第120話 この身をもって知る事ができた
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そしてどれ程の回数、俺はカイザル様によって殺されたのだろうか。
百を超えたあたりで俺は数えるのを止めた。
そして、それと共にカイザル様が如何に偉大なお方であるかという事をこの身をもって知る事ができたのである。
それこそ今までどんな皇帝であろうと、どんな国王であろうと、どれ程の富と権力を持とうが無しえなかった生と死を思うがままに操るという事ができる存在などいなかった。
それが今、俺の目の前にいるのである。
心臓を突き刺されようが、顔面を殴られ顔半分が陥没しようが、四肢を切断されようが、俺が死んだと思った次の瞬間には蘇生しており、それだけではなく俺の身体は綺麗な状態に治されているのである。
そもそも死者を蘇らせること自体がどれほど高位の神官を呼んだところでことなど出来ないのだが、こうも綺麗に身体を治せる者などいないだろうし、もしいたとしても一回で数時間もかかってしまい、そしてその一回で魔力を使い果たしてしまうであろう。
生と死ですらカイザル様にとっては状態異常の一種程度であり、そのようなお方であると気付けずに噛みついた時点で勝敗は決まっていたのだと、今ならば理解できると共に、数々の無礼を思い出してそれこそ死にたくなるほど過去の自分の行いを後悔する。
そして俺は今まで帝国に住む平民や貴族といった全ての者達は平等に俺の采配によって殺す事ができると思っていたのだが、それは大いなる誤りであるという事が分かった。
それは、所詮は相手の命を握っているつもりになっているだけで、蘇生させる事ができなければ単なる人殺しでしかないという事を。
なんと浅ましい考えであったのか。 蘇生させる事が出来ない癖に他人の生死を握っているなどと勘違いしていたとは……。
「俺を是非カイザル様の奴隷にしてくださいっ!! 足でも何でも舐めさせてくださいっ!! あぁ、カイザル様、貴方様こそがこの世界を統べる王となられるのですねっ!!」
「は? 何言ってんのお前? 普通に気持ち悪いんだけど?」
「ははぁーーっ!! 有難きお言葉、そうですよねっ!! 俺にはまだ過去に犯した罪がこべり付いているという事ですよねっ!! そしてその罪を剝がしていくにはどのような禊ぎを行えばいいのでしょうかっ!?」
「えぇいっ、引っ付くなっ!! 今のお前はただでさえ素っ裸なんだぞっ!! シシルも黙ってみてないでコイツを俺から引き離せよっ!!」
「…………何でしょう、男性二人が絡む光景を見ると何故か胸の高鳴りが……っ。 あぁ、いけませんっ!! いけませんわっ!!」
そしてなんとかカイザル様の奴隷となれた俺は、これからこの身体に染み付いた罪を、カイザル様によってこれから与えられるであろう禊ぎによって一生かけてでも一つ一つ剝がしていく事を誓うのであった。
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これにて皇帝編は終わりでございます(*'▽')
予想よりも20話くらい長引いてしまいました。
面白いと思ってくださった方は星とブックマークをしていただけると著者は喜びまくりからのウマ娘課金をする言い訳に使うかもしれません(*'▽')因みに今無課金で石ころ55000個貯めてますので年末年始への備えは完璧です…………完璧ですよね?
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