第112話 躾のなっていない死にたがり
さて、どうやってあのシシルを可愛がってやろうかと、カイザルの事よりもシシルの事で思考が傾き始めた時、玉座の間の扉が勢いよく開かれる。
先ほどのバカといい躾のなっていない死にたがりは多いようだな、と思いながら扉の方へと目を向けると、そこにはカイザルとシシルがいるではないか。
「おうおう、皆様俺ごときの為に集まってくれていると思って良いのかな? これは。 しかし、何時からここに集まっていたのか……どうせ朝からバカみたいに集まっていらしたんじゃないのかな? まぁ、トップの皇帝陛下(笑)がバカだから仕方がないんだろうけど、こんな奴さっさとクーデターでも起こして首を切り押せば良いんじゃないのか? 何でしないの? ねぇ? そこの帝国騎士団長様はそこまでバカじゃないんだろうけど何でしないの? ねぇ?」
「私は帝国へ剣を──」
「まさか帝国に剣を捧げたから裏切り行為はできないなんて思考停止な事を言うんじゃぁねぇだろうなぁ? お前のその考え方で今までどれだけ罪のない人たちが死んだ? そしてこのバカな皇帝陛下の事だ。 どうせ今日一日見ても誰かが理不尽に殺されたんじゃないのか? お前は、帝国に剣を捧げたのに何でその帝国が堕ちていくような行為をする皇帝陛下(笑)を咎めないんだ? それは帝国に剣を捧げているのではなくて皇帝陛下(笑)に剣を捧げていると言うんだよ? そんな事も分からねぇのか? 帝国に剣を捧げるのと皇帝陛下(笑)に剣を捧げるのは似て非なるものだろうが? それとも何か? このまま帝国がこのまま地図から消え去るとしても皇帝陛下(笑)の為に剣を振るうとでも言うのか?」
「違う。 君の言っている事は間違っている」
「ほう? ではどう間違っていると言うのか」
「皇帝陛下がいる場所が帝国であり、皇帝陛下が居ない国は帝国ではない。 よって最も優先されるのは皇帝陛下であるのだ」
そしてカイザルは開口一番この俺の事をバカだと罵るだけではなく、帝国騎士団長であるユーグ・ド・イヤンに対して『皇帝に仕える必要はあるのか?』『何で早く皇帝を殺さないんだ?』などという事を聞くではないか。
その余りにも無礼な内容に切れそうになるが、ここはグッと堪えてユーグの答えを待つことにする。
そしてユーグは俺がいる場所こそが帝国であると答えるではないか。
正に百点の回答と言えよう。
それに免じてカイザルを殺した後にユーグを殺す事は一旦保留にしても良いだろう。
「ユーグよ、さっさとカイザルを捕縛しろ」
しかしそれはユーグがカイザルを捕縛出来たらの話である。
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