第135話 純潔を捧げてしまう事になってしまう

 


 むしろ、これくらいの洞察力が無いと帝国の皇帝というものは務まらないのだろうか? 


 確かに、国一つを動かして行かなければならないのだから洞察力だけではなくそれ相応の知識量も必要となってくるだろう。


 ただ言える事は、聖王国は帝国にだけには手を出してはいけないという事であろう。


「では、そのカイザル様に助けてもらいたいのですが私はいったいどうすれば良いのでしょうか?」


 しかしながら、カイザル様という人がどこにいようが、ガイウス陛下の洞察力に驚こうが、それでプレヴォの魔の手から逃れる事ができると言うのであれば私はそれが何であれかまわないと思う。


 流石にこの身体を売れだとか奴隷に堕ちろだとかプレヴォのような人物の愛人になれだとか、そういう事をしなければならないというのであれば話は別なのだが、ガイウス陛下の話すニュアンス的にもそのような事は無さそうなので、そうであれば一応聞くだけ聞いてみるべきであろう。


 それにガイウス陛下は私をプレヴォから助けたいという思いは勿論あるのだろうが、それよりもカイザル様という人物の話をしたい、そして私をカイザル様と合わせる事で一方的にカイザル様の話をするのではなく、一緒に理解し合える仲間を作りたいという風に思えるので、それがより一層私に一歩踏みださせやすくしてくれている。


 プレヴォのように私の身体を這うような目つきを今まで嫌と言う程浴びて来たため、私の身体目当てかどうかというのは敏感に感じ取れるようになったので、それに関してはプレヴォに感謝である。


「そうだな……ちょっと待っておれ。 いまからカイザル様に【念話】で相談してくるからの」


 そして私がカイザル様に助けてもらう為にはどうすれば良いのかをガイウス陛下に告げると、今から【念話】で対応を相談してくるというではないか。


 そのことからあらかじめそういう事を定期的にしてきた訳でもなく、むしろぶっつけ本番である事が窺えてくる為、本当にこの人たちに任せても大丈夫なのだろうか? という気持ちが湧き出てくる。


「とりあえず本人と実際に話してみないと決めようがないという事なので今からカイザル様がこちらに来てくれるそうだっ。 良かったなっ!!」


 そしてガイウス陛下は一人でごにょごにょと話しはじめて数分間、独り言を止めたかと思うと、今からカイザル様がこちらに来ると言うではないか。


 来ると言ってもカイザル様は今帝国の学園にいると先ほど言っていたではないか。


 これではカイザル様がここに来るまでに間違いなく私はプレヴォに純潔を捧げてしまう事になってしまう事になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る