第113話 特に俺が飛びぬけて天才

「はっ、奉勅します」


 とは言ったもののこの真面目だけが取り柄のような奴である。


 他の者達と違いカイザルだからと手を抜くこともしないであろう。


 その点に関しては何だかんだで信頼をしているし、今回も危なげなくカイザルを捕縛して終わるであろう。


 そしてユーグは腰に差している剣を抜くと、カイザルへ剣先を向ける。


「言い残した事は無いか?」

「無いね。 むしろあそこの皇帝陛下(笑)こそ今から俺が始末するけど言い残した事は無いのか聞いた方が良いんじゃないのか?」


 どこまでも無礼で、そして腹が立つ奴である。


 ここまで俺を腹立たせた奴は他にいないであろうし、これから出てくる事は無いだろう。


 そして、腹が立てば立つほどこれからカイザルを拷問できるのだと思えば興奮が止まらなくなり、その事を想像すればするほど何故か俺の股間までもが膨らんでくるではないか。


 あぁ、早くカイザルをこの手で好きなように拷問したい……。


 そう思いながら俺は帝国騎士団長ユーグ・ド・イヤンとカイザルとの戦いを見守る。


 初めに動いたのはユーグであった。


 俺に対して指図をするだけあってユーグの攻撃は鋭く、そして早い。


 バカがバカなりに努力をして来たのが見て取れる。


 帝国騎士団長ユーグ・ド・イヤンという存在は筋肉や戦闘技術というのは頭の賢さとは違い鍛えれば鍛えるだけまだマシになるという答えでもあろう。


 その為いっその事帝国民全員を帝国軍として一年の三分の一は最低でも鍛えるような政策を、今回の一件が終われば試してみても良いのかもしれない。


 そうする事によってバカな国民でもまだ帝国の軍事力を高めるという利点に変わるからな。


 そしてこのような政策を考えつけるあたり俺はやはり天才なのであろう。


 そもそも何でこんな画期的かつ少し考えれば分かるような政策を今まで誰も行って来なかったのか。


 それは歴代皇帝の中でも特に俺が飛びぬけて天才であるという答えにたどり着く。


 そして、ユーグと見比べても半分くらいの太さの腕や足である事を見ても身体もどうせ碌に鍛えていないであろうカイザルでは、ユーグの一撃を防ぐ事はできても二撃目は一撃目の衝撃を受け流す事ができず間違いなく防ぎきる事はできないであろう。


 ほら、一撃目を防ぎ……二撃目、三撃目、四、五、六、七…………っ。


 は? なんでカイザルごときがユーグの斬撃を耐えしのぐ事ができるのだ。


 もしかしたらユーグの奴が手加減をしているのでは? とは思うものの、ユーグが繰り出している攻撃一つ一つ見ても手加減をしているようには見えない。

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