第219話 情けない。


 そして、自称竜の覇王くんは自身のブレスに相当自身を持っているのか、まるで既に我が死んでしまったかのような、勝利を確信したかのような反応をするではないか。


「まさか、こんなそよ風のようなブレスで竜の覇王である我を倒せたとでも思っているのではなかろうな?」

「実にあっけなかったなっ!! そもそも初めから大口を叩く奴は自身を大きく見せて相手をビビらせる事が目的であり実際には…………あれ?」

「まったく、腐っても自称竜の覇王を名乗るのであれば、ブレスぐらい少しはまともな威力を出せないもんかね? これではゴブリンですら倒せないではないか」


 しかし、こんな子供だましのようなブレスを当てたくらいでどうしてこの自称竜の覇王君はまるで勝利を確信したかのように喜んでいたのであろうか?


 しかも周囲の観客たちも歓喜の声で盛り上がっていたところを見ると、自称竜の覇王くんと同じように我がこのしょぼいブレスに焼き殺されたと本気で思っていたのだろう。


 その光景を見て我は深くため息を吐く。


「自分の事が弱いと言う事実に気付けていない王が統治する竜の国というのはこうも恥ずかしい国になってしまうのだな……。一つ勉強になった。その点に関しては一応感謝しよう」

「な、何で生きているんだっ!? しかも消す済みになるどころか焦げた痕跡も無ければダメージを負っているようにも全く見えないではないかっ!! お前、いったいどんな小細工をしやがったっ!! いままで我のブレスを耐えきった者は、たとえ竜種と言えども、誰もいなかったんだぞっ!?」


 情けない。


 この世界の竜たちはなんと情けの無い事か……。


 あまりの酷さに頭を抱えたくなってきた。


「それは、貴様が今まで自分よりも弱いもの相手にブレスを放って来たからであろう? 竜というプライドがあればそんな竜としてのプライドを捨てるような真似、我は恥ずかしくてできぬがね。まぁ、今回もそうだが、勝てなそうだと少しでも思った相手にはこうやって手枷足枷を付けているのを見るに、貴様のブレスがゴミレベルである理由にも納得がいくというものよ」

「う、うるさいっ!! どうせ何らかの方法でブレスに耐性を得ていただけであろうっ!! しかし、ブレスが効かないからといって手枷足枷をされている事実は変わらない以上未だ俺の優位性は変わらないわっ!!」


 そして自称竜の覇王くんは自身のブレスが効かないと分かると、そのまま我に突っ込み、その顎で噛みついてこようとするではないか。

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