第114話 カイザル様の奴隷
いったい目の前で何が起きているのか俺には理解できないのだが、実際に目の前でカイザルがユーグの攻撃をさばき続けているのは事実として俺の目に映っている。
「あー、所詮は帝国騎士団長のユーグさんでもこの程度なのか。 がっかりだな。 まるで、少しゲームを齧った奴が最初にやりがちな固めで、中級者までは通用するかもしれないが、更にその上となると全く歯が立たなくなる奴じゃないか」
「っ、き、貴様っ!? いったい何を言っているっ!!」
「例えばだけど、いくら斬撃を素早く繰り出したところで相手のガード硬直を考えなければただ闇雲に剣を振り回しているだけに過ぎないし、緩急も付けず、二択に持ち込むような事もせず、捲り技も使わずにただ同じような攻撃を続けていた場合、相手が素人ならばいざ知らず上級者であった場合は直前ガードでガード硬直を無くしてカウンターを入れられてしまう。 そう、この様に」
そしてカイザルがユーグの嵐のような斬撃を捌きながら話はじめたかと思うと、一瞬青い光がカイザルの身体から放たれ、次の瞬間にはユーグが尻もちをついて倒れているではないか。
訳が分からない。 訳が分からないのだが、カイザルからは只ならぬ恐怖を感じ始めて来ている。
皇帝であるこの俺がである。
俺は、踏んではいけない魔獣の尾を踏んでしまったとでも言うのか?
しかし、そんな事誰が分かるというのだ。
誰しもがあのカイザルがここまで強いと思わないであろうし、同じようにカイザルを始末しようとしたはずである。
「さすがご主人様……あぁ、ご主人様の強さを知れば知る程私の身体が火照ってしまい子種が欲しくなってきてしまうわ。 これも、エルフという性に対して希薄な種族と言えども所詮は生物であり、より強い雄の遺伝子を私の遺伝子と掛け合わして後世にその遺伝子を残していきたいと思ってしまうのでしょう……っ」
「シ、シシル……っ!?」
そして俺がカイザルの評価を改め初めていると、いつの間にかシシルが俺の隣にいるではないか。
「お久しぶりです、皇帝陛下(笑)。 逃げようと思ってもご主人様から絶対に逃がすなと言われているから見張りに来たわ。 まったく、私はご主人様であるカイザル様の奴隷なのだから指示ではなくて命令してくれても良いのに……」
シシルはカイザルから俺が逃げないか見張るようにカイザルから指示を出されていたというのだが、俺はそれよりも『カイザル様の奴隷』という部分の方が気になってしまう。
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