第169話 そこまでという事かしら?
そんなカイザル様がなんで学園ではあんなに皆さまから嫌われているのか、余計に理解できなくなってくる。
当初は『公爵家故に傲慢な態度をしていたから煙たがられている』と思っていたのだが、今まで側でカイザル様の態度を見てきたのだが、とてもそうとは思えないのである。
「どうした? まだ何かあるのか?」
「い、いえ……何もないので大丈夫です」
そしてそんな私の態度を見てカイザル様は、まだ私が何か不満や言いたいことを我慢していると思ったのであろう。
まだ何かないか聞いてくるのだが、流石に学園でカイザル様が嫌われている理由を聞くのは失礼すぎる為聞けるわけもなく『何もない』と返事をする。
「そんな表情で何もないから大丈夫という訳がないだろう。 どう考えても『俺に何か聞きたいことがあります』って表情をしていたんだが? 別に何を聞かれても怒りはしないから話してみればいい。 むしろここで有耶無耶にされた方が、俺が気になってストレスが溜まるしな」
「ほ、本当に何を聞いても怒らないのですか?」
「あぁ、本当だ」
正直言うと怒られるのが怖いのではなく、恩人に対して失礼な態度をこれ以上取りたくないという感情の方が大きかったのだが、カイザル様自ら私の中に秘めているカイザル様に対しての疑問を聞きたいと言っているのであれば、話さない方が逆に失礼というものであろう。
それに、初対面でカイザル様へかなり失礼な態度を取っていたにも関わらず殺されるどころか怒られる事が無かったことからも、今から『何故カイザル様が学園で嫌われているのか?』という事を聞いても怒らないであろうという事は確信していたのでその部分に関しては何も心配はしていなかった。
しかしながら怒らないから失礼な態度を取ってもいいというのはまた別の話であると私は思っている。
「あ、あの……聞いて良いのかどうか分からないので言いたくなければ言わなくても良いのですが……カイザル様がどうして学園であそこまで嫌われているのか分からなかったので……」
「あぁ、その事か。 単純な話嫌われているからだな。 そもそもつい最近まで俺は嫌われて当然のクズ男だったからな。 だから学生たちの俺への対応は妥当であると言えるな」
「ク、クズって……」
そしてカイザル様は怒るでもなく、今までがそういう対応をされても仕方がないくらいのクズであると言うのだが、あれほど嫌われるにはどれほど最低な事をしていたのだろうか?
「そうやって直ぐに信じてカイザル様が最低な人間であったと思うのであれば、あなたもそこまでという事かしら?」
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