第178話 魔術など花拳繍腿
「殺す? この俺を? そんな技でか?」
それに、これはある種の拷問の類には使えるかもしれないのだが、人を殺すのには恐らく適していない技なのであろう。
俺の予想が正しければこのスキルは相手の身体に絡みついて骨を折るというスキルなのだろう。
であれば、このスキルで攻撃できる(絡みついて骨を折れる個所)のは腕と足くらいであり、腕と足の骨を折られたくらいでは死にはしない。
痛みさえ我慢すれば後はこの異常事態に気付いた衛兵たちが俺の元まで駆けつけるのを待てばいい。
流石に俺の直属の部下を排除したからといってその部下が率いている組織全ての人員を排除した訳ではないであろうし、そして俺が何時間も帰ってこないという異常事態に気付かない訳がない。
更に俺はここへ来る前に家の使用人へ、これからどこへ向かうのか、何時ごろに戻って来るのかを伝えているのである。
助けが来ない訳が無い。
「そんな技で? お主、それはどういう意味じゃ……?」
「どういう意味も何も、そんなスキルでは人は殺せないと言っているのだ。 実際にそのスキルでは腕や足しか折る事はできても人を殺す事はできまい? 素直に魔術で俺を殺しにくればどうだ?」
しかしながら俺もただやられているだけではない。
いち早くこの異常事態を知らせる為にブランシュ聖王に魔術を使わせるように挑発して誘導する。
もしここで俺以外の魔術を発動すると、事前に護身用にと仕掛けていた魔術識別感知器が俺ではない人間が行使した魔術を感知して家にいる使用人を束ねる執事長にその事が伝わる仕組みになっているのだ。
「魔術……いまそんなものを行使してどうなるのじゃ? どう考えてもこの距離、そして逃げ場のない密室では魔術を行使している間に攻撃をされて終わりじゃろう。 そう、どっかの誰かみたいにのう? そんな安い挑発に乗るとでも思うてか?」
しかしながらブランシュ聖王は俺の挑発には乗らなかったようである。
運が良いのか感が良いの、どちらにせよ鬱陶しいかぎりである。
どこまで俺の邪魔をすれば気が済むのか。
「それに、接近戦において魔術など花拳繍腿。
「は? 人を殺せないというのが勘違いだt……あぐ……ぐぇぇぇぇぇぇえええっ!!??」
「サブミッションスキル
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