第136話 聖王
一体帝国から聖王国までどのような方法で来るのか、そしてどのような人物であるのか私は緊張しながらもカイザル様という人物を待ち受けるのであった。
◆
「それは誠か?」
私の持って来た情報にそう返すのは聖王であられるブランシュ・ボニ・ファティウス聖王である。
そして聖王国は代々女性が王となる仕来りがあるのだが、その中でもブランシュ聖王様はまだ二十二歳という若さながら歴代聖王の中でもトップレベルと言っても良い程の頭脳と手腕の持ち主で、時に緩やかに、時に豪快に聖王国を導いてくださっている女傑である。
「はい、プレヴォの申している事が本当であれば間違いないかと。 そしてプレヴォはこういった事で嘘を吐けるような者でもなければ、噓を吐いたところでプレヴォには何もメリットはございません」
「ふむ、成程のう……。 一応ガイウス陛下からはお忍びでこちらに来るという事は聞いておるのだが、まさか本当に、それもこんなにも早くやって来るとは思わなんだ」
そして私がプレヴォの話は信憑性が高い旨を話すとブランシュ聖王様はガイウス陛下が来られる事は事前に知っていたらしくその事については何も反応が無かったのだが、ガイウス陛下が本当に来るとは思っていなかったようで、今聖王国にガイウス陛下がいらしている事よりも、実際に来られた事に驚いているようである。
「なんの心境の変化か、人の一人の命をなんとも思っていないような奴が僧院を視察、それもお忍びで来ることによって普段の光景を見てみたいという連絡が来たときは空から槍が降って来るかと思ったものじゃ。 しかし解せぬのがまず私に挨拶を何故せぬのじゃ? 私の国でお忍びと言えども視察しに来ているのじゃぞ? であれば私の所まで来て頭を下げ感謝の言葉の一つでも申すのが礼儀というものであろう? 結局のところあ奴は、外面は変わったように見えても中身は全く変わっておらず『私なんかには死んでも頭を下げたくない』と思っておるのじゃろう。 本当に、いつも聖王国を見下しおってからに……っ」
それどころかブランシュ聖王様の額には血管が浮き出ており、その表情は般若のような顔になってしまう程怒っているのが窺えて来る。
「そっちがそのつもりならば私にも考えがあろうというものじゃ。 何が何でもその伸び切った鼻をへし折って、私に頭を下げさせてみせようぞっ!! 調子に乗ってられるのも今の内じゃっ!!」
そしてブランシュ聖王様はそう言うと足取り荒く玉座の間から出て行かれるのであった。
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あけましておめでとうございます!(*'▽')ノ
今年もよろしくお願いします(*‘ω‘ *)ノ
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