第195話 うむ、若いの
というかそもそもガイウスは帝国の皇帝であるので、その皇帝が長期に渡って国に居ない現状というのは大丈夫なのであろうか?
と一瞬だけ考えたのだが、そもそも今までのガイウスは存在自体が帝国の癌のような存在であった為、それと比べるとガイウスがいなくなった今の方が何倍も帝国にとっては有益であるのだろう。
今現在心を入れ替えたみたい(新たな性癖に目覚めたとも言うが)なのだが、あのガイウスの性格上国を運営する為の勉強などはしてこなかっただろうし、ここは変に知識がない、政に関してはある意味で素人であるにも関わらず帝国のトップという立場のガイウスがいない方が、宰相付近の者達からすればやりやすいのだろう。
それを考えればガイウスから『帝国に戻れとうるさい云々かんぬん』という愚痴も無かった事からも帝国に残っている者達はガイウスを必要としていない事が窺えて来る。
むしろ『アイツがいると邪魔だからできるだけ長い間聖王国に留まるようにしろ』と聖王国へガイウスと一緒に向かった側近に裏で命令しているのかもしれない。
いや、間違いなくしているだろう。
そうでなければ今頃多少強引にでもガイウスを帝国へ連れ帰ってきている筈である。
少し前の環境であればその瞬間ガイウスを連れ帰ろうとした家臣を殺していただろうが今現在俺の奴隷になっている状態では無闇の殺生は禁止(俺の許可があれば可)にしているのでガイウスに歯向かって殺されるという心配もないのだから。
「一国を運営するというのは、それはそれで大変なんだな。 きっと俺が知らないような苦労もいっぱいあるんだろうな……」
「どうしました?」
「いや、何も。 こっちの話だから」
「…………? そ、そうですか」
「そうだ」
気が付いたら独り言を口ずさんでいたようである。
こんな時に限ってヒルデガルドが話しかけてくるので適当に流しておく。
というか今日はなんだかヒルデガルドがいつもよりも積極的な気がするのは気のせいだろうか?
なんならリリアナと離れてからやけに俺の方を見つめて来ている。
ヒルデガルド本人は俺に気付かれないようにしているのだろうがハッキリ言ってバレバレであるのだが、そこを突っ込むとややこしい事になりそうだし、決して首を縦に振らないだろうから優しい俺は気付いていないフリをする。
まぁ、顔だけ見れば俺は悪役と言えども主要キャラだしイケメンの部類であり、ヒルデガルドからすれば窮地を救ってくれた男性でもであり、そんな男性に元が付くとはいえ元婚約者と俺が会話をしているのを間近で見てしまったのである。
意識してしまっても仕方のない事だろう。
うむ、若いの。
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