第119話 生還おめでとう
「この俺が平民に堕ちろだとっ!? ふざけた事をぬかすブホゥッ!?」
「あ? 何て言った?」
「き、貴様……皇帝である俺に向かってこんな事をしてただで済むと思っているのかっ!?」
「それで?」
「そ、それでって……」
「それでお前は俺を止める事ができるのか?」
コ、コイツはどこまでこの俺を、皇帝である俺を馬鹿にすれば気が済むのだ。
これだからバカは困る。
「お前がバカだから特別に教えてやろう。 帝国で一番偉いのは皇帝だ。 そして皇帝は俺でグベヘッ!?」
「そのくらい知っているわ。 だからそれが何なのって言ってんのが分かんねぇくらいバカなの? その皇帝という権力で俺を止めてみろって言ってんだよ。 俺が言っている意味理解できる?」
「ちょっ、止めべっ、止めべろっ!」
「あ? 敬語も使えねぇのか?」
「やめべくばざいっ!!」
「何て言っているのか分からねぇよ」
「ぶへぁっ!?」
なんで皇帝である俺がこのゴミムシに連続で殴られビンタまでされなければならないんだよっ!?
おかしいだろこんなのっ!! こんな事があっていい訳がないっ!!
「誰ふぁっ!? 誰ふぁいないのふぁっ!? お、お前はもう、ふぉんとうにタダで済むとふぉもうなよっ!!」
「だからどうやって俺にやり返すって言うんだよ? てか、そんな奴は怖いから今ここで殺した方が良いよね?」
「ご、ごめんなふぁいっ!! ごめんなふぁ…………い?」
そして俺がゴミムシに向かって今回の件で報復をしてやると言っただけなのにゴミムシは俺を殺すと言うではないか。
普通に考えれば皇帝であるこの俺を殺すだなんてあり得ないのだが、ゴミムシ程のバカならばあり得る上に、ゴミムシが俺を見る目は明らかに殺すことを躊躇すらしていない目をしているではないか。
その事に気付いた俺は即座にゴミムシへ謝罪をするのだが、そのゴミムシであるカイザルは俺の胸、心臓部分へと剣を突き刺すではないか。
嫌だっ! 死にたくないっ!!
そう思うものの、次第に意識は薄れていき、そして目を開いているはずであるのに目の前が徐々に真っ暗になっていきそして何も見えなくなり、思考も覚束なく……なって…………。
「…………ぶはっ!? へっ!? あっ!? えっ!? い、生きてるっ!?」
「生還おめでとう。 まぁ俺がわざわざ生き返らせてあげたんだけどな」
死んだかと思ったのだが、どうやらカイザルが俺を生き返らせてくれたようである。
流石にこの皇帝である俺を殺す訳がなく、たんなるブラフだったのであろう。
「じゃぁ、次は別の方法で死んでみようか?」
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