第152話 ある違和感に気付く
何故こういう時にだけ我の事を真っ直ぐに見始めるのだ。
今まで気にもかけなかった奴が、一度悪い事をしている事を見つけただけでどうしてこうも詰め寄られなければならないのだ。
不公平ではないか。
「…………なんで?」
「はいっ!? 何て言ったっ!? 聞こえぬぞプレヴォよっ!! 我にも聞こえるように言わぬかっ!! ここの檻に閉じ込められている少年たちは何だと聞いておるっ!! そしてこの地下室は何のために作られておるのじゃっ!? 突き当りにある扉の向こうは何をする部屋じゃと聞いておるっ!!」
「煩いなぁ……。 それもこれも全て聖王様、あなたのせいではないですかっ!! なんで我だけこうも言われなければならないのですかっ!?」
そして、もう我の人生は終わりであるという事が分かってしまっているので、聖王様に対いて失礼な態度を取ろうが取るまいが、どちらにせよ死罪が決まっているのならば、どうせならばこの鬱憤をぶつけてから死んでやろう。
そうでないと流石に理不尽すぎるではないか。
「ど、どういう事じゃっ!? 一体お前は何を言っておるのじゃ…………っ!?」
そんな俺の言葉は、聖王様に突き刺さったようで、たじろいでいる。
俺の言葉によって、ダメージを喰らってしまっているのを隠しきれない程の衝撃を受けているのだと思うと、身体の奥底からゾクゾクとした快感が沸き上がってくるではないか。
最後にこんな甘美な快感を味わえたのならばそれで良しとしようと思えるほどには、強烈な快感である。
「何勝手に自分だけ快感に浸っておる? そしてブランシュ聖王よ、いくら何でも感情を表に出し過ぎであろう。 馬鹿なのか? …………まぁ、そういう俺も人の事を言えないのだが、俺はカイザル様のお陰で気付くことが出来たからの。 気付くことが出来ていないブランシュ聖王と比べればまだマシよ」
そして、せっかく人が快感に浸って気持ちよくなっていたというのに、ガイウス陛下が水を差してくるではないか。
本当にこのガイウス陛下は俺の邪魔しかしない。
「それにどうせここは幼い男性を性の対象としている貴族の為に男の子を攫うか、僧院の孤児を引き取って監禁し、奥の部屋で一晩その貴族に買われた男の子が尽くし、最悪そのまま男妾として売って引き渡していたのであろう?」
やはりというかガイウス陛下は全てを知っていたのであろう。
そこで俺はある違和感に気付く。
そもそも誰かが我の事を聖王様に売っていたとしたらここまで驚愕しないであろうことから、我は誰かに売られたという訳ではないのでは? であれば、我よりも階級が上の貴族を売れば生き残れるのではなかろうか?
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