第218話 この程度が丁度良い
それに、カイザル様も殺る時は殺るお人である。
この世界では以前いた世界よりも更に表面上大人しくなっているようではあるもの、だからこそ恐ろしいと、我は感じてしまう。
それはさておき、我もカイザル様に倣って今ここで殺らなければならない人物であると判断したのであればやはりここで殺しておくべきだろう。
もしカイザル様であれば、きっと我の時と同じように服従させていたかもしれないと思うと、それはそれで不甲斐ないと思ってしまうのだが、そもそも我がカイザル様とまったく同じように振舞えると思っているのならば、それはきっと傲慢というものであろう。
今の我の実力ではこの程度が丁度良い。
無理言背伸びをせず自分の実力に合った選択をその都度取っていきながら、カイザル様立っておられる頂へと少しずつ登っていけば良いのだ。
「うん? 良く聞こえなかったがお前……、この俺に対して『死にたくなければ罪を認めて謝罪をしろ』と言ったのか?」
「あぁ、そうだな。なんだかんだ言われても、我はお主の事を殺したくはないのだが、しかしながら流石の我もこれ以上そのような態度を取られるのであれば流石に殺すしかないだろう。それに、竜種の王と名乗っているにも関わらずそんな礼儀も礼節も何もないようなお主をこのままのさばらしておくことは『竜種とは知能も何もない空飛ぶトカゲである』と他種族に言いふらしているようなものだからな……。それを直すつもりもないというのであれば殺すしか無かろう?」
そして優しい我は再度優しく、自称竜の覇王くんへ諭すように話す。
しかしながら自称竜の覇王くんは我の説得は逆効果だったらしく、今にもブレスを我に向かって吐き出しそうな程怒り狂っているのが、口から漏れ出る高濃度の魔力から見て取れる。
「…………良くこの状況でそんな大それた事を言えたな。その度胸は褒めてやろう。だが、死ねっ!! 最後くらい決闘という形で殺してやるつもりであったが、お前にはそんな気遣いなど不要だったようだなっ!! 勇敢と無謀の違いすら分からないバカとして未来永劫この国で伝えていこうっ!!」
そして、自称竜の覇王くんは俺の所までその大きな一対の翼を使って一気に近づくと、そのままブレスを放ってくる。
当初はそのブレスを避けようとするのだが、我はそのブレスを見て避ける事を止める。
「なんだっ!! デカい口を叩いていた割にはあっけなかったなっ!! その程度で竜の覇王を名乗っていたとは、片腹痛いだろうっ!!」
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