第205話 完璧な案
そして私はその日、果てながら強く思うのである。
カイザル様が周囲の評価を意図して低く見えるようにしていたのならば、カイザル様の奴隷となった私がその分今以上に有名になれば良いと。
そうカイザル様へ相談すると、意外にも条件付きではあるものの私が有名になる分には構わないという返事をいただいた。
その条件とは『極力カイザル様のことについては漏らさない事』『死なずに戻ってくる事』この二つであった。
前者の条件に付いては予め予想していた為そこまで驚くことは無かったのだが、まさかカイザル様から生きて帰ってくる事を条件にされるとは全くもって想像すらしていなかった。
その為カイザル様のこの言葉は無防備な私の心にダイレクトに直撃して、嬉しさで爆発した感情をコントロールすることができずにそのままカイザル様を押し倒してしまう。
しかしそこはカイザル様。 私如き簡単に払い退けると『いう事は言った』とばかりに私に出て行くようにというではないか。
もう、私に身をゆだねて私の身体と快楽を貪ってくれても良いのに……。 とは思うものの、ここで絶世の美女とも呼ばれていた私に手を出さないからこそ、カイザル様は普通の男とは違うという事が垣間見えるというものである。
簡単に手が届かない歯がゆさがまた、私の感情をかき乱す。
カイザル様にかき乱されているのだと思うと、もうそれだけで一か月はおかずにできそうな程である。
そんなこんなで私は考える。
どうすれば私を有名にすることによってカイザル様の評価を上げる事ができるのか? と。
しかしながらカイザル様の評価を上げる事はそもそも控えるように言われている上に私だけが有名になっても意味がない。
「カイザル様をギルドマスターにした闇ギルド、それも闇ギルドや賊等を専門に狩る闇ギルドを作ればよいのでは? 闇ギルドとしての評価が上がれば、例えカイザル様の事を隠していたとしても闇ギルドマスターとしてのカイザル様の評価は上がっていくでしょう。 そしてカイザル様として評価をあげたいと思った時はカイザル様が闇ギルドのマスターだとばらせば良いのです」
「…………お前、私とカイザル様との逢瀬を邪魔するただの頭のイカレタ変態かと思っていたのだが、なるほど、カイザル様が奴隷にするだけの者であるという事ですか……。 まさかこんな完璧な方法があっただなんて」
そして私の目の前に現れた、カイザル様の奴隷でもある変態エルフのシシルが完璧な案を出してくるではないか。
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