第109話 私とご主人様との子供
そしてシシルは目をキラキラと輝かせながら俺の事を上目遣いで見つめてくる。
その光景だけを見ればエルフだけあってかなりの可愛らしさがあるのだが、言っている事の内容がすべてを台無しにしたうえでそこからさらにマイナス評価まで落ちてしまう程の事を言っているのが残念でならない。
だからこそ変態駄エルフなのだが、それにしても限度というものがあるだろう。
「いや、そんなに期待に満ちた目を俺に向けてくれるのは嬉しいのだが、流石に俺は目立ちたくないのでシシルの提案は却下させてもらうし、新たに皇帝になるつもりもないかな」
「えぇっ!? そ、そんな……っ」
「いや、普通に恥ずかしいし目立ちたくないからな……」
「で、では皇帝亡き後誰が帝国を運営していのかしら……っ!? これはある意味で国盗りでしょうっ! では、ご主人様が皇帝に成らないのであれば一体誰がご主人様の代わりに皇帝に成るというのかしらっ!?」
「いや、誰か身内で決めるんじゃないのか? それこそこのまま子供に継がせれば良いんじゃないのか?」
「…………はっ、そういう事ですか。 それならばそう言えばいいですのに。 まったくご主人様は。 でも確かにそういう事はご主人様の年齢からすれば口にするのも恥ずかしいと思ってしまう年齢である事を考えれば、それを考慮できなかった奴隷である私の責任でもあるわね……っ!!」
そして俺は皇帝陛下の息子あたりがどうせ継ぐだろうし、それで良いのではないか? という風にシシルに言うのだが、シシルは俺の言葉の後に数秒考える仕草をしたかと思うと何かに気付いたような表情をして、急に顔を赤らめてもじもじし始めるではないか。
そしてシシルは顔を赤らめ、もじもじとしながら俺の顔をちらちらと何かを期待するような目線を向けながら話し始めるのだが、正直言ってシシルが何の事を話しているのか全くもって理解できないんだが? え? 俺たち同じ言語で会話している筈だよな?」
「いや、一体さっきから何の話をしているんだよ?」
「え? だって私とご主人様との子供を次期皇帝にするという話ではないですか? まぁ確かにご主人様と言えどもこの究極ボディーを目の前にしてやせ我慢を今までしていたという事に気付けなかった私も悪いのですが……」
「馬鹿な事言ってないでさっさと行くぞオラッ!!」
「あんっ! 癖になりそうだわっ!!」
取りあえずシシルが何を考えているのか聞いてみると実にくだらない内容であった為俺は思わずシシルの尻を蹴り上げ、何故か呼吸が荒くなったシシルを無視し帝城へと向かうのであった。
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