第200話 なるほど納得である
そして我はそう怒鳴ると本能のままに捕縛している男性の一人に噛みつき肉を貪る。
その肉のなんと美味い事か。
赤く滴る血は今まで乾いていた喉を潤すだけではなく全身へと栄養が巡っていくような、感覚があり、その肉は今まで食べてきたどんな肉よりも甘く美味く、一度この味を知ってしまうともう生前に食べていた食べ物など食べる気すら起きない程であった。
リッチやグール、スケルトンなどの死霊系と言われる魔物たちが何故生きた人間の肉を欲するのか、その理由が、まさかただ単に『生きた人間の肉が美味いから』という至極単純な理由であった事に我は少し驚くとともに、納得が行くほどの美味さでもあった。
そしてその肉の味を更に引き立ててくれるのが、実際に食われている者の悲鳴と、痛みを耐える為に強張ってしまう筋肉の肌触りである。
生きた人間の悲鳴は、今まで手掛けてきた有名な作曲家達のどんな音楽よりも美しい旋律を奏で、強張った筋肉はそこから我が食に食われているという恐怖が肌を伝って直に伝わってくる為、それがまた『コイツの感情を我が支配している』という快感となって襲ってくる。
こんなもの、一度知ってしまうともう後戻りなど出来よう筈がない。
そして俺は食べ進めていくと、脳裏にとある魔術の術式が浮かび上がって来る。
その魔術を、何も疑問に思うことなく、いやむしろ『そうする事が当たり前である』と、人が生きる為に息を吸うかの如く、我は行使する。
すると、我がいままで食べていた男性の身体から魂が抜き出てくるので我はそれを口から食事を摂るかのように自分の体内に取り込む。
するとどうだ。
先ほどまで食べていた人の味は確かに極上の美味しさであったのだが、この魂にかんしては美味しいとかいう以前に味そのものが無く、しかしながら確かに我という存在が、魂を食べる前と比べて一個体として上の存在に成っているのが分かるではないか。
これは生前でいうと、とんでもない成長具合ではなかろうか。
なるほど納得である。
死霊系の魔物は、肉も美味けりゃ魂も美味いとなると、率先して生者を襲うだろうな……。
しかしながら、どうやらこの生者の魂を喰らう事ができる魔術に関しては『相手が死にかけている』事と『一定以上の恐怖を抱いている』事が必要であり、なかなか難しそうではある。
それでも、戦争などで戦死者をそのままにしておくと強力な死霊系モンスターが産まれてくる事を考えると、この魔術も段位さえ上げれば死者からでも魂を喰らう事ができるようになるのではなかろうか?
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祝!!200話(*‘ω‘ *)✌いえい
面白いと思った方はブックマークと評価をしていただけると、とても喜びますw(*‘ω‘ *)
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