第149話 あぁっ、歯がゆいっ!
我自身何でこんな感情になるのか分からないのだから仕方がなかろう。
そもそも今感じているこの感情すら初めての感じる感情である為、この感情が一体何という名前の感情であるのか、そもそも名前がついているかどうかすらも分からないのである。
それでいて喜怒哀楽のどれにも当てはまらない、不思議な感覚である。
ただ言える事は、この感情の熱量はかなりのものであるという事だろう。
我自身この感情を今現在上手くコントロールできないのだから。
でも、ガイウスとプレヴォの絡みをこの目で確認すればこの感情が収まってくれるような気がする。
それでいて逆に、更にこの感情が強まってしまいそうな気もするので不思議である。
そして急に今までと違い急に馴れ馴れしくなった我に戸惑いが隠せていないガイウスを強引に私の馬車にぶち込んでプレヴォの待つ邸宅へと向かうのであった。
◆
「よ、ようこそいらっしゃいましたっ!! ブランシュ聖王にガイウス陛下。 まさかここまで早く来るものとは思っておらず、まだ準備が──」
「準備? なんで準備が必要なのだ?」
きゃーーーーっ!! 大胆じゃっ!! この男、我や使用人たちがみている前で大胆過ぎるじゃろっ!! 『準備? なんで準備が必要なのだ?』などという言葉を言うとはっ!!
ガイウスの大胆な発言に思わず黄色い声を叫びそうになるのだが、鋼の意志で何とか耐えきり、表面上は澄ましているように見えるが、その代わり頭の中で叫び転がりもう大変である。
「そ、そんなっ!? お二人を迎えるというのに、何も用意できていないのは流石に受け入れられませぬっ!! 万が一お二人を迎え入れる準備を何も用意していなかったという噂が流れたりでもすれば我の家は潰れてしまうかもしれませんっ!!」
「は? いや、お前はもう家の事を心配する必要は無いだろう?」
「いや……そ、それはいったいどういう事でしょうか……っ?」
鈍感じゃっ!! プレヴォの奴、ここにきてまさかの鈍感っ! 唐変木であったっ!! ガイウスが『これから家の事は心配する事は無い』と言ったという事は一つしかなかろうっ!! 気づけっ!! この馬鹿者がっ!!
あぁっ、歯がゆいっ!!
この際我がストレートに伝えてやっても良いのじゃが、それではガイウスとプレヴォ、二人の純愛に我というノイズが入ってしまいそうで……ガイウスには申し訳ないのじゃが我は手を貸すことは出来ぬっ!! すまぬっ!!
そして我は二人のやり取りを、目を見開き耳をかっぽじってどんな些細な事であろうが見逃さまい、聞き逃すまいと集中して観察する。
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