第142話 聖女ヒルデガルドには興味がない


 そして何が一番腹が立つかというと、この俺の邪魔をしたガイウスの野郎が俺よりもかなり地位が上であり、財力でも権力でも勝てないということである。


 早い話が、俺はガイウスに対して口で罵る事も、金銭や権力を行使して圧力をかける事も出来ないのである。


 それは男爵家という位の俺からすれば他の貴族に対しても似たようなものであり、だからこそ俺は今まで他の貴族の息がかかった場所は避けて、こんな地味な活動に金銭的な援助を行っていたのである。


 そうすれば誰も俺の邪魔をしてこないし、孤児は貴族である俺に対して絶対に逆らう事ができず、施設の修道女達は寄付金を援助してもらっている手前、やはり俺には逆らう事ができない。


 そう、それこそ巷では聖女と呼ばれるような女性であってもだ。


 他の貴族からは例え聖女と呼ばれていようとも『孤児』であるという事でどれほど美しい女性であったとしても手を出そうとしてこないというのは有り難い反面、我だってできる事であれば高級娼婦を買い取って愛人にしたいのだが、そもそも高級娼婦を買う為にはまず年会費を払って会員に成らなければいけないのだが、その年会費が高額でとてもではないがその時点で手が出せない。


 次いでその高級娼婦の出自が元貴族、または現貴族の次女や三女というのも珍しくなく、男爵家である俺は娼婦に出会う以前に娼婦の方から愛人契約を拒否され、出会う事すらできない可能性が非常にたかいのである。


 娼婦とは名ばかりの、側室という側面が高いため結局のところ向こうも貴族である以上家同士の繋がりを意識されては男爵の俺が選ばれるには元貴族の娼婦くらいであろう。


 それでも出自は持続である為そういう女性は高位の爵位を持つ貴族たちに、現役の貴族女性と比べると多少金額は落ちるものの、それでも高額で取引されて買われていくのである。


 早い話が、娼婦館を通じで次女や三女の嫁ぎ先を高位の貴族の妾にする目的に売る側は利用しており、普通に妾相手を探すよりも高位の貴族の側室に高確率でなれる可能性があるのである上に懐も温まり一石二鳥なのである。


 そして、高級貴族に売れる事ができる女性というのは、美少女揃いであり、逆に言うと美少女でなければ娼婦館側は買い取る事はない。


 故に高級娼婦館なのである。


 それゆえに高級娼婦を利用するような奴らは、美しいだけしか付加価値が無い上に出自が孤児というマイナスがある聖女ヒルデガルドには興味がないのである。


 どこまでいっても見栄とプライド、そして自己顕示欲の塊なのである。


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作品紹介

転生した異世界が男女比1対40の世界だった件


 ド変態に囲まれた主人公の日常を描く異世界ラブコメです(^_-)-☆

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