心が救われるよ」


そう言って笑って見せるとずっと暗い表情だったアイリーンの顔に少し笑みが戻る。


「じゃあ私もこれで失礼します。本当にありがとうございました」


ここだな。


一歩アイリーンに近づく。


「え、あの……」


「でも僕の心が救われようと、アイリーンの心は傷ついたままだよね」


「それは」


「仲間がいなくなって、傷ついた女の子一人放っておくなんて僕には出来ないよ」


更に一歩近づく。


近づいて見るとやはり美人だ。

一人生き残ってしまった罪悪感か、仲間を失った悲しみか。

顔には影が落ちているもののその整った顔をもってすれば一つのスパイス。


「あ、あの」


もう抱きしめられる距離にいるというのにアイリーンは戸惑ったまま動かない。


僕は自然にアイリーンの肩に回し、


「せめて今日だけは一緒にいさせてほしい。アイリーンが辛くなくなるまで僕が側にいるから」


アイリーンが反論する前に強引に歩きだす。


「カイトさん? ギルドへの報告は」


「今はそんなことよりアイリーンの方が優先だよ」


なんだかんだで押し切れている。

助けてもらった手前、強引に断ることも出来ないだろう。


ーーふふ、この調子ならイケるな


頭の中にあるのはどうやってアイリーンを宿へ連れ込むかだけ。

反応を見るに強引に迫ってもあまり抵抗してこないとみた。


勝ちを確信した僕はとりあえず空腹を満たすために手近な店の看板をくぐった。


翌日朝、心地よい倦怠感と共に寝台から起き上がる。


隣に寝ているアイリーンがもぞりと身じろぎしてこちらに顔を向ける。


窓から差し込んだ光から逃れるように俺の身体へぴとりと近づいてくる姿が無性に俺の心を満たしていく。


「ふー」


今回の獲物もとても美味しかった。


長い時間をかけて準備してきた甲斐のある一夜だった。


用意しておいた桶の水に布を浸して身体の汗を拭い、そのまま服を来て部屋を出た。


最高の時間を過ごしたおかげで、とても気分が良い。


しかしまだだ。


まだ僕の欲望が全て満ちたわけではない。


宿の親父に頼み、軽く朝食を済ませるて街へと繰り出す。


アイリーンは既に頭の中から消えて、興味は次にどんな奴を狙うかに移っている。


やっぱり狙うなら女冒険者。

街にいる女はあらかた見て回ったし、夜街の方は金さえ払ってしまえばどうにでもなってしまう。


やはり自分でモノにする快感には代えがたいものがある。


「さて、とりあえずギルドにでも行くか……」


相変わらずむさ苦しい場所だ。


この世界に来て、女連中の顔の良さは素晴らしいものがあるが。

男達の不快さはそれを帳消しにしそうなほどひどいものがある。


臭いし、口は悪いし、すぐ暴力で物事を済ませようとする。


初めにギルドへ来たときに「弱っちいなりでここに来るんじゃねえ」と真っ先に絡んできた連中がいた。


まぁすぐ叩きのめして半殺しにしてやってからは絡まれることも無くなったが、そういうチンピラみたいな奴が多い。


だが、今の僕にはそんな連中をすべて黙らせる力がある。


この力さえあれば誰も僕のことをナメない。

皆が僕を恐れ、その怯えた目で僕を見ることになる。


「あれ……」


「カイトだ、チート野郎」


「今日は女連れじゃないな」


「はっ、振られたんじゃないのか」


ギルドへ入ると、先にギルドへいた連中の視線が集まる。


ヒソヒソと小声で話ながらこっちを見ている連中の多いこと。


十中八九良い反応ではないことは雰囲気で伝わってくる。


わずかに聞こえる内容も僕のことを悪く言う内容ばかりだ。


「ん?」


でも僕は気にしない。

今もこうして僕がちょっと視線を飛ばしてやるだけでヒソヒソ笑ってた馬鹿共が慌てて目をそらす。


誰を見ても面と向かって僕を見る奴はいない。


なんて情けない奴等なんだろう。


冒険者とか言ってガタイばっかでかくても僕一人に怯えてちっちゃくなっている。


無様すぎて笑えてくる。


いけないいけない。あんなしょうもない人間にかまけていては時間がもったいない。


しかし思ったよりも人がいないな。

掲示板には依頼の紙が溜まっている。

まったくこれだけ仕事が溜まっているというのに他の連中は何をやっているんだ。


「おっ」


ギルドの奥の方に一人女がいる。

冒険者にしては格好が妙だ。


水色の長い髪。


どこか見覚えがある気がするが……。


まぁいい、少し年を食っているようだが顔は美人だ。


一人で突っ立って何をしているのか見ていればどうやら彼女は冒険者ではなく、依頼を出しに来た者らしい。


どうやって依頼を出したら良いのかわからず手をこまねいていた。


受付に話をしにいこうか迷い、受付周りにいるゴツい冒険者に近づけないでいる。


ーー次はこの女にするか


「何か困ってるの?」


「……っ」


声を掛けるとこちらを見てびくりと後退りした。


「あー、怯えなくて大丈夫。僕はカイト、このギルドの中でなら結構上の冒険者なんだ。お姉さん依頼しに来たんじゃない? あの筋肉ダルマ達が怖いなら僕が受付まで連れてってあげるよ」


「本当ですか? ありがとうございます」


水色髪の女は僕がそう言うと安心したように笑った。


「ただ依頼の内容というのがどうやら相当に厳しいものだと知り合いに言われまして、果たしてその様な危険な依頼を頼んでもいいものかと……」


「ははっ、そんなのいらない心配ですよ」


危険な依頼ね、これは都合が良い。


「もしよかったらその依頼、僕が受けますよ」


「え?」


「言ったでしょう? このギルド内において僕以上に強い奴はいないですから、どーんと任せてください。どんなモンスターでも倒してご覧にいれます」


「……じゃあ、お願いしてもいいですか」


「はい。どうしますか、今からでも僕は大丈夫ですが」


「今からでも……?」


「あ、でもどこに行けば良いのか分からないか……。ちなみに依頼内容は」


「すいません、先にそれを言っておくべきでしたね。依頼内容はベクロモンの討伐です」


ベクロモン? 知らないモンスターだ。

ま、僕には関係ない。

どんなモンスターだろうと一撃で即殺すればいいだけ。


今回はいつもと違ってピンチに駆けつけるヒーローではなく、純粋に恩を売って距離を詰めればいいか。


「あぁ、大丈夫大丈夫」


「生息域については私が調べてありますので私が先導します」


「じゃあ決まり。早速向かいましょう」


「あ、ちょっと待って」


一応コモリ達に知らせて置かないと後で機嫌が悪くなるからな。


多分まだこの時間なら宿に……。


その瞬間腕に柔らかい感触を感じた。

見れば僕の腕を取ってその胸元が強く押し付けられている。


「できれば早く済ませたいんです」


話がはやいじゃん、こいつ。


「……報酬の話がまだだったよね」


目の前に揺れる水色の髪を指で梳く。

一瞬女の身体がこわばったが、すぐに僕の胸元へとしなだれかかってくる。


「ふふ、少し目が怖いです」


そう言って怪しく微笑む女の表情を見た瞬間、身体の内側からこみ上げる情欲が溢れた。


肩を抱き寄せ、その唇に狙いを定める。


「っ」


ひんやりと冷たい感触が僕の唇に触れる。

挟み込まれた柔らかな指が僕と彼女の唇の間に挟まっていた。

そのまままるで水のようにするりと俺の胸元から抜け出ていく。


「申し訳ないけれど、前払いは出来ないんです。報酬は依頼の後でお支払いいたしますので」


一歩離れた女がくすくすと艶かしく笑った。


胸を締め付ける興奮が収まらない。

なんだろう、この女からはそこらの女には感じないものを感じる。


ふと見せる暗い表情。

こちらを見る時に怪しく輝く瞳に惹きつけられる。


ーー絶対モノにしてやる。


この女を寝床に組み伏せる瞬間が今から楽しみで仕方ない。


「じゃすぐ行こう、速攻で終わらしてやるから。えーと」


「……メムです。よろしくお願いしますね、カイトさん」


ーー


馬車を買い、街を出て街道を走る。

御者と馬車は予めメムが用意していたらしく、すでに出発準備の整っていた馬車に乗るだけ。

なんと用意の良いことか。


ベクロモンとやらはどうやら森深くに生息しているモンスターらしく、奴の住む森まで馬車で向かいそこから徒歩で森を進む。


メムは探索に長けた魔法が使えると言っていたので僕がベクロモンを探す必要はない。


森まではただ馬車に乗ってるだけでいいし、そこから先もメムが探したモンスターを倒すだけ。


いたれりつくせりとはこのことだろう。


隣に座るメムの一挙一動が目に止まる。


露出が少ない分ちらりと見える足首の白さにさえ情欲が掻き立てられる。


「なぁ、メムはなんでこんなモンスターの依頼を?」


「ベクロモンから取れる皮からとある薬が作れまして……」


「ふーん、その薬が必要なんだ」


「はい、知り合いにその薬を届けなければならないのです」


静かに話すその口調が少ししんみりしたものになったのに気づき、


「それって大事な人?」


「えぇ、とても」


「ふーん?」


旦那か? 嫌それならわざわざ知り合いなんて言葉を使う必要はない。


片恋相手とかか?


まぁ何にせよそんな女が自分の身体を報酬にしてでも助けたいという存在がいるというのはなんとも。


ーーそそるね


報酬として手に入れた身体を思い切り可愛がってやる。

大事な人なんてどうでもよくなるように、じっくり丁寧に……。


もしかしたらこの女に惹かれる理由にはそういう部分も影響しているのかも。


こいつの次は人妻とか漁ってみるのもいいかもなぁ。


また一つやりたいことが出来てしまった。


まったく異世界様々。


元いた世界では考えられないぐらい楽しいことばっかりで、こんな最高の世界に招待してくれた神様には頭が上がらないや。


「そろそろですね」


周りの風景が木で覆われ始めた。


大きな森の中をくり抜くように街道が伸びている。


街道は道として役割を果たしてはいるが、成長途中の草木が一部被さっておりこのまま放置していればいずれ道が途切れてしまいそうだな、なんてことを考えた。


暗い森だ。


本当にモンスターがいるのか疑問に思えるほど辺り一帯が静まりかえっている。


「じゃあこのへんで」


御者に伝えたメムが思いの外身軽に馬車から飛び降りる。


「じゃあ先導は任せるよ。モンスターが現れたらすぐに僕の後ろに隠れて、守ってあげる」


「ふふ、お優しいですね。その時はお言葉に甘えさせていただきます」


そのまますたすたと上品な歩き方でおもむろに茂みをかき分けていくメム。


いつの間にか手にしていたナイフを振るい、道を阻む枝や葉を切り裂いていく。


「おぉー、なかなか豪快」


その足取りがしっかりしているのを確認して、僕も彼女の後をついていく。


迷う素振りもなくぐんぐんと先を進む。


そうして進むにつれ少しずつではあるが生き物の気配や音が感じられるようになってきた。


これも僕が成長した証……。


初めはモンスターの気配なんて全然わからなくて、突然襲われたりして困ったっけ。


まぁ突然出てきても反射で光線をぶっ放せばモンスターなんて即死するんだから怖がる必要もなかった。


イージーイージー、人生超イージーモード。


やりたいことは何でも叶うフィーバーライフ。


「ん?」


スキップでもしようかなと思ったときにふと気づいた。


「ねぇ、メム。随分迷いなく進んでるけどどうやってベクロモンを探してるの?」


「魔法です。カイト様には見えていないかもしれませんが知覚を強化する魔法を使っております」


「あぁ、身体強化系のやつか。カムリが得意だから知ってるよ」


もう一つ気になる所。


さっきからメムが先導しながら辺りに何か振りまいている。


ーー粉……液体? なんだ?


「それは、何やってるの?」


「これですか? これは道に迷わないようにするための道標を撒いております。ベクロモンまでは気配を探って進めば済みますが、帰りは目印がありませんので」


「ふーん」


道標か……でもコモリ達がそんなことやってるの見たことないな。


すると心を読んだようにメムから、


「きっとカイトさんのお仲間さん達は私とは違う魔法で位置がわかるのかもしれません」


「へー、そうなんだ」


実は僕の知らない間にそんな魔法を使っていたとは驚きだ。

今度どんな感じで魔法を使っているのか聞いてみようかな。


さらにそのまま十分程すると周りに聞こえる音がどんどん増えていく。


「深くまで来ました。ここからはモンスターも増えますので備えておいていただければ」


「はいはい、こっからね」


そろそろ出番か。


周りからギャースカ聞こえる鳴き声の数からしてメム一人ではどうにもできまい。

チャンスがありそうならまたヒーロー作戦で助ける瞬間も来るかも。


さらに先へ進んでいく。


ーーなんか


流石にちょっと数が多すぎるような……。


初めに森に入ったときには想像できなかった数のモンスターが集まってきている。


「なぁ、その例のなんとかってのはこんなとこにいるのか?」


「……」


「なぁ」


前をいくメムの返事がない。


なんだ? そう疑問に思った瞬間視界がぶれた。


「っ」


何が起こった……!?

原因は足元。


視線を落とせばいつのまにか片足がずっぽりとぬかるみにハマっている。


「は!?」


なんで足が!?


僕はしっかりとメムの後ろをなぞるようについていって……。


ほぼ寸分違わず同じ道、同じ歩幅でメムの後を歩いているんだから俺だけぬかるみにハマるなんてありえない。


混乱する頭で正面に向き直ればこっちを振り返るメムの姿。

やはりぬかるみにハマっていない。


なんで僕だけ……。


「ちょっと、足ハマっちゃった。腕引っ張ってくんない?」 


「……」


何故かメムは答えない。


「なぁって!」


少し声を荒げても無言のまま。


「ちっ、聞こえねーのかよっ!」


急になんなんだこいつ。

苛立ちながら足に力を入れ、ハマってしまった足回りの泥の中へ隙間を作る。


「ふふ、無様ね」


もがいていると無言だったメムがこれまでとは全く違う底冷えするような声音で呟いた。


「は?」


「なんというか、鈍いというのもここまでくると笑えてくるわ」


僕を煽るように手に持った小袋を振ってみせ、


「これなんだかわかる?」


「……何って、道標ようのーー」


「ホント頭の中が空っぽなのね。これは冒険者なら誰でも知ってるモンスター寄せの撒き餌。超強力な匂い付きのね」


撒き餌……?


なんでそんなもんを。


「ほら、聞こえるでしょ。あなたを喰らわんと木の影から涎を滴らせるモンスターの唸り声が」


「頭空っぽなのはお前の方だ。雑魚がどれだけ集まったところで意味ねーんだよ」 


どうやらこの女、僕を嵌めようとしているらしい。


ちらと視線を向ければ何やら女の足元が霞がかったように光っている。


ーー魔法か


足が沈んだ瞬間から泥を跳ね除けるように少し浮かんでいる。

あの魔法のお陰でぬかるみにハマらずにすんでいるってわけか。


「ギュルルルッ」


茂みの奥から顔を出した小型のモンスターが僕を襲おうと飛びかかってくるが、


「はい、終わり」


かざした掌から放たれた光によって身体の半分が消しとび、飛びかかってきた勢いのまま残った半分が後ろの木の幹にべちゃりとぶつかった。


ーーこの僕を騙そうとするとか


ちょっとその愚かしさを教えてあげなくちゃいけないな。


自分から手を上げたんだ、多少痛い目に遭ったって自業自得だよね。


ーー普段女の子にはしないきついお仕置きをしてやる


こちらを見るそのすまし顔を歪ませてやる。


モンスター達は次々に茂みから飛び出し、襲いかかってくる。

だがそいつもこいつも汚らしいうめき声を上げながら近づいてくるもんだから不意打ちにもなりやしない。


数十を超えるモンスターの屍の山を作ったところでようやくモンスターの波が落ち着いた。


「まさかこんなので僕を殺せると思ったの? だとしたら見通しが甘いーー」


メムがいない。


いつだ、そこまで目を離してはいなかったはずだが。


仕掛けてくるか?  


それとも僕の力を侮っていた? 


モンスター達がここまで歯が立たないとは思わなかった、みたいな感じかも。


「なになにー? 逃げちゃうの?」


逆恨みされるのはしょっちゅうだから慣れっこだけど、こんな場所まで連れ込んでぽいは許さないぞ。


とりあえずさっきの馬車まで戻って、今からすぐ走ればメムよりは早く着く。


最悪あの馬車は破壊してからゆっくり狩りをしてもいい……。


幸い地面にはあいつが撒いた道標が残ってる。


これだけ広い森の中でも迷う必要はない。


ーー墓穴掘っちゃったね、メムちゃん


「っとその前に……」


一番近かった茂みから集まったモンスターの残党が飛び出す。


びくびく怯えてれば放置してやったのに。


いつもどおり、掌をかざして。


「ーーっ」


モンスターが飛びかかってくるには妙な音が聞こえた。

直感で後ろに下がり、即座に光を放射。


モンスターが地面を跳ぶより早く即死して倒れ込む中、僕の立っていた場所にどこからか飛んできたナイフが突き立った。


「影からコソコソ狙っても無駄だよ」


「へー、その割にはけっこうビビってる顔してたけどな」


しかし現れたのはメムではなかった。


冒険者の装いをした男だ。


「……誰だよお前」


「はっ、覚えてないか? まぁそうだろうな、お前って見るからにそういう奴だもんな」


男は吐き捨てるように笑ってみせるとその鋭い眼光で僕を睨む。


「覚えてないならそれでもいい。ただ何もわからないまま死んでいけ」


「あっはっは! 随分偉そうなこと言っちゃって」


誰だか知らないがお生憎様。

人気のない森の中、冒険者同士で争うのことをギルドは禁止しているがここなら誰も見ていない。

存分にぶっ殺してやれる。


ーーまぁギルドなんて関係ないけどねっ


誰であろうと僕に楯突いたからには相応の報いを。


この男は血祭り。


メムは散々嬲った上で頭を下げさせてからきっちり楽しんでやる。


それじゃあまずは。


「その余裕たっぷりな面を焼き焦がしてやるよっ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る