第220話 恐怖に染まっていく
「情けない情けないと思っておったが、想像を上回る情けなさであるな……。そんなトカゲみたいな攻撃をして恥ずかしいとは思わないのか?」
そして我は自称竜の覇王くんの噛みつき攻撃に対して、召喚魔術を行使し、剣を上空に出現させると、そのままその剣を自称竜の覇王くんの顎ごと地面に突き刺す。
「良いかい小僧。確かに我ら竜は産まれた時から強者である。しかし、人間が武術や魔術を磨いているのに何故竜であるお主がそれらを何故磨こうとしない? だからブレスも拙ければ、まるで知能の無いトカゲのように噛みつくという行為にでるのだ。それにただ噛みつくにしろ、ちゃんと噛みつく攻撃が当たるように他の攻撃と組み立てて相手が避ける事ができないように持って行くべきであろう。そいう事もせずただ噛みつくだけなど、それでよく自分の事を竜の覇王と言えたものだ……。それと、もう一つ教えてやろう。こんなちんけな拘束具でこの我の両手両足を封じる事ができる訳がなかろう?」
そして我はそう言うと両手両足に力を入れて拘束具を壊す。
「自身の体格とセンスだけで戦うのは所詮知能の無い生き物がする事である。知能があり、産まれた時から強者である竜という生き物が武術を学ぶ事がどういう事かその身体に教えてやろう」
まるで、この自称竜の覇王くんを見ているとカイザル様と出会う前の我を見ているようだ。
そして、そんな自称竜の覇王くんへカイザル様と出会い、カイザルに教えてもらった武術を披露する……なんだか不思議な感覚である。
「武術? 魔術? そんなものはヒューマン等雑魚が我々のような強者に対して雑魚なりに対抗しようと得る技術ではないかっ!! そんな雑魚の為の技術など竜には要らぬっ!! むしろ返り討ちにしてやらぁっ!!」
自称竜の覇王くんは、自らの手で咢に突き刺さった剣を抜き取ると、無術や魔術など強者には無用だと吠える。
「なんと、可哀想に……」
そして自称竜の覇王くんは我へ引っ搔いてこようとするのだが、そのフォームからしてなっておらず、簡単に片手で弾くと、そのままくるりと半回転して我の尻尾で自称竜の覇王くんを足払いで転かしてやる。
そんな感じで相手が本能のままくり出す攻撃を簡単に捌き、転かすというのを繰り返していくと、ようやっと相手も武術の重要性とともに我にはどう足掻いても勝てないという事に気付き始めたようである。
自称竜の覇王くんには当初のような自身に満ち溢れ、自分が負けるとも微塵も思っていない表情から、今では我と手合わせする度にその表情は恐怖に染まっていくのが見て取れる。
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