第105話 話題で持ちきり
「わ、分かりましたっ!!」
「あ、一応手紙は今書いておくからちょっと待ってくれ」
そして俺のお願いを残っているメンバーの中では一番偉いのであろう人物が代表して受け答えしてくれるのだが、どうやら全て俺のお願いを聞いてくれるみたいなのでとりあえずは一安心である。
しかしながらあの皇帝陛下の事である。
俺の伝言を皇帝陛下に伝えた瞬間に、伝えた者が殺されかねない、というかまず間違いなく殺されてしまうであろうから俺は敢えて手紙で伝える事にする。
「一応手紙を皇帝陛下宛てに書いたから渡しといて。 ちなみに手紙は皇帝陛下に渡してから四時間立たないと読めないようにしといてやるから渡したその場で殺されるという事は流石に無いだろう」
「あ、ありがとうございますっ」
「じゃぁさっさと俺の魔術の余波で氷漬けになった有象無象たちと俺の手紙を持ってさっさとこの家の敷地から出て行ってくんねぇかな?」
「わ、わかりましたっ!!」
そして俺がそう言うと残った者たちは俺の命令に逆らう者など一人もおらず、全員で氷のオブジェと化してしまった仲間を担いでそのまま正面の門から出ていくではないか。
流石にあの氷のオブジェを持ちながら来た時のように外壁を上って帰るのは無理だったのであろう。
という事はこれから氷漬けの有象無象はこの事からもここから皇帝陛下が住んでいる城までを、整備された道を通っていく事になるのだろう事が窺える。
きっと翌朝には氷漬けの有象無象を神輿のように担いで帰っていた光景を見た町の者たちで噂が一気に広がって、この話題で持ちきりになるだろう。
この噂が耳に入った時の皇帝がどのような反応をするのかは見てみたい気もするな。
横にいるシシルから『私にもなにかしらの罰をくださいっ』と、期待に満ちた目線は気づかなきふりをしながら俺は遠ざかっていく氷漬けのシャルロットを眺めるのであった。
◆
「今なんと言った? 俺の耳が遠くなったとか、単なる聞き間違えどでなければ、今お主の口から今回も失敗してカイザルに良いようにあしらわれたという風に聞こえたのだが、気のせいか? もう一度行ってみろ」
「は、はい。 今回カイザルを捕縛しに行ったシャルロット・ホーエンハイム率いる部隊はカイザルを捕縛する事に失敗し、それだけではなくシャルロット・ホーエンハイムはカイザルが行使した魔術によって氷漬けにされてしまわれました」
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