第162話 図々しいとうものであろう
「そんな事などどうでもいい」
「え……? 今なんと……?」
「とりあえず聖王国と帝国との問題になりかねないから保護してくれとガイウスからお願いをされているのでお前がどんな女性であろうと、それこそ自分の事は棚に上げて俺に誹謗中傷をしてくるような人物であったとしても俺からすればどうでもいい。 それでも間違いを指摘されて、それを受け入れ謝罪できるあたりは、俺が転生して出会ってきた女性の中ではかなりマシな方であると思えるのだから女運がないと言うかなんというか……」
流石に私が悪いとはいえ謝罪をしたにも関わらず『そんな事などどうでもいい』などと言われたのは初めてであり、まさかそんな事を言われるとは思っておらず、思わず素で聞き返してしまう。
するとカイザル様は本当に私の事などどうでもいいとばかりに今回の経緯、私を何故助けたのかという事を話し始めるのだが、後半は女性運の無さを嘆き始めたのだが、その女運の無さを示している人物に私が入っているのは確かであろう。
今まで聖女だなんだと持て囃されて来たぶん、なんだか新鮮な感覚である。
聖女と言われることは私にとってあまりにも大それた呼ばれかたであった為なんだかむず痒く、できる事ならば止めて欲しいと思っていたのだが、それ以上にカイザル様から悪いイメージを持たれた事の方が嫌だなと思ってしまう。
それはきっと私の失礼な態度や、そんな平民の私に対して公爵家のカイザル様がお咎めなしにしてくれているという罪悪感などからくる感情なのか、はたまた別の理由から来る感情であるのか分からないのだが嫌だなと思う事は確かである。
「とりあえず、お前は今日からこの部屋を使ってくれ。 また、必要な物があれば使用人に言ってくれれば揃えてくれるから遠慮せずに言ってくれ」
そんなこんなで私がこれから泊まる部屋を案内され、足りないものがあれば使用人へ申してくれと説明を受ける。
私に宛がわれたその部屋はいつも私が寝起きしている僧院の自室よりも数倍広く、そしてベッドも三倍以上は大きい上に、それだけではなく鏡も私の部屋にある上半身だけ映すだけのものと違って全身映してもまだ余裕があり、背景が映し出されるほど大きいではないか。
そもそも私の荷物と言えばこの服と少しばかりの着替えくらいであり、正直言ってこれだけでもうかなり大満足である。
それに、ここからさらにここの使用人へあれやこれやと要求してしまう度胸など私には無いし、一応匿って貰っている立場でそれは図々しいとうものであろう。
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