第175話


 そもそも俺の了承を得ずに勝手に来ておいてその言い草は流石に許せるようなものではないのでブランシュ聖王には当初考えていた罰よりもより思い罰を与えるべきであろう。


 そしてブランシュ聖王の問いに対して正直に答える必要も無いだろう。


 傀儡は傀儡らしく俺の言いなりになっていれば良いのだ。


 そもそも傀儡に自我など必要ないので、それこそ二度と我に歯向かえないように再教育するのも良いだろう。


「話を逸らすでない。 もう一度聞く。 リュシュリー、貴様はその娘をどこから連れてきた? そして今その娘に何をしようとしていた? 我の目には売春婦などではなく、無理やり拉致紛いな行為で強引に散れて来てそういう行為をしているようにしか見えなかったのじゃが……?」

「おや? ブランシュ聖王は何か勘違いをしているようですね。 私はこの娘には何もしようとしていないですし、拉致などとは人聞きが悪いのでは? いくらブランシュ聖王とはいえ言って良い事と悪い事があるでしょう。 流石の私も今回の件は何事も無かった事にはできませんよ?」


 そしてブランシュ聖王はそのまま話題を変えていれば良いものを、せっかく有耶無耶にしようとしたにも関わらず再度同じことを聞いてくるではないか。


 そんな事を聞かれて本当の事を言う方が馬鹿であり。本当の事を言うと思っているだろうブランシュ聖王はやはり馬鹿なのであろう。


「そうか。 リュシュリーとは長い付き合い、それこそ我が物心つく前からこの国の為に働いてくれている忠実な家臣であるとおもっていたのじゃがの。 ここでまだ本当の事を述べてしっかりと罰を受けて反省するのであれば温情で命までは取らなかったのじゃがの……流石にこれでは処刑は免れまい」

「……はい? 一体何を言っているのですか? ブランシュ聖王。 この私が何をしているというのでしょう?」

「とぼけても無駄じゃ。 あと、貴様と裏で繋がっている貴族や手下どもは既に全員監禁しておる。 助けを呼んだ所で無駄じゃぞ」


 なるほど、だから先ほどからブランシュ聖王を捕縛するようにジェスチャーを出しているのに誰も来ないわけである。 


「ふむ、なるほどなるほど。 ブランシュ聖王も人が悪い。 全て知っているのならば初めからそういえばいいではないか。 しかしむしろ残念なのは俺の方だよこのゴミが。 せっかく良い傀儡が出来上がったと思ったのに。 仕方ない、ここは俺がブランシュ聖王を殺して聖王国を乗っ取るしかなさそうだなっ!!」


 ほんと、大人しく傀儡のままでいれば死ぬことも無かっただろうに。

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