第133話 我にいい案がある



「ちなみにカイザル様は『自分の事を最後まで信じてあげられるのは自分だけだ』ともおっしゃているからな。 だから誰になんと言われていようと自分だけは自分を信じてあげてやるべきではなかろうか? 自分まで自分を信じてあげる事ができなくなってしまっては自分自身が可哀そうではないか。 だからお前も『私なんか』だとか言うのではなくて『私だけは』って思ってやってみてはどうかの?」

「……ガイウス陛下。 素敵な言葉ですね。 そのカイザル様というお方も、さぞ素敵なお方なのでしょうね」


 今までそんな事など思った事もなかった。


 しかしながら言われてみれば確かに自分だけが最後まで自分自身を信じてあげたり、それこそ私は皆がそういうように美人だと思ってやらないといけないような気もしてくるではないか。


 それと同時に自己肯定感がその言葉を聞く前と聞いた後では全く違う事に気付く。


 今まででは孤児と言う産まれも相まって『自分なんて』と思ってしまっていたのだが、これからは誰がなんと言おうと『自分だけは』と思えそうだ。


「それはもう最高のお方だな。 私の過ちに気付かせてくれたのもカイザル様であり、そしてストレスの解消法を教えてくれたのもカイザル様だからな」


 そしてガイウス陛下はとても嬉しそうにそう言うではないか。


 ストレスの解消法が何故今出て来たのかは分からないのだが、その嬉しそうに語る表情を見るとカイザル様という者の人となりも窺えてくるというものである。


「それで、お前はこれからどうするのだ?」

「ど、どうするって……?」


 そして会った事もないカイザル様について想像を膨らましていると、ガイウス陛下はこれからどうするのだと聞いてきた為、私は思わず聞き返してしまう。


 本当は自分でもどうする事もできない事は理解しているのだが、認めたくない自分が咄嗟に聞き返してしまったのであろう。


「おそらくあのプレヴォという奴はお前の事を妾にするつもりなんだが、何か策はあるのか? という事である。 嫌そうに見えたのでな。 もしプレヴォの妾になりたいと言うのであれば先に謝っておこう。 しかしながら、プレヴォの妾になりたくないけれども何も策が無い場合は我にいい案があるのだがどうかね?」


 そんな私の心内を知ってか知らずか、ガイウス陛下はそう言うと悪戯を考えている子供のようにニヤリと笑うではないか。


「あの……本当にそんな方法はあるのでしょうか?」

「なに、簡単な事である。 カイザル様に相談して助けてもらえば良いではないか」


 

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